ベトナム進出に挑むためのプラットフォームを確立する
―近年ベトナム市場が注目されていますが、その魅力は何ですか。
畠山:平均年齢の若さと約8500万の人口です。また、法制度も比較的安定していて、親日的。こんな国は世界中を探してもなかなかありません。
篠田:国民性も勤勉で、手先が器用。親を敬い先輩を立てる風土も日本と似ています。教育水準が高い反面、英語力はさほど長けていないことが、日本との関係性を深めてもいます。
―進出する日本企業にとっての具体的メリットを教えてください。
畠山:法人所得税が優遇されます。具体的には、赤字のあいだは免税。また、利益創出後も5年間は免税です。その後も10年間にわたり、通常の25%に対し、約12.5%に減税されます。
篠田:人件費が安く、国内トップクラスの大学から有能な人材を確保できる可能が高いことです。中小・ベンチャー企業が将来の成長戦略を描くうえでは、ポテンシャルの高い優れた人材の採用が必要です。その点、ベトナム男性の人気No.1職種はITエンジニアですから、国内のエリート人材がIT企業に集中するのです。
―ベトナム市場に進出するうえでの難しさは何でしょうか。
篠田:システム開発では、明確な業務フローに沿って指示を出さないとクオリティが低くなってしまう場合があります。ただし、それは彼らの能力の問題ではなく、認識の違いが原因。正しい管理と指示さえ行えば、十分なパフォーマンスが期待できます。
畠山:つまり、現地の優秀なエンジニアたちに、ベトナムにはない「業務フロー」を理解させるため、「根気よく説明して彼らの理解を得る」必要がある。彼らの能力を十分に発揮させるには、この行程が重要なのです。
篠田:この他、冬休み前に必ず少額の給付金やプレゼントを渡して社員を慰労することが、以外と大切です。また、交通インフラが不整備で遅刻が多いなど日本とは違う環境や慣習を理解しておかないと、マネジメントも上手くいかないですね。ただし、現地の習慣に迎合するだけでは将来性のある人材の育成は出来ませんから、間違った習慣は断固拒否する強さも必要です。私たちはそういったベトナムの慣習情報の提供を含め、日本の中小・ベンチャー企業が安心してベトナム進出を実現できるスキームを作るために、LTT社を立ち上げたのです。
―LTT社のサービス内容はどのようなものですか。
篠田:サービスには大きく分けて4つあります。1つめの「オフショア開発」は、開発プロジェクトの案件ごとに業務を請け負う形が多いですね。2つめの「ラボ契約」は、企業さまのベトナム現地支社設立を当社の専任担当がサポートするパッケージ契約を用意しています。3つめの「採用支援」は、告知・募集を行う求人媒体の選定から応募者の精査までをサポートします。4つめの「オフィス立ち上げ支援」は、ベトナム支社立ち上げの際の準備期間中、当社内のスペースをレンタルオフィスとして提供します。
―今後、御社が目指す方向性を教えてください。
篠田:日本のあらゆるベンチャー企業が、ベトナムに進出するためのプラットフォームを目指します。また、今後は当社がベトナム進出をサポートした企業と協業で、アジア市場や世界に向けた革新的なサービスを生み出したいですね。
畠山:まずは、当社のサポートで生産コストの削減を実現してもらう。そして、ベトナム現地で商品開発を行い、新たな市場に進出する。日本のベンチャー企業の世界進出を後押しするのが当社の未来像ですね。