インドネシアの会社設立(法人設立)まとめ:手順・費用・期間・必要書類 | 日本企業の海外進出支援サイト ヤッパン号

インドネシア×会社設立特 集


インドネシアで会社設立をお考えの方へ

インドネシアへ進出するにあたり、「どのような形態で会社設立(法人設立)できるのか」「どれくらいの期間で設立できるのか?」などと疑問に思っていらっしゃる方は多いのではないでしょうか。

海外への進出・会社設立は日本と税制や法律、そして言語が違うこともあり、不安を抱えていらっしゃる方も多いと思います。

そこで、2013年より海外進出支援メディアとして世界各地のビジネスの専門家を紹介してきたヤッパン号が、インドネシアへの進出形態やそれぞれのメリット・デメリット、進出までのステップ、必要な書類などについて解説いたします。

インドネシアでの会社設立(法人設立)について知っていただき、実際に進出を検討される方へは、設立支援を行うヤッパン号おススメの専門家も紹介いたします!

それでは、1つ1つみていきましょう!

掲載情報については2022年11月21日時点における情報に基づいて、ヤッパン号編集部で作成したものです。ただし、その掲載情報の真実性、合法性、安全性、適切性、有用性について弊社(イシン株式会社)は何ら保証しないことをご了承ください。直接、専門家の方々にお尋ねすることをお勧めいたします。くれぐれも慎重にご判断ください。

1インドネシアで会社設立するために知っておきたいポイント

ポイント1:インドネシアに会社設立(法人設立)する際の進出形態とそれぞれのメリット・デメリット

ポイント1:インドネシアに会社設立(法人設立)する際の進出形態とそれぞれのメリット・デメリット

インドネシアに進出する際の進出形態としては、現地法人、支店、駐在員事務所、の3つの選択肢があります。ただ、他国では支店設立も選択肢の一つとなりますが、インドネシアでは、金融業・保険業などの特定の業種以外は支店設立できないため、今回は説明から省きます。

現地法人を設立する場合、外資法人である PMA(Penanaman Model Asing)と、内資法人である PMDN(Penanaman Model Dalam Negri) の2種類に大別され、進出時の制限や規制が異なります。但し、下記でも紹介しておりますが、海外進出される際に特段の例がない限り100%内資法人を設立する例はほとんどございません。進出形態の検討は、PMAと駐在員事務所(KPPK、KP3A、BUJKA等々)の2種類を検討すれば問題無いでしょう。

進出形態の大まかな選び方としては、下記のとおりです。
外資法人 (PMA):
プライオリティリスト(外資規制) ※1に制限されない業種&十分な資金を投資できる場合
駐在員事務所:
営業行為を行わずコスト・リスクを抑えたい場合
内資法人 (PMDN):
プライオリティリスト(外資規制)の対象業種・または多額の投資を避けたい場合

※1 従来2016年に改正された「ネガティブリスト」は2021年より優先事業を重視する意義で「プライオリティリスト」に名義変更されております。その中でも外資出資比率規制がある「条件付き事業分野リスト」に関しては従来350業種あったものの、現在46業種に大幅減少されております。また従来外資規制されていた小売業や飲食業に関しても外資100%で設立が可能となります。改正前に比べ比較的外資出資での法人設立が簡易的になっております。

下記が、「外資法人(PMA)」、「駐在員事務所」、「内資法人(PMDN)」の主な違いになります。

インドネシア進出形態 4パターンの比較表

PMA(外資株式会社) 駐在員事務所 PMDN(内資企業) 支店
営業行為の可否 可能 不可 可能 「金融業」&「保険業」特定の業種に限られる
最低払込資本 100億ルピア なし 最低投資額の25%以上
最低投資額 100億ルピア 規定なし 規定なし
独立した法人格の有無 あり
※現地の株式会社名で契約の締結が可能
なし
※あくまでも日本社の事務所という位置づけ
あり
※現地の株式会社名で契約の締結が可能
日本本社の法的責任 なし あり なし
※株主に責任
法人の決算・税務申告 あり あり あり
ライセンス取得難易度 プライオリティリスト
参照
比較的簡易
※建設駐在員事務所(BUJKA)は条件が 厳格的
プライオリティリスト
関係なし
取締役の条件 最低1名 なし 最低1名
※社長はインドネシア国籍のみ
監査役の条件 最低1名 なし 最低1名
法人税 22% なし 22%
就労ビザの発行 可能
※但し一定数のインドネシア人従業員の雇用が条件となる
可能
※但し一定数のインドネシア人従業員の雇用が条件となる
可能
※資本金額によって人数制限有

下記が、それぞれの進出形態の詳細です。

[外資法人 (PMA)]
インドネシアで会社設立する際の法人形態は多くの種類がありますが、日本企業がインドネシアに現地法人を構える場合、現地投資法の規定により、日本の株式会社に相当する「PT」 (Perseroan Terbatas) を設立することになります。

「PT」の中でも、外国人・外国企業(インドネシア人以外)の出資により会社設立できる形態が外資企業「PMA」になります 。外資が1%でも含まれていればPMAになります。現地パートナーとの合弁企業を設立する際も、外資法人としての扱いになります。また日本と違い、インドネシアでは外資法人に当てはまる企業は全て大規模企業に分類されますのでご留意ください。

事業内容がプライオリティリスト (外資規制対象業種リスト) に該当しない場合は、外資100%の会社設立も可能です。制限が厳しい場合、現地企業との合弁や内資 100%の会社設立などを検討する必要があります。また、内資法人PMDNの設立と比べても、必要な資本や費用が多額で、且つ、最低投資金額 (土地・建物を除く固定資産&3ヶ月分の運転資金など) が100億ルピア (約1億円) 必要になるため、一定の資本力が必要となります。

[駐在員事務所]
インドネシアには「駐在員事務所」が各関係省庁で登録できる複数の種類がありますが、どの駐在員事務所も、他の国と同様に営業行為が禁止されています 。駐在員事務所は、法人格を与えられませんが、設立が容易で、且つ、投資金額も少額に抑えることが可能です。検品作業、業務提携の交渉、情報収集、物流の管理など、営業行為以外の業務を目的とする場合、駐在員事務所の設立を検討することをオススメします。

なお、日系企業の駐在員事務所には主に下記の通り、「外国商事駐在員事務所(KP3A)」「外国駐在員事務所(KPPA)」「建設駐在員事務所(BUJKA)」の3種類が存在します。

外国商事駐在員事務所
KP3A
外国駐在員事務所
KPPA
建設駐在員事務所
BUJKA
登録先 商業省 投資省 公共事業省
目的 貿易の円滑化 企業間の調整
投資準備
建設準備
業務範囲 製品情報の紹介
市場調査
販売促進&管理
貿易事務補佐
インドネシア子会社の管理
外資企業設立準備
企業、政府との連絡
現地建設企業との契約&入札
設立場所 首都、県、市 首都に限られる
(オフィスビル内入居)
限定無し
(オフィスビル内入居)
注意点 外国人1名につきインドネシア人3名の雇用義務 所長は現地に居住 インドネシア人技術責任者の雇用

[内資法人 (PMDN)]
内資で会社設立するメリットは、プライオリティリストの外資規制を受けないことと、最低払込資本金 (実際に必要な資本金) が少額で済むことです。内資法人は最低資本金の規定がない為、初期投資を少額に抑えられます。

しかし、内資企業の中でも零細企業、小規模企業と中規模企業に分かれ、労働省の規定により外国人雇用は中規模企業以上でなければ否認対象となります。過去の実績では資本金10億ルピアで取得した経験もございましたが、中規模企業の条件として最低資本金が50億ルピアであることから、外国人VISAを確実に取得するのには外国人一人につき50億ルピア(約5000万円)以上の最低払込資本が必要でございます。

またリスクとして、設立した法人自体を乗っ取られる危険性がございます。外国人の出資が一切許されないため、法人登記の際に、インドネシア国籍の名義人 (会社設立後の株主) を2名集める必要があります。会社設立後も日本人が株主になることはできず、会社の所有者はインドネシア人のままになるため、彼らに会社を乗っ取られる危険性があります。契約書を作成しリスクを軽減している外国企業もあるようですが、本当に信頼できる現地パートナーを見つけない限り、非常に大きなリスクを抱えることになります。

以上のことから内資企業はお勧めできず、日本から駐在員を派遣させて営業活動をされる場合は外資企業(PMA)でご設立されるのが好ましいです。それでも尚、内資法人設立を検討する場合は、現地パートナーの紹介や内資法人設立の成功実績が豊富な専門家に相談することをオススメします。

ポイント2:インドネシアで会社設立(法人設立)するための6ステップ

ポイント2:インドネシアで会社設立(法人設立)するための6ステップ

日本企業・日本人がインドネシアで会社設立するなら、外資で設立できる株式会社 (PMA) の設立が最も一般的です。ただし、進出形態を決める前に、プライオリティリスト (外資規制対象業種リスト) について必ず確認しておきましょう。業種によっては、大きな制限や、外資による参入自体が禁止されている可能性があります。

【インドネシア会社設立のための期間と費用】

- 会社設立の所要期間:約半年(事業開始まで)

- 会社設立の必要経費:約100万円(会社設立代行)

- 会社設立最低資本金:約1億円(100億ルピア)

インドネシアの会社設立には、登記から事業開始までに約半年の所要期間を見ておくのが妥当です。ただし、プライオリティリストに該当する業種の場合は、内資法人の設立や、現地企業との合弁会社設立を検討する必要もあるため、プライオリティリストに関する調査・検討を含めると、もう少し期間が必要になるかもしれません。

インドネシアで会社設立 (PMA) のステップをまとめると下記のような流れになります。

インドネシアにおける会社設立登記までの6STEP 想定所要期間
STEP 1 プライオリティリストに関する調査・検討 1~2週間
STEP 2 定款の作成 1週間
STEP 3 納税番号(NPWP)・課税事業者番号(PNPKP)の取得 1~2週間
STEP 4 銀行口座開設 2~4週間
STEP 5 資本金の払込 1日
STEP 6 OSS RBAシステム登録・申請(事業基幹登録番号NIB) 約3カ月

登記まではSTEP6まででございますが、事業分野やリスクベースによっては事業基幹登録番号NIBが発行された後に環境アセスメントやその他取得が必要です。

STEP 7 その他操業許認可の申請・取得 約半年~1年以上

下記で、各ステップの詳細についてご紹介します。

STEP1
プライオリティリストに関する調査・検討

インドネシアに進出する前に、事業分野番号(KBLI)を確認しましょう。事業分野番号(KBLI)についてはインドネシア語で400ページ以上に及ぶ一覧表がございます。英語や外国語の翻訳がなく業務も非常に細かになっており、検討している事業番号の割り当ては容易ではないため、投資省(BKPM)或いは専門家に照会いただくことが無難でございます。

次にプライオリティリストを必ず確認しましょう。インドネシアにおいて日本人を含む外国法人・外国人が出資者 (株主) として事業展開する際の投資プライオリティリストは、大きく3つに分類されており、① 優先事業分野(プライオリティ)リスト、② 中小零細企業・協同組合のために留保されているまたは、パートナーシップが条件づけられている事業分野リスト、③ 条件付き事業分野(ネガティブ)リストの構成となっています。外資の参入が全く許されない業種や、外資の上限出資比率が定められている業種もあれば、製造業のように外資100%での事業参入が認められている産業もあり、あらかじめ事業分野番号(KBLI)を把握する事で確認可能です。

業種によって、日本資本のみで法人設立するべきか、現地企業と合弁会社を設立するべきか、もしくは、内資で法人設立してみるか、選択が変わってきますので、しっかりとご検討ください。

STEP2
定款の作成

会社登記のために、定款を作成します。定款の作成自体は1日もかかりませんが、記入内容の決定に時間がかかります。基本的には、法人設立を依頼した業者に指定される情報だけ準備しておけば、業者が作成してくれます。必要な情報はおおまかに下記の内容になります
- 株式数
- 取締役
- 監査役(コミサリス)
- 現地不動産の賃貸契約書
- 会計年度
- 資本金
※設立定款が法務人権省にて承認されるとAHUオンラインという管轄省庁システムに自動的に反映されます。

STEP3
納税者番号(NPWP)・課税事業者番号の取得(PNPKP)

会社定款の手続きを行った後、税務当局に対し納税者番号(NPWP)の取得申請を行います。納税者番号を取得することで、会社は法人税、源泉税などの税務申告義務が生じます。納税者番号を取得後、課税事業者番号(PNPKP)の取得申請を行います。課税事業者番号の取得には通常過去2年分の取締役員様のインドネシアでの所得確定申告(SPT)が必要となりますが、外資法人の場合はインドネシアで就労した経験がない方がほとんどでございます。しかし、一定の条件を満たした上での申請は可能でございますので、まずは専門家へご相談して頂く事をお勧めいたします。

STEP4
銀行口座開設

納税者番号や課税事業者番号が取得できたら、銀行にて法人口座を開設します。インドネシア国内の銀行であれば、日系の金融機関でも問題ありません。銀行での手続きは基本的に下記書類をご提出頂く必要があります。また、日本とインドネシア間での書類原本送付等で時間がかかるため、厳密には申請から開設までに2~4週間ほどかかってしまいます。
- 法務人権省承認現地法人定款
- 納税者番号(NPWP)
- 所在地証明
- 株主、取締役、代行人の個人情報 ・・・等々

STEP5
資本金の払込

法人口座が開設できたら、そのまま、資本金を払い込みます。インドネシアでは、外資法人設立の最低払込資本金及び最低資本金は、1つの事業分野番号(KBLI)につき100億ルピアと定められております。但し、頭文字2ケタが同じであれば複数の事業分野番号を取っても100億ルピアでの投資額で可能になる等、特例の事業分野もございますので専門家へご相談して頂く事をお勧めいたします。払込が終わったら、会社登記のために、残高証明をとっておきましょう。

STEP6
OSS RBAシステムの申請

2021年より投資省は事業許認可取得手続き及び各活動報告のオンライン化を目的としオンライン・シングル・サブミッション リスクベース・アプローチ システム(通称:OSS RBAシステム)を導入しました。以前のような各関係省庁へ出向し許認可の提出や登録をする必要もなくなり、システム上で許認可の管理が一括可能となっております。

リスクベースの意義は排気ガスや環境汚染等、事業活動における環境や安全、健康へのリスクを評価したうえで、リスクの位置づけが行われております。尚、各リスクレベルは事業分野番号(KBLI)一覧で確認可能です。

<各リスクにおける必要許認可>
リスク低:事業基幹登録番号(NIB)
リスク中の低:事業基幹登録番号(NIB)、標準証明書(SS)
リスク中の高:事業基幹登録番号(NIB)、標準証明書(SS)※政府審査あり
リスク高:事業基幹登録番号(NIB)、関係省庁からの許認可等

このステップで代表者様の個人情報でサインアップしていただき、ステップ2~5までに行った必要なデータをご入力して申請して頂きます。

システム上、申請に不足データ等の問題がなければ約半年で承認されます。申請が承認された後、各レベルの許認可が発行され、始業可能となります。
※従来各省庁にて取得が必要であった、税関局登録認可(NIK)、輸入業者認可(API)、商業省登録(TDP)は全て事業基幹登録番号(NIB)に統合され一括管理が可能となりました。

また業務ごとに取得必要のあるその他許認可(環境アセスメントUPL-UKL、マスターリスト等)についてはOSS RBAシステム上で、上記に挙げられる各許認可を取得の上申請が可能でございます。

【補足】
外国人のVISA取得(外国人労働者雇用許可RPTKA)は、OSS上での許認可申請(会社登記)が完了しない限りは就労ビザ取得ができませんのでご注意ください。

ポイント3:会社設立(法人設立)に必要な書類や準備及び、会社設立後に必要なライセンス

ポイント3:会社設立(法人設立)に必要な書類や準備及び、会社設立後に必要なライセンス

【会社設立に必要な書類&情報&準備】

- 出資者:最低2名 (法人・個人どちらでも可)

- 出資額:それぞれの株主様の出資額と1株における株価

- 取締役:最低1名

- 監査役(コミサリス):最低1名

- 授権資本金と払込資本金の総額(100億ルピア)

- 会社の定款と登記簿謄本:公証人にて認証済みのもの

- 各代表者のパスポート

- 事業分野: 規定があるため業者・専門家に聞いてください

- 会社名

- 会社住所

【会社設立後に取得が必要な許認可】

- 中古機械輸入許可

- マスターリスト

- 環境アセスメント(UPL-UKL)

- 保税工場認可(PDKB)

- 各所有証明(土地や建物等)

等々、取得する事業認可によって様々でございます。

監修企業:ジャパンアジアコンサルタンツ / PT.JAPAN ASIA CONSULTANTS

監修企業:ジャパンアジアコンサルタンツ / PT.JAPAN ASIA CONSULTANTS

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