マレーシアは海外投資家に対し自由化政策を進めていますが、まだ規制や制約は多数ありますし、日本の法令や商習慣と異なる部分が多く存在します。これらの諸問題を正確に把握して対応する事がマレーシア進出のキーポイントになります。
まず一般的な法人、非公開有限責任会社(Sendirian Berhad 略称Sdn.Bhd.)について設立・開業の順序に従って、重要なポイントを説明します。
1. 法人登記
(a) 社名
現地法人名は第1希望から第3希望まで決めて置く事。
類似商号の審査を受ける際にCCM(マレーシア企業委員会)に3つの希望社名を提出する必要あり。
(b) 払込資本金の額
払込資本金の額は職種や駐在員を置くか否かで、最低資本金の額が定められている。
この部分が日本の商法と大きく異なる点で、日本の経営者が最も戸惑う点だと思います。
この最低資本金は資本構成が、100%外資か合弁かにより異なりますし、
職種や駐在員を置くか否かによっても変わってきます。また、この資本金の額によって
CCMに支払う登記費用(法定費用)が変わります。
(c) 出資者と出資割合の決定
出資者が個人の場合最低2名必要で、法人の場合は1社でも可能です。
出資者は外国籍で非居住者でも可能ですが、
外国法人の場合は公証人の認証を受けた会社謄本が必要になります。
(d) 取締役の選任
取締役は2名以上の選任が必要で、設立時の取締役はマレーシアの居住者に限ります。
この規定は設立時の条件ですので、設立の際は居住者を取締役に選任し、
登記完了後に改選する事が出来ます。
設立後に選任する取締役は、外国籍(日本人)の非居住者も就任可能です。
(e) 会社秘書役(Corporate Secretary)の選任
マレーシア法人は全てこの会社秘書役を選任して、登記する必要があります。
この制度も日本には無いものです。
会社秘書役は国の認可を受けた有資格者で、日本の司法書士の様な職責を担い
取締役会議事録等、会社の決議に係わる書類を作成し、届出をします。
(f) 登記住所の決定
登記住所は駐在員等のマンション等の住宅では登記出来ません。
事務所が未定の場合は、暫定事務所を用意して登記に対応致します。
(g) 決算期の決定
決算時期は会社が希望する期日で定める事が出来ます。
(h) 会社定款・取締役の就任宣誓書・登記申請書等必要書類の作成提出
全ての書類を整備して申請します。
通常3週間位で登記が完了します。
2. 開業準備
(a) 銀行口座開設
口座のサイナー(預金口座入出金の登録者)は外国人の場合、
就労ビザ等の滞在資格が無いと原則としてサイナーになれません。
この点も重要な件ですので、あらかじめ理解しておいて下さい。対応策は別途ご案内します。
(b) 事業目的に関連する許認可申請
事業目的によって担当官庁の許可、また州や市役所の認可が必要になります。
事業によっては、マレーシア資本との合弁でないと、
認可されない場合がありますので事前にお問合せ下さい。
(c) 駐在員の就労ビザ申請
就労ビザは原則として27歳以上で、業務に精通した方を選任する必要があります。
学歴としては専門校もしくは大学卒以上が望ましく、申請時に卒業証明を提出する必要があります。
公認された資格があれば、その証明の写しも提出する事になります。
認められる駐在員の人数は、業務内容や資本金によって異なります。
(d) 事業所・駐在員の住宅
不動産の売買・賃貸借に関するトラブルを避ける為、
信頼できる不動産業者及び提携弁護士をご紹介して物件探し、契約・登記等の支援を致します。
(e) 現地社員の雇用
有能な現地社員を雇用する為、適正な給与や法に基づいた福利厚生施策を実施する必要があります。
また、雇用トラブルを避ける為、就労規則等を整備する必要があります。
労働問題に精通した当社顧問弁護士と共に、対応します。
なお、会社設立の資本金については以下をご参照ください。
【マレーシアの会社設立Q&A】
マレーシアで会社を設立する際、必要な資本金について教えて下さい
以上、マレーシア進出に際しての重要な事項をご説明しました。
会社設立に関する具体的なご質問ございましたら、こちらから専門家へのお問合せが可能です。
→マレーシアで会社設立 (法人設立) する手順まとめ
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