住友電気工業 渋滞解消に向けたシステム構築を。タイ交通機器メーカーと協業合意
深刻で慢性的な渋滞の続くタイの首都バンコクの交通問題を解消しようと、大手非鉄金属メーカーの住友電気工業(大阪市)が、道路上に設置された車両感知器から得られた交通量データなどを解析して管理する新たな交通管制システムの構築を目指す取り組みを続けている。9月14日には、長年に渡りタイで信号機や制御機、掲示板といった交通管制機器の製造・販売・保守事業を行ってきたGenius Traffic System Co., Ltd.とシステムの構築に向けた協業合意書が締結されたことが発表され、また一歩、環境が整った。交通情報の一元的管理を行うことで信号機の赤・青の適切なタイミングを自動計算することが可能となり、渋滞の低減、安全性の向上、温室効果ガス排出の削減も進むとしている。そのための「交通管制センター」開設に向けたタイ政府や地方行政当局への働きかけも強めていく方針だ。
住友電工は社内に交通管制システムを専門に担当する情報通信部門を抱えている。車の交通量データからリアルタイムで信号機の切り替えを制御するシステムは高い評価を受け、これまで国内各地で採り入れられてきた。近年は、海外からの問い合わせも相次ぐようになり、これまでタイやミャンマーなどで社会実験が繰り返し行われてきた。今年8月には、こうした取り組みが独立行政法人国際協力機構(JICA)が公募した「開発途上国の社会・経済開発のための民間技術普及促進事業」に採択されるところとなり、システム構築の気運が一気に高まり今回の協業合意となった。
システムが長期にわたり、その機能や性能を維持するためには、膨大な交通データと適正な管理システムが必要となる。住友電工では、こうしたデータの収集を行いながら、タイの交通現場に最も相応しいシステムを構築していきたいとしている。