ミャンマーへの陸上輸送定期化に弾み 所要日数は海上輸送の3分の1以下に 上組
物流大手の上組(神戸市)は、従来は海上輸送しかなかったタイ・ミャンマー間の超大型貨物輸送について、タイ北部ターク県メーソートからミャンマー国境を陸路で越え、東部カイン州ミヤワディなどを経由して最大都市ヤンゴンに至る陸上ルートの確保に成功したと発表した。
海上を使用する際に要するリードタイム計19日間(船積2日、輸送10日、通関・配送7日)を3分の1以下の6日間まで短縮することができ、輸送コストも最大10%程度低減することができたという。同社では、将来の定期運行化に自信を見せており、タイとミャンマーなど周辺国を結ぶ東西回廊の活性化に弾みがつくことも予想される。
タイ国境メーソートからミヤワディ、コーカレイに至るミャンマー側の山岳路は悪路で、これまで超大型貨物による陸上輸送はできないものとされてきた。こうした中、上組は昨年4月、ミャンマーで現地合弁会社を設立。現地パートナー企業エバー・フロー・リバーの協力を得て、陸上輸送の可否について慎重に検討を進めてきた。この結果、十分に可能性があると判断。昨年末、大型の建設資材を中部サラブリー県からヤンゴン北部ミンガラドン地区まで運ぶ全長約900キロの陸上輸送を受注し、今回の成功となった。
タイ国境のミヤワディでは現在、今年中の完成を目指してバイパス道路の建設が進められている。この路線が完成し、さらに山岳地帯の悪路条件が解消すれば、今以上に輸送時間の短縮とコスト削減が進む可能性があるといい、上組をはじめ運送業界から注目を集めている。
同社では現在は不定期で行っているタイ・ミャンマー間の陸上輸送を定期化していきたい考えで、タイ側のパートナーとの調整も進めている。ミャンマーまでの陸上輸送は、既に食品など一部のコンテナ貨物では実施に移されている。