▼村山様のこれまでのご経歴についてお聞かせください。
大学を卒業後、新卒でNTTドコモに入社しました。入社当社は営業をやっていました。ドコモショップを運営する代理店さんを含めたルートセールスからはじめまして、一部法人営業も担当していました。
その後は人事採用や、育成プログラムのような形でアメリカ留学に行かせていただきました。
留学終了後はdocomo USAの事務所があるワシントンD.C.に籍を置き、それ以降国際事業をメインに従事して参りました。
その中で2年間のインド駐在という大変貴重な経験をさせていただきました。インド人にどうコミュニケーションを取るべきか、インド人上司に対してどう働きかければスムーズに仕事が進むのかなど、異文化ならではの学びをたくさん得ることができました。
▼日本人と比較して、シンガポール、アメリカ、インドにおける、現地スタッフの特徴で印象に残ることはありましたか。
“日本の常識は海外では常識ではない”という部分ですね。
やはりインドは「時間通り」ではないです。しかしこれは、わざとではなく自然体なんです。一方で日本人は、時間にはやはり正確でありたいと思う。
シンガポールのスタッフは日本に興味があるスタッフも多く、時間の正確性は重要だと認識しているスタッフが多いですね。
また、“いかに意識を共有するか”が難しく、なんとなく「Yes、Yes…」と言ってもらえていても、頭の中は全然違うことを考えている場合もあります。そういった点は気を使って物事を進めています。
▼時間の伝え方に関してはどのような工夫をされていますか。
やはり、頻繁にフォローアップして確認するしかないと思います。
特にインドでは、「この仕事やってくれる?」と聞くと、『何でもやりますよ!』というくらいの勢いで引き受けてくれる。その時は本当にそう思っているんです。
でも日々の仕事の中で、色々なメールが飛び交っているうち、自分がお願いした案件のメールがだんだん下に行って、メールの画面から見えなくなると同時に、彼らの頭からも消えちゃうんです。
ですから、彼らの優先順位が下がっていそうだなと感じる前に定期的にリマインドをするようにしていました。
また、「提出は金曜日まで」と言ってもまず金曜日には上がってこないので、早めに期日を設定したり、時間のかかる作業であればこちらでフォローできる体制を整えるなどの工夫もしています。
そうでないと、日本の本社との板挟みになります。日本側が金曜日と言ってきたら、本当に金曜日が締め切りなんです。でもインドの人はそんなことはあまり気に留めません。そういったバランス調整を行ってきました。
▼経営理念や社内文化の浸透も現地法人で行っているのでしょうか。
日本の本社で掲げている経営理念、社内文化を理解することは日本側とコミュニケーションをとるうえでも重要だと思います。一方で、我々独自の理念・方針も必要だと考え、今年度の事業計画を策定する際に独自のビジョンやミッションを作りました。
ビジョンとしては「お客様に選ばれ続けるアジアのスマートイノベーションパートナー」を掲げています。
ミッションは「お客様のアンメットニーズ(まだ満たされていない潜在的な要求・需要)を探求し、解決する」と定めています。
つまりお客さまとのコミュニケーションを大事にし、一緒に課題解決をしていき、強い会社にしていくことを目指しているところでございます。
▼勤怠管理に関して、海外だからこそ難しいと感じることはありますか。
もともとコロナが流行する前から、働き方改革というテーマで、もっとデジタル化やフレックスを進め、在宅勤務も導入してみようという話はしていました。
フレックスを導入する際に、管理面の課題がありました。従来のタイムカードはちょっと古いと感じていたこともあって、勤怠管理のシステムである「KING OF TIME」を導入しました。
もともと日本のドコモが取り扱っていて、シンガポールでもご担当の方にご提案していただき、決定しました。
良かったところはカスタマイズがすごく効くところです。日本の本社の働き方にはいろいろルールがあり、出向社員はそれに基づいて動くのですが、そういった細かい部分も柔軟に設定できるんです。働きすぎていないかという所も、見ることができました。
また日本の有給制度も、フレキシブルに1時間単位で使える代わりに、計算間違い起こりやすいという問題もありました。
もともと人数が少なかったので、Outlookにスケジュールを入れていれば、外出なのか、居るのか、休みなのかは認識できたのですが、有給までは自動化できませんでした。そういった点もKING OF TIMEを導入することでシンプルになりましたね。
▼従業員の方はどのような反応でしたか。
導入当初はクロックイン(WEB上での出勤報告)を押すのは忘れがちでした。出社するスタッフには指紋認証の機械があるため押し忘れは少なかったのですが、在宅になった当初はクロックイン・クロックアウト(WEB上での退勤報告)の漏れがありました。
私自身も出社時は良いのですが、帰りは忘れてしまうこともありました。しかしオフィス外でも携帯でも簡単にクロックイン・クロックアウトできるので、助かっています。
あとは最初の申請の仕方、フレックスの申請や休みの申請もちょっと迷っていた人がいました。ですが社内でマニュアルを作って、今は完全にスムーズです。
▼村山様個人としての今後のビジョンや目標についてお聞かせください。
新型コロナでいろいろ苦労する中で、何が正解かがわからなくなってきました。ただ、逆に言えば、今は自分たちで正解を作っていかなければなりません。
判断を正解に導いていくことが必要になる。やはりこれまでになかったニーズや、自分たちもお客様も気づかなかったニーズというのはありますから。 それをどういう風に我々がお手伝いをして、お客様の課題をどれだけ引き出せるかの部分で、お役立ちできればと思います。
▼会社としての今後のビジョンや展開についてお聞かせください
見過ごしているけど、指摘されたらそういえば不便だねということはおそらく沢山あるのだと思います。それを見つけだし、ソリューションやサービスに繋げていきたいです。
コロナ禍だからこそ、そのアンメットニーズを見つけていきたいですし、解決するチャンスなのかなと思います。 そのためにも、お客様とはデバイスを売るだけの関係ではなく、長いお付き合いをさせていただき、一緒に長期的に成長できる関係性を築いていければと思います。
日本でクラウド勤怠管理システム「キングオブタイム」を開発し、国内シェア トップクラスを獲得したメンバーが、その海外展開として東南アジアへ進出。徐々に人事管理が浸透してきている東南アジアでも勤怠管理システムや人事管理システムを提供し、ローカル企業のクライアントも多数。 |