フィリピンでは英語スピーカーが大変多く、逆に日本語を話す人材が少ないのが現状と言えます。しかし、日本語を話す人材が全くいない訳ではなく、日本語ができるフィリピン人従業員を雇っている日系企業も多数あります。どのような日本語レベルの人材が必要なのかにもよりますが、下記にレベル分けとアジア各国の状況をご説明いたします。
【1.日本語能力試験でレベルを見分ける】
業種や職種によって、企業が求める日本語人材のレベルは異なりますが、一般的なレベルを見分ける方法としては日本語能力試験(JLPT)の結果を見るのがよいでしょう。レベルは「N1(高レベル) → N5(低レベル)」となっており、下記がレベル分けの目安となっています。
N1: 幅広い話題について書かれた新聞の論説評論など、複雑な文章や抽象度の高い文章を理解できる。様々な話題の流れや詳細を理解でき、ネイティブスピードの会議を理解できる。
N2:新聞の論説評論など、複雑な文章や抽象度の高い文章は一部理解が可能。ネイティブスピードの会議は分からない部分はあるが、概要は理解できる。
N3:日常的な話題について書かれた文章を理解できる。レストランの接客やオフィスでの簡単な電話応対はできるが、ビジネスレベルの日本語はあまり理解できない。
N4:基本文法は理解しているが語彙と表現力に限りがある。おおむね意思疎通はできるが、話題は限られている。
N5:ひらがな・カタカナで書かれた易しい文章を理解できる。日常生活の限られた場面での意思疎通ができる。
【2.フィリピンの日本語人材のレベルは?】
フィリピンでは英語スピーカーが多く、外国人とのコミュニケーションは英語だけで問題がない為に日本語を勉強する人があまりいません。主要アジア各国で日本語能力試験を受験する人数の具体的なデータを下記に抜粋しましたので、フィリピンの受験人数をみていきましょう。
フィリピンの合計の受験者数は主要アジア各国で最も少なく3000人弱となっています。また、受験者数のほぼ半分がレベルN4を受験しており、受験者の日本語レベルの低さが表されています。こちらのデータで分かるように、残念ながらフィリピンでの日本語人材のレベルはあまり高いとは言えません。
<主要アジア各国のレベル別受験者数>
(出典:日本語検定公式HP)
【3.日本語人気の高い国は?】
日本語能力試験の受験データを基に考えた場合、受験者数の合計人数およびN1,N2の高レベル受験率の高さともに中国が圧倒的に抜き出ています。ただ、中国の場合は元々の人口が多いので10万人あたりの受験者数を出してみると、14.6人と主要アジア各国の中で6位となります。
1位は台湾、2位は韓国、3位はシンガポールとなっており、人口10万人に対して台湾は200人以上、韓国・シンガポールは100人以上の受験者がいるので日本語の人気がうかがえます。
【4.主要アジア各国での日本語のレベル】
日本語レベルを考える場合は日本語能力試験で最も難しいN1レベルの受験者数で見るとその国のレベルが分かってきます。N1レベルの受験者の半数を中国と韓国が占めており、日本語レベルの高さがうかがえます。フィリピンの場合は残念ながらN1レベルの受験者数は最下位の4%となっており、受験者数・レベルともにあまり高くないのが現状となっています。