27日、政府が高値で農家からコメを買い上げる事実上の「コメ買取制度」に絡み、国家汚職追放委員会(NACC)が職務怠慢容疑でインラック首相の弁明会を開こうとする中、NACC本部周辺に政府支持者=赤シャツ隊ら200人以上が集まった。ただ、そこには弁明するはずの首相の姿はなく、代理人に任せ、当の本人は支持基盤である北部に雲隠れしていた。首相がバンコクを離れるなか、政局は新たな動きをみせる。
24日、反政府デモ隊リーダーの一人で、政府合同庁舎のデモ活動を指揮するプッタイサラ僧侶とタクシン元首相の義弟のソムチャーイ元首相が面会した。両者を仲介した選挙管理委員のソムシャイ委員は、「今後も対立する両者を招き、解決に向けた会合を開きたい」と平和的解決に向け前向きに語った。今後は、タイ貢献党のチャールポン党首や民主党のアピシット党首を交えて開くつもりだという。
この動きに対し、表向きは対立解消だが、裏では戦後処理(次期政権運営など)を話し合っているのではとの憶測もある。与党タイ貢献党の中には、「インラック首相はもうもたない」との見方もあり、「ポスト・インラック」を模索する動きが見え隠れする。これは、タクシン元首相の側近と言われるソムキット元副首相が同日行われた、あるセミナーで発した「新たなリーダーが必要」との言葉からも裏付けられる。現状、インラック首相が窮地なのは確かで、反政府派が勝利すれば、民主党政権の返り咲きか?と思われるが、ことはそれほど単純ではない。民主党は、選挙に弱く、人材もいないというのが定説で、逆にタイ貢献党には、首相経験者など人材は豊富。首相ポストを狙っている人も多く、噂の域を脱しないが、チャルーム労相の名前もよく挙がるという。とはいえ、タイ貢献党内ではタクシン元首相の息のかかった政治家が数多く残っている。そのため、タクシン一家と距離を置く議員が政権を奪取するには、多党との連立を模索するのが普通だろう。
いずれにせよ、複雑化するタイ政治混乱のなかで、政治的駆け引きが行われはじめたことだけは確かなようだ。
ニュース提供元:週刊WISE
【タイ】インラック政権交代の気運 窮地に陥る首相を尻目に、後釜探しもはじまる
2014年02月27日