【解説】
1:会計監査人の選任
シンガポールでは一定の小規模会社を除き全ての会社は外部会計監査人(Auditor)による法定監査を受ける必要があります。会社は会社設立後3か月以内に会計監査人を選任する必要があり、その後も定時株主総会にて会計監査人を選任(再任または変更)する必要があります。
監査手続はシンガポール公認会計士により実施される必要があります。監査法人はローカルの事務所から日本にも拠点のある外資系監査法人まで、サービスの品質、監査報酬の体系も様々です。日本語でのサポートが必要な場合には、ジャパンデスクを設置している監査法人を選任することが検討されます。
シンガポール法人が他国に子会社を有している場合には、原則として連結財務諸表の作成及び監査が必要となりますので、子会社の連結パッケージの監査のため子会社所在地国に自社または提携拠点を有する監査法人を選任することが検討されます。
また、シンガポール法人が子会社として日本親会社の会計監査に対応する必要がある場合には、日本の決算スケジュールはシンガポールの決算スケジュールと比較してタイトであるため、監査法人に対応が可能か、または日本親会社と契約している監査法人またはそのグループ会社が対応してくれるかを事前に確認しておく必要があります。
2:手続
会社は会計監査人との間で監査報酬の見積額に合意した後、会計監査人に対して選任通知書(Appointment Letter)を送付します。選任通知書は一般的にはカンパニーセクレタリー(会社秘書役)が作成します。
会計監査人は当該選任通知書に署名した後、会社に対して承諾通知書(Consent Letter)を発行します。
その後、会社は会計監査人選任の取締役会決議及び株主総会決議を行い、当該議事録(Resolution)と承諾通知書をもって、企業会計規制庁(ACRA)に登記を行います。
登記完了後、会社と会計監査人の間で監査契約書(Engagement Letter、会計監査人が作成)を締結し、その事業年度の監査計画を立てていくこととなります。