お客さまとともに未来を創る、社外CFOでありたい -2 | 進出企業インタビューならヤッパン号


お客さまとともに未来を創る、社外CFOでありたい-2

株式会社東京コンサルティングファーム 代表取締役 小林 祐介

お客さまとともに未来を創る、社外CFOでありたい-2

たった1人で独立した会計事務所が、いまや27ヵ国44拠点、従業員400名以上のグローバル企業となった、株式会社東京コンサルティングファーム。その理念に共感する社員たちが、世界中で顧客の未来のために奮闘しています。客先常駐型コンサルとして大きく伸びた、その成長の鍵はどこにあるのでしょうか。同社の小林様に、創業から海外進出に至る経緯や、大切にしている考え方、今後の展望などを伺いました。

点から面へ、伸びるための海外展開

―海外展開を進めているのはなぜですか?

 リーマンショック前の業績が伸びている頃、代表の久野がニューヨークに視察に行く機会がありました。その時、アメリカの会計士の現状を知ったのです。そこでは申告などのPC作業を人件費の安いインドなど外国に流し、会計士が職を失いつつありました。

「いずれ日本も同じように、国内での会計業務自体がなくなるかもしれない」、そんな危機感を覚え、生き残る道を探さなければならないと、帰りの飛行機で強く思ったそうです。

 ちょうどお客さまの中に、中国やタイに拠点を持っている企業様があり、「海外の税務のノウハウがなく、満足できるサービスがない」というお話も聞いていました。私たちはそれまで海外でのビジネスの経験はなかったのですが、「お客さまが行っているのであれば、私たちはもっと早くやらなければいけなかったはずだ。自分たちも海外でビジネスができる会計事務所になるべきではないだろうか」と考えました。それが海外事業を本格的に始めることにしたきっかけです。

 まず近場からということで、2005年末に、上海と香港に事務所を作りました。しかし、いちから新規でクライアントを獲得していくのは難しく、事業は失敗。800万円の赤字を出してしまい、わずか3カ月で撤退することになります。

 久野代表は当時、中国で大きく伸びていた日系の会計事務所に、「なぜそんなに大きくなることができたのですか?」と話を聞いてみました。すると、「自分たちが一番最初に進出したからだ」というのです。

 「なるほど」と思った久野は、先行者メリットを狙うべく、2006年にインドに進出することを決めました。インドでは、日本人がいる日系の会計事務所が、まだ無い状態だったからです。

 ノウハウゼロからスタートした私たちは、「インドに強い会計事務所」をアピールするため、情報を本にまとめることにしました。現地の法律を日本語訳し、解説をつけてまとめた、今の「赤本シリーズ」の先駆けになった本です。

 本を現地の日系企業にどんどん配り、それをもとに企業にアプローチしていくと、大きな企業からも問い合わせが来るようになりました。そして徐々にお客さまが増えていったのです。

東京コンサルティングファームHPより

 2007年から3年間は、海外拠点はインド1カ国のみでした。しかし、いきなりインドに進出しようという企業も少ないですし、日本とインドの点と点では限界がある。ASEANの他の国との繋がりを持っている会社も多かったことから、「点ではなく、“東南アジア”といった面で支えたい」という思いが募りました。

 そこで、これから伸びる国ということで、ベトナム、インドネシア、タイに同時に進出することにしたのです。インドと同じやり方を取ったところ大成功。フィリピン、マレーシア、シンガポールなど他のASEANの国々へと事業を広げていくことができました。その後、中国にも再上陸。ロシア、ブラジル、アフリカなどにも広げ、気づけば27の国、44拠点になったという形です。

東京コンサルティングファーム 拠点

 

―多くの日本企業が失敗するなか、ここまで海外展開が成功できたのはなぜですか?

 私たちのお客さまは、ほとんどが日系企業ですから、まずは日系企業の進出している国を中心に選んでいます。そして、新興国にフォーカスしたことが大きかったといえるでしょう。

 先進国にはすでに同業者が多く進出しているというということもありますが、伸びの角度が新興国に比べると緩やかですので、自分たちの成長も緩やかで終わってしまうと考えました。今の私たちの戦略は、「伸びている市場で勝負するということ」なのです。

 小さい会計事務所で少数精鋭でやっている場合ですと、海外に進出するというのは難しいかもしれません。当社の場合、うまくいった要因の一つとして、派遣事業で人員を大きく増やしてきたということがあります。

 従業員がたくさんいれば、海外勤務希望者を募ったときにも、手を挙げる者が何人か出てきます。当然、派遣事業でキャッシュリッチになったことで、財務的にも、海外投資のアクセルが踏めたということも事実です。

 また海外進出した企業の中には、各拠点ごとの事業運営を全て拠点長に任せている場合も多いようですが、私たちはそうではありません。財務的なところはもちろん、どういう戦略でどのようにやっていくのか、中央集権的な管理をしています。もちろん現地の考えも出してもらいますが、決して放置したりせず、しっかりと管理をするということを諦めずにやってきました。

 海外進出をしても、うまくいってない企業というのは、駐在員として送った日本人が、目の前の緊急性のあるところだけをやって、終わってしまっている気がします。ロワーマネジメントの仕事ばかりに注力し、本来のマネジメント業務に関与していないことが多いのです。

 本来大切なのは、会社を中長期でどう成長させていくかをきちんと企画して、それを実行することであるはず。その重要性が疎かにならないように、ロワーオペレーションはできる限りローカライズしていくというのが、非常に大事なところではないかと思います。

 いま、全社の売り上げの半分が海外ですが、利益でいうと8割を占めます。海外はコストも日本よりかかりませんし、まだまだ日系クオリティということで、プライシング(サービス提供料金)でローカルの事務所に差をつけている立場にあります。

 ただ、会計業務の部分だけ見れば、現地の事務所とやっていることは大差はありません。もっと付加価値をつけていかないと価格崩壊が起きてしまいます。あぐらをかいているわけにはいかないのです。

【監修:東京コンサルティングファーム】
世界27カ国44拠点進出。取引時実績700社。 海外進出支援・海外ビジネスのファイナンスサポート・進出後の海外スタッフのマネジメント支援までの一括コンサルティングなどを通し、日本企業の海外ビジネスを徹底サポート。
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