タイで会社設立をお考えの方へ
タイへ進出するにあたり、「どのような形態で会社設立(法人設立)できるのか」「どれくらいの期間で設立できるのか?」などと疑問に思っていらっしゃる方は多いのではないでしょうか。
海外への進出・会社設立は日本と税制や法律、そして言語が違うこともあり、不安を抱えていらっしゃる方も多いと思います。
そこで、2013年より海外進出支援メディアとして世界各地のビジネスの専門家を紹介してきたヤッパン号が、タイへの進出形態やそれぞれのメリット・デメリット、進出までのステップ、必要な書類などについて解説いたします。また、近年話題の最短1週間で海外進出できるGEOという形態についても紹介します。
タイでの会社設立(法人設立)について知っていただき、実際に進出を検討される方へは、設立支援を行うヤッパン号おススメの専門家も紹介いたします!
それでは、1つ1つみていきましょう!
タイに会社設立(法人設立)する際の進出形態とそれぞれのメリット・デメリット
タイに進出する際に選択する進出形態は、主に「現地法人」、「支店」、「駐在員事務所」、「統括会社」、Global Employment Outsourcing(”GEO”)の5種類に分けられます。
このうち、日本企業がタイで会社設立する際に一般的なものは、「現地法人」になります。現地法人には7種類の会社形態がありますが、その中でも基本的な会社設立形態は、「Limited Company (有限責任会社)」です。
「支店」の場合、可能な業務範囲は現地法人と変わりません。出資比率は、外国資本100%で設立が可能ですが、登記時に商務局より認可された事業しか行うことはできません。外国人事業ライセンスの取得は非常に難しく、ガスプラントの設立など、大量の資本と信用が必要なプロジェクトベースでの利用以外、ほとんど支店は利用されません。
「駐在員事務所」は、これまで手続きと費用に手間がかかっていましたが、2017年6月に、タイ商務省より「外国人が許可取得を不要とするサービス業の指定」が公示され、駐在員事務所の設立手続きが緩和されました。これまで必要だったB300の最低資本金は200万バーツになり、外国人事業ライセンスの取得にかかっていた期間(約3か月)と手数料(親会社の資本金の0.5%(最高B25))も不要となり、設立しやすくなりました。
ですが、駐在員事務所は販売や営業などの営利目的の行為が禁止されており、タイ国内での商品の管理や受け渡し、市場調査・販売促進活動のみ認められているため、活動範囲は限られます。法人設立前のタイでの市場調査、生活情報取得といった目的の場合が多いでしょう。
逆に最近、少し注目されているのが「地域統括会社」としての会社設立です。アジアのハブとしての外資の拠点をタイに誘致し、外国からの投資を促進するために新しく制定された法人形態のことです。
既に2002年より、地域統括事務所(ROH)の制度は開始されており、他国にある拠点の経営管理をする場合、外資100%での会社設立や、法人税の軽減など、優遇措置が取られていました。しかし、2015年より、国際地域統括本部(IHQ)と国際貿易センター(ITC)という制度を施行。ROHよりも、制限が少なくなり、税制優遇は大きくなっているため、タイの統括拠点としての活用に注目が集まっています。
※参照:JETRO「駐在員事務所設立手続き(2016年)」
https://www.jetro.go.jp/world/qa/04J-010448.html
また、新しい進出形態として欧米で普及しているGEOについては最近利用が増えてきています。
他に、「個人事業」も可能ですが、日本人名義では認められないため、信頼できるタイ人やタイ人配偶者の名義とする必要があります。年間B200以上の利益がある場合、税制上株式会社のほうが有利となります。
下記が、「現地法人」、「支店」、「駐在員事務所」、「GEO」の主な違いになります。
タイで現地法人として会社設立する際の主な進出形態は下記の2種類です。
【Limited Company(有限責任会社)】
日本で言う、株式会社に該当する会社設立形態で、株主数3名以上で設立できます。公開会社と非公開会社 (Private Limited) に分けられますが、日本企業がタイへ進出する際は、ほぼ確実に非公開会社を選択します。株式会社ではありますが、株券を発行する必要はなく、実際に株主総会を開く必要もありません。(議事録は必要)
ですが、外国資本100%で進出できる業種は主に輸出業・製造業くらいで、サービス業をはじめとするその他の事業は「外国人事業法」による外資規制のため、外資が50%未満でなければ会社設立は認められません。つまり、タイ人の出資が51%必要になります。ただし、BOIの投資奨励事業として認可された場合、資本金が一定額を超える場合は、規制の対象外となります。
①合弁会社:タイで会社設立し登記されている日系企業の多くは、日本49%、タイ51%の合弁会社になります。次にあげる独資企業であれば、外国資本100%での設立も可能ですが、特定の事業のみに制限されるため、柔軟な事業展開ができないため、日タイ合弁会社の形態が最も多くなります。
②日本独資(商務省外国事業局による許可):商務省外国人事業局へ、必要書類を提出し、個別の事業内容について書類審査、面接調査、外国人事業委員会での審査を経ることで、日本独資での事業を認める「外国人事業許可証:FBL(Foreign Business License)」を発行してもらえます。しかし、審査期間に4~6か月を要し、B300万の資本金が必要となります。
③日本独資(BOI奨励取得):タイに有益な投資であると認められる場合「タイ投資奨励委員会(BOI:Board Of Investment)」による許可を受けて日本独資での会社設立が可能となります。2015年施行の改正された投資奨励制度に準じており、2015年から2021年の「7か年投資奨励戦略」に基づく、国の競争力を向上するために必要とされる事業を対象としています。
④日本独資(製造業):「外国人事業法」により規制されない業種のため、日本独資での会社設立が可能ですが、対象とする製造業の前提が日本とは異なり、単なる組み立てや加工、メンテナンス等のみだったり、受注生産業務、生産受託業務(OEM生産)の場合はサービス業となるため、確認が必要です。
【Partnership:パートナーシップ(共同事業体)】
タイにおけるパートナーシップの法人形態には、非登録通常パートナーシップ、登録通常パートナーシップ、有限責任パートナーシップの3種類が存在します。これら3種類のパートナーシップは、法的責任や債務の範囲が違っていますが、事業体の責任が個人にまで及ぶためリスクが高く、あまり利用されていない法人形態です。また、パートナーシップの場合も、外資が50%以上の場合は「外国人事業法」によって制限を受けます。
【その他の関連するQ&A】
タイでビジネスをする場合、どのような形態で行なうことが出来ますか?
タイで会社設立(法人設立)するための11ステップ
タイで企業、会社設立をするとなると、最も一般的な法人形態は、現地法人の非公開株式会社 (Private Limited) です。現地法人を設立するために必要な期間や費用は、おおよそ下記のとおりです。
【タイ会社設立のための期間と費用】
- 所要期間:2ヶ月 (BOIの申請が必要な場合は4ヶ月程)
- 必要経費:B10万~B15万
- 最低資本金:なし (但しB100万以下の場合、スムーズに設立できない可能性がある)
タイの会社設立には、事業開始までに2ヶ月の所要期間を見ておくのが妥当です。ただし、BOIの申請を検討している場合は、準備から認可取得までに4ヶ月ほど掛かると想定されるため、会社設立と同時進行で準備を進められるようスケジュールしておくのが良いでしょう。BOIを申請するかどうかで、設立するべき会社形態も変わってくるため、BOIの申請についても、登記手続きに入る前に調査・検討を終わらせておく必要があります。また、タイ資本を50%以上で法人設立したい場合は、信頼のおける現地パートナーを見つける必要があるため、その準備期間も考えておきましょう。
タイ現地法人として会社設立する場合、最低資本金はありませんが、最低でもB100万に設定するケースが多いようです。B100万以下の場合だと、登記手続きの際に担当官に悪印象を持たれる事があり、会社設立がスムーズに進まない可能性があります。また、日本人1人を雇用する度に、B200万が必要なため、例えば、2名の日本人を雇用予定の場合、B400万の資本金が必要になります。必要な費用、書類について事前にしっかりと確認しましょう。
タイでの会社設立のステップをまとめると下記のような流れになります。
下記で、各ステップの詳細についてご紹介します。
タイで会社設立を始める前に、まずは各種規制について調査することが大切です。外国人事業法を始め、外為管理法、外国人職業規制法、移民法、工場法、関税法等の様々な規制が、進出の可否、選択するべき会社の形態などに大きく関わってきます。事業目的に照らし合わせて、関係する規制について調査しましょう。
▼ステップ2:BOIやIEATについて調査・検討
タイでの会社設立に際して、BOIや、タイ工業団地公社(IEAT:Industrial Estate Authority of Thailand)の投資奨励に該当するか調査しておくことも非常に重要です。BOIの特典としては、外国資本100%での会社設立許可、機械輸入税の1年間免除や法人所得税最大8年間の免税など、進出に大きなメリットがあります。
IEATはIEAT管理下の工業団地への進出が必須となりますが、BOIを補完するメリットもあるため、確認しておくとよいでしょう。
▼ステップ3:タイでの会社設立形態の選択
各種規制や、BOIなどの投資奨励事業情報などを調査した結果をもとに、どのような会社形態で進出するべきかを判断します。基本的には、支店や駐在員事務所の形態で進出する日本企業は少なく、Private Limitedとして、株式会社としての設立が一般的です。ただ、外国法人(外国資本が50%以上)にするか、タイ法人(外国資本が50%未満)にするかの判断は非常に大切です。輸出業・製造業以外の業種ではBOIの認可が得られない限り、外国資本100%で会社設立できるのか、タイ資本を50%入れる必要があるのかが変わってきます。タイ資本の場合、信頼のおけるパートナー探しも必要となってきます。
▼ステップ4:会社名(商号)の予約・決定
タイの会社設立では、会社名(商号)の予約手続きは新会社の発起人が行う必要があります。商務省登録局に、類似の会社名がないか確認し、類似名がなければ、その会社名の使用許可が得られます。WEBからの申請であれば、即日予約可能です。その後、30日以内に、発起人が基本定款へ記載し、登録する必要があります。もし30日以内に登録されなかった場合は、会社名の予約は失効となり、再度予約しなければなりません。
▼ステップ5:基本定款 (MOA) の作成
基本定款に、必要事項を記入します。基本定款記載事項は下記のとおりです。
- 会社名(商号)
- 資本金
- 発行株式数
- 一株あたりの額面価格(通常はB1,000・B100に設定するケースが多い)
- 会社設立目的
- 発起人3名の氏名、住所、職業、国籍、出資する株式数およびサイン
- 登記住所
- 株主の責任について
すべてご自身で準備することも可能ですが、手間が掛かる上に、登記に失敗するリスクもあります。特にタイでは手続きが煩雑なため、自分で準備を進める方はほとんどいません。手続きは代行会社に任せた方が無難です。
▼ステップ6:定款登記
基本定款を登記します。発起人3名が基本定款にサインした上で、登記料はB500を支払えば完了です。 ※2020年12月31日までであれば、Webでの登記の登記料はB350、特定経済開発区内に本社を有する会社の場合は、B250となります。
登記完了後は株式の引受を行います。
▼ステップ7:会社設立総会の開催
株式の引受まで完了したら、発起人によって、設立総会を開催、次の事項を決定する必要があります。
-付属定款(AOA:株主総会や取締役会などの規定・優先株に関する規定など)
-発起人の設立準備行為に対する承認
-取締役の選任と権限の決定 監査人の指定
-株式引受人の使命、地位、住所、引受株式数等のリスト承認
-株式対価の支払い
この際、監査人はタイ人の公認会計士でなければなりません。タイでは会社の規模に関わらず、全ての企業に監査義務があり、監査を担当するタイ人の監査人が必要になります。この際、タイ人公認会計士の氏名および免許番号の報告が義務づけられています。
▼ステップ8:会社設立登記 (最終登記)
設立総会開催後、選任された取締役は3ヶ月以内に、会社の登記申請をする必要があります。登記局に支払う会社設立登記料はB5000となります。もし3ヶ月以内に登記されなかった場合は、会社登記ができなくなってしまうため、注意が必要です。
※2020年12月31日までであれば、Webでの登記の登記料はB3500、特定経済開発区内に本社を有する会社の場合は、B2500となります。
登記申請の際は、下記の項目が必要になります。
- 株主氏名、住所、職業、国籍、持株数(株主は常時最低3人必要)
- 取締役および代表取締役の氏名、住所、職業
- 代表取締役の代表権(サイン権)の形態(単独署名か共同署名か)および署名
- 本社および会社の各支所の住所
- 付属定款(株主総会、取締役会等に関する会社規則)
- 株式により受領した初回資本金払込み総額(登記資本の25%以上。なお外国人の労働許可の条件となる資本金額(1人につき最低B200万)はこの実際振込額。またBOI認可企業は生産開始までに登録資本の100%の振込が条件となっていることに注意)
会社登記完了後は、一般的な流れでは、依頼者(会社設立する企業)から指示されたとおりに発起人が最初の取締役を選びます。
▼ステップ9:タックスID番号の取得と税務登録(VAT)
タイで会社設立した後は、登記日より60日以内に歳入局でタックスID番号 (納税者ID)の申請を行う義務があります。ただし、商業省事業開発局が発行した登録番号を既に持っている会社は対象外です。
申請の際に必要な書類は下記のとおりです。
- 賃貸契約書のコピー
- 家主のその場所の住民票(タビアンバーン)のコピー
- 家主の住んでいる住民票(タビアンバーン)のコピー
- 家主のIDカードのコピー
その場所の所有者が会社の場合は、会社登記簿とサイン権者のIDカードのコピー)
商品販売やサービス提供を行う予定の事業者は、付加価値税(VAT)の登録申請を事前に行うことが可能ですので、対象の場合は確認をしてください。
▼ステップ10:ビザ取得(労働許可取得)
会社を設立したら労働許可取得が可能になりますが、まず、就労ビザ(ノンイミグラント・ビジネスビザ)を取得する必要があります。もし既にタイに観光ビザで入国している場合、観光ビザでは労働許可の申請ができません。そのため、ノンイミグラント・ビジネスビザを取得する必要があります。これは、タイ国内のイミグレーションか、国外のタイ大使館にて申請が可能です。
就労ビザが取得できたら、次に、労働許可(ワークパーミッド)を取得します。タイ国内の労働局に取得申請します。この際に、十分気をつけて頂きたいのが、タイ人の雇用人数です。ワークパーミッドの取得条件として、外国人1名につき、タイ人を4名雇用する必要があります。進出時の大きな負担となるため、事業を計画する時点で、何名の日本人を派遣するのか、しっかり計画しておく必要があります。
▼ステップ11:銀行口座の開設
法人口座の開設は、会社設立後に可能になります。もちろん、会社設立後にすぐ開設することも可能ですが、取締役最低1名がタイの労働許可を取得していることが条件になります。まずは、労働許可を取得してから銀行口座を開設しましょう。
※参照:JETRO「外国企業の会社設立手続き・必要書類(2020年)」
https://www.jetro.go.jp/world/asia/th/invest_09.html
以上のように、会社設立における手続きは複雑です。起業支援や起業代行、法人設立代行を行っている専門家に相談してから手続きを進めることをお勧めします。物件が決まっていない場合、事務所の名義貸しを行ってくれる代行会社も中にはありますし、思うように事業が立ち行かなかった場合の会社清算手続きまで対応してくれる会社もあります。
【その他の関連するQ&A】
タイの会社設立までの流れを教えてください。
タイで会社設立(法人設立)するために必要な書類・準備
【会社設立に必要な書類&情報&準備】 資本金:最低B300万
- 発起人:3名 (現地人1名を含む)
- 基本定款 (付属定款はなくても良い)
- 監査人(タイ公認会計士)
- 会社所在地
- 会社印
- 株主
- 決算日
- Bビザ
- ワークパーミット
GEOによる進出とそのメリット
GEOの仕組み
従来の進出形態として、現地法人を設立する方法、支店を設立する方法、駐在員事務所を設立する方法があります。しかしながら、設立の手間、ランニングコスト、また仮に撤退することになった場合の法人清算手続き負担を考え、進出に二の足を踏むことも少なくありません。
そこで、最近になり新たな進出形態、GEOが注目を浴びています。GEOとはGlobal Employment Outsourcingの略称で、日本語では海外雇用代行を意味します。前述の他の進出形態に比べ、初期投資・リスクを抑え、圧倒的に早いスピードで事業展開を可能とする点が最大の特徴です。
特に進出先で事業をスモールスタートしたい時にはGEO非常に有力な選択肢となります。欧米においては15年ほど前からサービスが開始され、欧米企業の海外進出においては一般的な選択肢となっています。 日本においても近年GEOの活用を考える企業が増えてきています。
特に、従来日本から出張して現地の事業を運営していたものの、コロナ 禍による渡航制限のため従来通りの事業運営ができなくなった企業が、GEOにより現地に人材を雇用して事業を運営する検討を進めています。リモートワークの浸透に伴い、海外事業についてもリモートワークで運営していく企業が増加しています。
GEOでは進出企業が自ら現地法人や支店を設立するのではなく、既にあるGEO会社の現地法人を利用して自社の事業を行う人材を雇用代行してもらいます。この際、雇用する人材(GEO社員)は自ら特定・選定し、その報酬体系も自ら決定します。また日常の業務指示・報告も進出企業とGEO社員の間で直接行い、GEOサービス会社は事業には関与しません。一方で、現地における雇用関係はGEO会社とGEO社員の間で成立しているため、給与計算・社会保障・その他の人事労務業務はGEO会社により行われます。これによって、あたかも進出企業自らが現地法人や支店を設立したのと同様の形で事業を行うことが可能になります。
GEOの進出形態では、進出企業は、
1. 進出先で具体的にどのような事業を展開するのか
2. その事業を成功させるために誰を雇うのか
を決定すれば、その後はGEO会社が特定された人材の雇用を行い、進出先での事業を開始することが出来ます。
GEOのメリット
GEOのモデルを活用すれば、他の進出形態に必要な会社設立に伴う、コスト、手続きを気にせずに、最短1週間で海外進出が実現します。現地法人・支店設立したメリットは、以下のとおりです。
1. 迅速な海外進出:設立手続き不要で最短1週間で事業開始可能
2. バックオフィス負担ゼロ:法人として必要な決算・税務申告や雇用に関連して発生する給与計算・社会保障手続き・人事労務手続きが一切不要
3. コスト・リスク低減:少ない初期投資で開始可能、ランニングコスト削減、撤退時に法人清算が不要
特にまずは数名で事業をスモールスタートしたい場合には、コストメリットも大きく海外進出の有力な選択肢となります。
GEOは現地法人設立と二者択一ではありません。まずGEOで事業を始めてみて、事業が大きくなる見込みがつけばその時点で現地法人に移行することが可能です。現地法人に移行する場合にはGEOで雇用していた人員は当然現地法人に移籍しますので事業の連続性を保つことができます。最初から現地法人で大きく始めるほどの確信がない場合には、まずGEOでスモールスタートしてみてはいかがでしょうか。
タイの事情
前述の通り、タイには「外国人事業法」による外資規制が存在し、現地法人を設立するには多くのケースで日本49%、タイ51%出資の合弁会社を設立する必要があります。実際のところ、進出の前段階で信頼できるパートナー会社を見つけることが困難だという声が頻繁に聞きます。
また、タイで会社設立をするために提出する資料を集めるのも一苦労です。公証役場で公証を取り、翻訳を付けた書類を在日タイ大使館・領事館で認証を受けて、初めて現地で正式な書類として受け付けてもらえます。公的な書類の場合によっては外務省のアポスティーユが求められる場合もあります。書類が全て揃っていれば登記手続き自体は2-3ヶ月で出来ますが、書類に不備がある場合も多く、その場合には前述のプロセスを経て資料を提出することになるため、実際にはもっと長くかかるケースが多くなっています。会社が登記されても、そこからまた時間がかかります。
タイで銀行口座を開設するためには、会社設立と同様のプロセスで公証、認証を受けた書類を準備する必要があります。マネーロンダリング対策で海外企業による銀行口座開設の審査は厳しく、追加的な書類提出を求められることも多くあります。
また、銀行口座開設においては口座の署名人は物理的に現地に赴いて署名しなくてはいけないため、現在の状況では銀行口座も作るにも大変な労力が必要です。利便性のために、現地スタッフを銀行口座の署名人とするとガバナンスの問題が生じます。さらに、タイでは最低1人はタイ在住(タイ人でなくてもよい)の取締役を置く必要があるため、ガバナンスの観点からどうしても日本人駐在員を送る企業が多くなります
GEOのモデルであれば、上記のハードルを気にすることなく、スピーディな事業展開が可能となります。
これからの海外進出のあり方
前述の通り、欧米ではGEOによる海外進出が浸透しており、下記のような思考プロセスで海外進出を検討します。
進出国・事業内容の決定
↓
人材の決定
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雇用方法の決定
日本企業は伝統的に拠点設立ありきで海外展開を考える傾向にありますが、グローバル競争が激化する中で、よりスピード感を持った海外展開が必要な時期に来ています。
以上のように、タイには会社設立に関する外資規制、頻繁な法改正があり、手続きも複雑です。会社設形態の選択はその後の事業展開において重要なポイントとなるため、タイの事情をよく知るタイ現地の専門家に事前に相談することが成功への近道と言えます。
複数の代行会社に問い合わせて、最も適した専門家を見つけましょう。
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