マレーシアで会社設立をお考えの方へ
マレーシアへ進出するにあたり、「どのような形態で会社設立(法人設立)できるのか」「どれくらいの期間で設立できるのか?」などと疑問に思っていらっしゃる方は多いのではないでしょうか。
海外への進出・会社設立は日本と税制や法律、そして言語が違うこともあり、不安を抱えていらっしゃる方も多いと思います。
そこで、2013年より海外進出支援メディアとして世界各地のビジネスの専門家を紹介してきたヤッパン号が、マレーシアへの進出形態やそれぞれのメリット・デメリット、進出までのステップ、必要な書類などについて解説いたします。
マレーシアでの会社設立(法人設立)について知っていただき、実際に進出を検討される方へは、設立支援を行うヤッパン号おススメの専門家も紹介いたします!
それでは、1つ1つみていきましょう!
マレーシアで会社設立する際の進出形態に関するメリット・デメリット
マレーシアに進出する際の進出形態としては、「現地法人」、「支店」、「駐在員事務所」の3種類があります。また、業種によっては「買収」によって進出する日本企業もあるようです。
日本企業がマレーシアへ進出する際はほとんどの場合「現地法人」を設立します。進出形態として、「支店」や「駐在員事務所」の設立も可能ではありますが、「現地法人」の設立に比べて、格段に少ないようです。市場調査を目的とする企業の場合は、「駐在員事務所」を設立する場合もあるようですが、「支店」に関しては、政府関連・建設関連のプロジェクト出ないかぎり、ほとんど利用されることがない進出形態となっています。
「現地法人」を設立する場合、日本法人とは一切関係のない会社設立することになり、支店や駐在員事務所の設立とは違い、日本本社が法的責任や債務を負う必要がありません。また、税務面でもマレーシアの税法に従うことになるため、法人税などが軽減されます。更に、原則、現地法人でなければ、卸売業・小売業・飲食業などは事業ライセンスが取得できなかったり、製造業では税制優遇が受けられなかったり、支店・駐在員事務所の制約が多いこともあり、日本企業がマレーシアに進出する際は、現地法人を設立することがほとんどのようです。
「支店」についてですが、日本企業がマレーシアで支店設立することは、非常に少なくなっています。業種によっては事業ライセンスが取得できなかったり、税制優遇が受けられなかったりと、制約が多いため、実際のところは、建設関係のプロジェクトオフィスや、マレーシア政府機関との合同プロジェクトでなければ、支店を設立する企業は少ないようです。
「駐在員事務所」ですが、マレーシアで駐在員事務所を設立するメリットとしては、登記手続きが現地法人の設立に比べて非常に簡単で、設立費や管理維持費も少なく済むことが挙げられます。また、外国人労働許可の取得が比較的容易で、撤退の手続きも簡単なため、本格進出前の市場調査目的で設立することはあるようです。デメリットとして、営業行為が禁止されており、売上を上げることは一切許されていません。
「買収」によるマレーシア進出ですが、一般的な方法とは言えません。ただ、特殊な場合にこの方法で進出する日本企業もあります。具体的に言えば、事業ライセンスの新規発行が停止している業種へ事業参入したい場合です。マレーシアでは、国内企業を守るための政策として事業ライセンスの新規発行を停止している業種があります。その場合、新しく会社を設立してもライセンスは取得できません。ただ、既にライセンスを所持している企業を買収してもライセンスを継続利用するできるため、買収による進出が可能になっています。
下記が、マレーシアにおける「現地法人」、「支店」、「駐在員事務所」の主な違いになります。
一般的な進出形態は「現地法人」ですが、マレーシアの「現地法人」には、「Company Limited by Shares」「Company Limited by Guarantee」「Unlimited Company」の3つの法人形態があります。日本企業がマレーシアへ進出する際は、「Company Limited by Shares」の会社を設立することが多いようです。日本で言う株式会社に似ており、株主(出資者)の責任が、出資額に限定されている法人形態になっています。
マレーシアで会社設立(法人設立)するための10ステップ
マレーシアで日本企業が会社設立するために必要な期間や費用は、おおよそ下記のとおりです。ここでは、有限責任株式会社である「Company Limited by Shares」を外資100%で設立する際の事例になります。
【マレーシア会社設立のための期間と費用】
- 会社設立の所要期間:1~3ヶ月
- 会社設立の必要経費:1万リンギット~2万リンギット
- 最低払込資本金 :2リンギット (実務的には50万リンギット)
会社設立の代行費用に関しては、代行業者によって大きく異なりますが、日系の業者であれば、1~2万リンギット(約30万~60万円)が相場ではないでしょうか。どこまでの手続きをサポートするかによっても、料金も大きく異なってきます。
マレーシアでの会社設立手続きの流れについて、下記にまとめました。
下記で、各ステップの詳細についてご紹介します。
▼ステップ1:カンパニーセクレタリー(会社秘書役)の決定
マレーシアで会社設立する際は、国家資格を持つカンパニーセクレタリー(会社秘書役)に依頼する必要があります。カンパニーセクレタリーは実際には会社設立から、登記情報の更新・役員会の開催及び議事録作成・保管、監査済み財務諸表の提出・株主総会の招集議事録作成・保管など会社運営に関わる全ての登録事項に携わります。さらに、決算後の会社登録局への報告業務を行います。
政府に登録する会社登記住所に関しても、カンパニーセクレタリーの住所を通知します。名刺などに記載する住所は、実際のビジネス上の住所を利用します。多くのカンパニーセクレタリーはコンサルタントを兼ねています。各種許認可の取得、ワークパーミットの取得、ビジネスライセンスの取得を依頼することができます。さらには操業後の従業員の給与計算、会計処理、税務処理、会計監査の手配など一連の必要業務を依頼するケースが多いようです。
▼ステップ2:会社名の予約・決定
マレーシアで設立する会社名について、既に同一の企業名や類似商号が存在しないか調べる必要があります。企業名の候補を3つ程考えておき、カンパニーセクレタリーを通じてオンライン申請を行い会社名の使用許可を取得します。会社名の確認に必要な期間は1~2営業日です。会社名の予約が完了した後は、3ヶ月以内に会社設立を完了する必要があります。
▼ステップ3:発起人(取締役)・株主の決定
会社を設立する際に、発起人を兼ねた居住取締役が2名必要になります。通常は設立時の株主も兼ねます。発起人・居住役員はマレーシア人以外にも、マレーシアのワークパーミットを所持している日本人も務めることができます。会社設立後も同様に、最低2名のマレーシア居住取締役が常時必要です。そのため、発起人がそのまま居住取締役を務めるケースもありますが、自社の駐在員がワークパーミットを取得して交代する場合が大半です。2名の居住取締役が居れば、他に非居住の日本人が非常勤の取締役に就任することが可能です。マレーシア居住の発起人と居住取締役の確保が難しい場合は、会社秘書役(カンパニーセクレタリー)が対応している場合もあるため、相談してみてください。
▼ステップ4:定款・必要書類の作成・準備
マレーシアでは、会社設立手続きの際に、定款に当たるM&Aが必要になります。M&Aは普通定款(Memorandum of Association)と、会社の運営規則を定めた付属定款(Articles of Association)から構成されています。それぞれの具体的な記載事項の一部を下記に上げます。
基本定款の主な内容
- 会社名
- 事業目的
- 授権資本金額と株式総数
- 発起人の氏名・住所・職業・引き受け株式数
付属定款(運営規約)の主な内容
- 株式の種類と株式保有者の権利
- 株式の払い込み、増資・減資
- 株主総会の招集・議決方法
- 取締役の選任と取締役会
- 社長の役割
- 社印(コモンシール)
- 会社秘書役
- 会計処理
- 会社の解散
▼ステップ5:会社設立申請
カンパニーセクレタリーがオンラインで申請します。
実務上は、まず、40万リンギットの授権資本金・払込資本金は2リンギット(発起人が一株1リンギットずつ株を持つ株主になる)で会社登記を行い、その後に資本金の増資を行場合が一般的です。
定款その他の必要書類を、登記手数料RM1,000を添えて会社登録局に提出します。基必要書類が全て整っており、申請が受理されれば、2−3日ほどで登記が承認され、会社設立証書が発行されます。
▼ステップ6:銀行口座の開設と資本金の増資
会社が設立できたら、すぐに銀行口座を開設します。事業内容によって増資をする際に、この口座に払込資本金を支払います。ワークパーミッドを取得するには、業種により必要な金額が決まっていることがあるため、それに見合うだけの資本金を振り込みます。ほとんどの場合、外資100%の非製造業でワークパーミットが必要な場合は、100万リンギットの払込資本金が必要です。
▼ステップ7:就労枠の認可とワークパーミットの取得
非製造業の場合は資本金要件を満たし、国内産業省の卸小売貿易委員会(WRT)への登録をする場合がほとんどです。製造業の場合はマレーシア投資開発庁(MIDA)から永久ポストあるいは期限付きポストの認可を得ます。いずれの場合も最終的には入国管理局から雇用バスと呼ばれるワークパーミットを取得します。
▼ステップ8:第一回取締役会の開催
会社設立が完了したら、1ヶ月以内に最初の取締役会を開催する必要があります。ただ、実際にはカンパニーセクレタリーが用意した書面にサインをするだけの書面決議で済ませる企業がほとんどです。第一回取締役会にて決定するべき内容は、おおよそ下記のような内容です。
- 社印の認定
- 株式発行
- 取締役の任命
- 会社秘書役の任命
- 会計監査人の任命
- 株式発行・増資の決定
- 銀行口座開設に関する決定
▼ステップ9:ビジネスライセンスの取得
ほとんどの業種は、ビジネスライセンスの取得が必要です。ビジネスライセンスは最寄りの市役所に登録します。要求される資料が多くなり以前のように簡単な申請ではなくなりました。また、マレー語での申請作業ですから会社を設立したコンサルタントに依頼するケースがほとんどです。
また、業種によっては、事業に関連したライセンスの取得が必要です。例えばレストランで酒類を提供するにはリカーライセンスが必要です。
▼ステップ10:第一回株主総会の開催
株主総会には、年度総会と臨時総会があります。最初の年次総会は会社設立後18ヶ月以内に開催する必要があります。取締役の交代や、配当の決定、監査人の選任、監査済みの決算書の承認、取締役報告書などを決議します。
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