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【タイ】消費者直撃!? タイの税制改正! 固定資産税導入を断念。それでも、他の増税は諦めない財務省の次の一手

2015年03月16日

週刊WISE

 税制改正の議論が花盛りだ。それもそのはず、鉄道、水資源管理、エネルギーといった大規模インフラ整備を控えるプラユット暫定政府にとって、財源確保は目下、最重要課題。新税の導入や税制改正による大幅な税収増への期待は大きい。

陣頭指揮を執るのは、元財務官僚のソムマーイ財務大臣。掲げたのは、競争原理を促すための税体制の構造改革と財務基盤強化だ。初手となったのが、「相続税」と「不動産税(固定資産税)」の導入。

過去の政権下でも相続税の導入議論はあったが、ことごとく特権階級からの反対で断念してきた。それを、軍政下のうちに実施する腹づもりらしく、早々に閣議決定させ、法案審議に持ち込む荒業をやってのけた。ただ、戦略の片輪“不動産税”はというと、「3月12日、政府は個人消費の低迷を背景に延期を決定した」(地元紙)と、あっさり白旗を挙げてしまう始末。ソムマーイ財務相は「2017年の実施を目指す」と言うが、実現への道のりは険しそうだ。

とはいえ、税収増を至上命題とする財務省の攻撃の手は緩まない。同省は、予備校への課税を目指し、法人税法の改正案を閣議に提出するという。現在、予備校は市立学校や大学と横並びで課税が免除されている。しかし、これを営利目的意識が高いとして、民間企業と同様に扱うべしと判断した。

身近な「所得税」と「法人税」も改革対象だ。

これまで、両税率は毎年変更(変動)されてきたが、それを固定制とする。現状案では、所得税を所得に応じて最大35%とする7段階の固定制の累進課税とし、法人税を15〜20%の固定税率とする。今年10月からは、VAT(消費税)税率を現状の7%から10%に引き上げる。

ただ、小売業界から「消費が低迷する」と反発を受け、当面は8%程度への段階的な引き上げに留める可能性が出てきた。VATを1%引き上げると、政府税収は600〜1000億バーツ増える目算。さらに、改革の触手は消費者を直撃する酒税やタバコ税といった間接税にも及び、現状の仕入れ価格(輸入価格)から、販売価格に対し、課税する案が浮上している。

税は、生活に直結するだけに今後に注目したい。

週刊WISE
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