2015年05月02日
タイのエレベーター市場で約3割のシェアを持つ三菱電機の現地完全子会社「三菱エレベータ・アジア(AMEC)」は、東部チョンブリー県アマタナコン工業団地内にある同社の敷地内に新たにエレベータの稼動実験などを行うための試験塔と生産工場を1棟ずつ新設する方針を決め、このほど着手した。新工場は2016年5月、新試験塔は同12月の稼動開始を目指す。
同社は昨年10月、タイ法人内に開発研究検証を行う「R&Dセンター」を設置。タイを拠点に、世界各地のニーズにマッチした昇降機の研究開発を開始した。新興国を中心とした海外市場には主力機種「NEXIEZ(ネクシーズ)」を投入しているが、制御のあり方は各地の需要や法制度に応じて個別に対応が必要。このため、R&Dセンターとの連携を強化した新たな生産管理体制の構築が求められていた。
今回の総投資額は7億1,000万バーツ(約22億円)を見込む。新工場は鉄骨3階建ての延床面積は1万4400㎡。制御機器を含むエレベータ機器類を生産し、これによりAMECの年生産能力は現状の1.5倍となる約2万台に達する見通し。一方、新試験塔は鉄骨造りの高さ59メートル。14階建てに相当する。ここで、開発されたエレベータ機器などの実証実験等を行う。
このほか、これまで日本から輸入していた部品の一部を現地調達に切り替えるなどコスト削減やリードタイムの短縮にも対応していく方針。米オーチスやスイスが本拠のシンドラーといったライバル他社との差別化も視野に入れ、対抗していくことにする。AMECは1991年設立。タイを含む東南アジアや中東など世界90ヵ国以上を対象に、エレベータの生産や販売を行っている。