フィリピンで事業を成功させようと思う場合は、現地スタッフの力を借りずにはいられないのが現状です。日本とフィリピンでは言葉や文化など価値観が違うため、組織構築とその運営は非常に重要なポイントになります。
その組織構築は組織が大きくなってからではなく、現地法人スタート時からの施策が肝心です。最初に採用する人材や企業としてのルール作りのポイントなど、組織文化の構築について下記にまとめてみました。
【1.最初に採用する人材は事務スタッフ(アドミン)】
事業をスタートする場合、最初に必要な人材は現地事務スタッフです。立ち上げ時の事務作業は、各役所への書類提出やライセンス取得、オフィス賃貸契約等、煩雑な書類・事務処理作業が多々有ります。日本人駐在者はこの業務に振り回されることなく、本来の顧客開拓・工場立ち上げなどに集中するのがよいでしょう。
【2.事務スタッフ(アドミン)は採用知識のある人材から雇う】
事務スタッフの業務は大まかに「総務関連」「経理関連」「採用関連」に分かれます。しかしながら、フィリピンでは職種間の移動が少ないため、マルチタスクの人材は少数です。この点を鑑みて事務スタッフを一人しか雇えない場合、最初に雇う人材は、「採用関連」を任せる採用知識のある人材が良いでしょう。そうすることで、事業の中核となる営業や技術者などの人材を事業フェーズに合わせ、スムーズに確保できる利点があります。
【3.事業スタート時の経理は会計事務所に委託】
事業スタート時から経理業務は発生しますが、「自社で経理人材を採用」もしくは「会計事務所に委託」という選択肢があります。日本人責任者の多くは営業または技術者出身であることが多いため、経理は専門家に任せるのが一般的といえます。経理専門の人材を採用した場合、その経理人材が何らかの理由で突然退職した場合のリスクがあるので、事業スタート時は会計事務所に委託するのが好ましいでしょう。
【4.法人立ち上げ時から企業文化を構築する】
日本人とフィリピン人とでは国の発展レベル・教育・環境が異なるため、物事に対する考え方も当然違ってきます。「経営理念・方針」「ビジョン」「方向性」「行動指針」を含め、会社の価値観・自社の求める人材を定義化しましょう。
【5.明確なルール設定】
上記の企業文化を基に、具体的なルール設定をすることも重要なポイントです。日本人の阿吽の呼吸はフィリピン人には通用しません。価値観の違いから来る摩擦を防ぐためにも、遅刻や納期、業務に取り組む姿勢など日々の業務に即したルール設定が重要になります。
明確なルールが存在すると、摩擦を防ぐだけでなく、人材の採用や社員の教育・指導に役立ち組織文化の構築がスムーズになります。ひいては教育コスト・コミュニケーションコストの削減にもつながるでしょう。
【6.立ち上げ時から、企業文化・ルールを浸透させる】
事業スタート時、組織が大きくなる前にオープニングスタッフにしっかりと企業文化やルールを浸透させましょう。事業スタート時は人数も少ないため、自然と現地スタッフとのコミュニケーションも増えます。また、事業を軌道に乗せるという共通目的があるため、日本人責任者と現地スタッフとの距離が近く、企業文化を浸透させる良い環境が整っています。
そして、オープニングスタッフはその後に採用していく人材に影響を与える核となります。企業文化を理解したオープニングスタッフは、組織拡大後にも自社の企業文化を浸透させる重要な役割となるでしょう。
組織拡大後の企業文化浸透の方法としては、会社として何が正しいかを就業規則やクレドカードとして明文化し携帯させるのも良い手段です。