5月12日、タイで12年ぶりとなる新しい500B紙幣が発行された。機械でも発見できないほど巧妙化している偽造犯罪の減少に繋がるか。
5月12日、500Bの新紙幣が発行された。タイ国内で相次ぐ偽札偽造の問題も、今回の新紙幣発行に至った理由のひとつのようだ。これまでの500B紙幣は、現在使用されている紙幣の中で一番古く、12年間も使用されてきた。新札発行は2012年の20B紙幣以来2年ぶり。
タイでは、度々偽造した紙幣で逮捕されるニュースが報道されている。「タイの紙幣は簡単に偽造できるのでは?」と思う人も多いようだが、決してそうではない。偽造防止のため、紙幣にはさまざまな工夫が施されている。例えば紙は、コットンを混ぜたものを使用し破れにくくなっており、独特の質感で、銀行員やコレクターなど日頃から触り慣れている人が手にすると、すぐに偽札かを判断できるという。印字された文字に触れると、デコボコとした凹凸もわかる。また、縦のラインとして入っているのがホログラム。これは、紙幣になってから貼り付けているわけではなく、紙幣用の紙を製造する段階から入っており、再現が困難。また、中央に描かれているラマ9世のイラストの隣の空欄は、光にかざすと同じイラストが浮かび上がるように工夫されている。
しかしながら、最近の偽造紙幣は実に精巧で、単価の低い紙幣を加工して1000B紙幣に作り替えるなど、あらゆる手段が用いられている。これにより、浮かび上がるイラストも再現されてしまい、検査機械を通しても発見できなくなったそうだ。
ちなみに、偽札偽造の罪は日本同様タイでも非常に厳しい罰則になる。日本では傷害致死が3年以上の懲役に対して、通貨偽造も3年以上の懲役となり、無期懲役になる場合もある。タイでは、偽造の罪は殺人罪と同じ終身刑、10~20年の懲役、または2万~4万Bの罰金となる(刑法240条)。
今回の新5 0 0 B 紙幣は、以前と比べてホログラムの加工が細かくなるなど、偽造防止への工夫がされている。裏面のホログラムは、傾けると動いているようにも見え、旧紙幣との違いがよくわかる。紙幣への信頼度は、その国への信頼度とも同義であるため、偽造犯罪の減少を祈るばかりだ。
(5月26日 週刊WISE 日本人が知りたいタイの“今” 第231回)
ニュース提供元:週刊WISE
【タイ】偽札対策、新500B紙幣発行
2014年05月26日