【地方の中堅企業がアジアで挑戦】
―まず御社の事業内容を教えてください。
いま「豚骨火山らーめん」のブランドでシンガポール2店舗、タイのバンコク1店舗を展開しています。
弊社の親会社は株式会社サンパークで、関西圏で飲食、リサイクルショップ、アミューズメント施設を運営しています。規模としては年商42億円、従業員650名の会社です。業態としては、フランチャイズ業態と自社ブランド業態を持っています。なので、特に弊社は日本の大手飲食チェーンなどではなく、地方の中堅企業なんです。
【なぜシンガポール進出なのか】
―なぜ関西の中堅企業である御社が、進出先として東京ではなく、いきなりシンガポールを選んだんですか?
実は2011年に東京進出を検討したんですが、ちょうど東日本大震災が起こり、日本ではなく海外に目を向けるようになったんです。どうせ出るなら、いっそのこと海外に出ようと。そこで検討にあがったのがシンガポールでした。
―なぜシンガポール進出を決めたのですか?
まずビジネス環境の良さですね。法人設立もしやすいし、飲食業への外資規制もない。進出する1か国目としてシンガポールが最適でした。また、シンガポール以外にもアジア新興国に進出する計画だったので、シンガポールで成功させてから、他のアジア新興国へ進出した方がやり易いだろうというのもありました。
―「豚骨火山らーめん」は御社にとって新たなブランドですよね?なぜこのコンセプトでやろうと考えたんですか?
まずシンガポールに視察で2泊3日行きました。1日11店舗も周って試食を繰り返しました。当初は日本での実績を考えてハンバーグ店とラーメン店での進出を同時に検討していたんです。
何度も事業計画書を作っては検討し、最終的にラーメン店の進出で決定しました。あえてリスクを承知で競争の激しいラーメン店で勝負することにしたんです。
当時からシンガポールでのラーメン人気は本当にすごかったんです。特に豚骨ラーメンの人気が凄まじかった。すでに「らーめん山頭火」さんや「一風堂」さんなど日本でも人気のラーメン店さんが出店していて、すごい行列でした。もちろん同時に競争環境も激しかった。
そこで、私たちは日本のブランドをそのまま持って行くのではなく、あえてローカルの人に特化したブランドを新たに作ろうと考えたんです。そして試行錯誤の結果、できたのが火山の噴火のようなラーメンである「豚骨火山らーめん」です。石焼鍋の中にラーメンを入れて、そこにスープを入れて湯気が一気に出る。そのうえに山型の蓋をして頂上の煙突部分から煙が出る仕組みです。まさに噴火している火山のようなラーメンなんです(笑)。すでに豚骨ラーメンはたくさん進出しているので、エンタメ性などを取り入れて、他と差別化しようと考えたわけです。
―面白いラーメンですね。はじめから現地のシンガポーリアン向けに商品開発をしたんですね。
シンガポールに日本人は多く住んでいますが、数でいえば2万6千人ほど。シンガポールの総人口は530万人。ここを狙いにいったわけです。