日本と違ってフィリピン人従業員に同じ価値観を持たせルールを守らせるというのは簡単ではありません。そこで、どのようなポイントに重点を置き就業規則を構築したらよいか、下記に挙げましたのでご覧ください。
【1.公式なルールは就業規則に記載する】
フィリピンでは従業員との雇用契約書の締結は義務付けられていますが、就業規則の締結は義務付けられておらず就業規則のない会社もあります。ただ、価値観の異なるフィリピン人従業員を雇うことを考慮すると公式なルールを就業規則に記載し明確にするのが良いでしょう。
【2.就業規則は自社独自のものに】
就業規則を構築するにあたり、他社のフォーマットを転用、またはインターネットからフォーマットをダウンロードするなどの方法がありますが、会社の規模や業種によって必要なルールが違ってきます。そのため、自社の規模・業種・業務形態・従業員の特徴によって独自の就業規則を定める必要があります。
【3.就業規則は漏れがないように】
就業規則に記載する内容は具体的な行為までルール化する必要があります。下記にいくつかの例を挙げましたが、この他にも会社独自に必要な規則を漏れなく定める必要があります。
・遅刻・欠勤に対する規則
・怠業に対する規則
・不正に対する規則
・携帯電話使用に対する規則
・上司・同僚・部下とのコミュニケーションのあり方の規則
・業務命令違反に対する規則
・業務放棄に対する規則
・清掃に対する規則
・安全管理に関する規則
・社内のトラブルに関する規則
・会社所有物使用に関する規則
・チームワークに関する規則
【4.就業規則は具体的な行為まで記載する】
就業規則はグレー部分を作らないように、どのような行為を禁止するのか具体的に記載することが重要です。遅刻を例にあげると下記の内容まで細かく記載する必要があります。
・何時何分までにタイムカードを押さないと遅刻になる
・1ヶ月に何回以上の遅刻はペナルティの対象になる
・ペナルティの内容
通勤ラッシュのひどいフィリピンでは、ローカル会社はGrace Periodと言って一定時間は遅刻を猶予する制度をとっている会社もあります。前職でGrace Periodに慣れている従業員もいるかもしれないので、このような就業規則も考慮しましょう。
【5.細かいこと全てを就業規則に記載する】
規則が存在して初めて取り締まることができるので、細かいこと全てを就業規則に記載する必要があります。日本では常識的にしないことでもフィリピンではあまり気にされてない場合もあるので、思いつく細かいこと全てを就業規則に記載するのがよいでしょう。
・業務中の無許可での外出禁止
・業務中のソーシャルメディアへのアクセス禁止
・業務中の私用電話の禁止(緊急時を除く)
・業務中の私用携帯電話でのインターネット・ゲーム禁止
・業務中の歌、ダンス、音楽視聴の禁止
【6.EOP(English Only Policy)の導入】
上記に挙げた規則以外にフィリピンでの特殊な規則に「EOP(English Only Policy)」というものがあります。EOPとは、業務中は日本人・フィリピン人共に英語しか使わないという規則です。普通フィリピン人同士はタガログ語を話しますが、それでは日本人スタッフは彼らが何を話しているのかが分かりませんし、社内の人間関係を構築していく上で弊害が出てきます。下記EOPのメリット・デメリットを挙げてみましたので、自社の就業規則構築に効果的であれば導入するのもよいでしょう。
<メリット>
・フィリピン人従業員同士の言動が分かり、マネジメントしやすい
・フィリピン人従業員同士の無駄話が減る
・社内が一つの言語で統一され、風通しがよくなる
<デメリット>
・日本人同士でも英語で話す必要が出てくるので、コミュニケーションの生産性が落ちる
・フィリピン人従業員にEOPを守らせる為の労力がかかる