皆さんご存知の通り、インドは世界第二位の人口を持つ大国です。インドはここ数年で目覚ましい成長を遂げています。国際通貨基金によると2018年時点でのインドの成長率は中国の6.8%を上回る7.4%、2019年度のGDPは世界第5位(2兆935億ドル)の位置付けにあり、最も経済成長が著しい国のひとつとして発表されています。
また、アメリカ総合不動産サービス大手JLLが毎年発表している「世界で勢いのある都市ランキング」の2019年版においては上位5都市の内、4つにインドの都市(バンガロール/ハイデラバード/デリー/プネー)がランクインしています。
これからインドに進出するにあたってお役に立てる情報を提供していきますが、まず初めにインドという国の概要について、ご紹介します。
<国土・気候>
インドは国土330万平方キロメートルの世界で7番目に大きな国です。気候は北のヒマラヤから南の熱帯地方まで大きく異なりますが、国全体は比較的気温が高く、乾燥した熱帯気候です。日本と同様に四季があり、一般的に冬(12月~2月)、夏(3月~6月)、南西モンスーン(6月~9月)、モンスーン後(10月~11月)で種別されます。
<政治制度>
インドは政府の議会制度を持つ連邦民主共和国で、その制度は1950年1月26日に発効されたインド憲法に準拠しています。インドは29の州と7つの直轄領から構成される、世界最大の民主主義国家です。中央/組合政府は、州レベルと地方レベルでさらに分割されています。
政府は行政・立法・司法の3つで構成されています。
【行政】行政は、国家元首としての大統領、副大統領、および閣僚会議で構成されいます。首相が率いる閣僚会議は、大統領を支援し助言する役割があるため、実際の行政権も首相と閣僚会議に与えられています。2019年現在の現職大統領はラム・ナト・コヴィンド氏、現職首相はナレンドラ・モディ氏です。
【立法】議会はインド最高の立法機関で、Rajya Sabhaと呼ばれる連邦上院とLok Sabhaと呼ばれる連邦下院の二院制で構成されます。Lok Sabhaの選挙は5年ごとに実施され、大統領により首相が任命されます。
【司法】司法は行政および立法から独立しています。最高裁判所がインド法制度の最高組織であり、高等裁判所、下級裁判所が続きます。
現在の与党はインド人民党を中心として30以上の政党から構成される、国民民主同盟です。
<法制度>
インドは世界最古の法制度を持つ国の一つです。1947年までイギリスによって植民地支配されていた歴史的な背景から、英米法(common lawコモンロー)の法体系を採用しています。
<人口>
インドは約13億人、世界第二位の人口を持つ国です。国連が発表した世界人口推計ではインドの人口は2027年頃に中国を抜いてトップに躍り出るとされています。人口の63%が15~59歳で、中央年齢は26.4歳(参考:日本は45.9歳)です。このためインドは間もなく世界最大且つ最年少の労働力を持つことになります。
<言語>
インド憲法では22種類の指定言語が指定され、ヒンディー語が公用語とされています。英語は準公用語として位置づけられています。2018年の国勢調査によると15歳以上のインドの識字率は74.4%(参考:日本は99.0%)、若年層(15~24歳)の識字率は89.7%(参考:日本データなし)です。
<通貨>
インドの通貨はルピーです(ISO通貨コード:INR)。
<ビジネスアワー>
通常、週5日または6日、1日8時間労働(9:00~17:00)です。民間の場合、営業時間は企業によってまちまちです。
<祝祭日>
インドは宗教や州・地域ごとに祝祭日が分かれているため、非常に複雑で分かりづらいのが実情です。
自治体などの公的機関では「選択制の休み」が存在し、ビジネスに支障をきたさないために、その担当者がいつ休暇を取るかを把握しておく必要があります。
以下の3日は連邦休暇(国民の休日)とされており、これ以外に公休日として14日間
設定されています。
• 1月26日:共和国記念日
• 8月15日:独立記念日
• 10月2日:マハトマ・ガンジー生誕日
<ビジネスエチケット>
インドの人はそれぞれの宗教と共通の価値観を大切にします。例えば高齢者と階級の尊重はインド社会のあらゆる場面で最も重要視されます。また、家族やコミュニティーを非常に重視しています。
また、他のアジア文化と同様、人を非難することやあらゆる種類の恥ずべき状況を回避することで顔を立てるという考えは、ビジネスの意思決定プロセスに影響を与えるため、これらのことに十分な配慮をしたコミュニケーションが必要です。
インドでは、良好なビジネス関係と信頼を構築することが重要であることから、ミーティングや会食など、ビジネスパートナーと交流を深めるために十分な時間をかける必要があります。インドの人は個人的な繋がりを進展させることを好むため、例えばミーティングにおいてもインド側の主催者に会話のきっかけを作らせるような質問(家族について、経歴についてなど)をするなど、いきなり議題に入るのではなく、会話が発展するような個人的な話題に関する質問を、予め用意しておきましょう。
ビジネスの種類次第ですが、一般的には中間管理職が意思決定の裁量を持つことはありません。そのため交渉相手はそのビジネスにおいて意思決定をすることができる人物であるかどうかを事前に確認しておきましょう。
季節や都市によって異なる場合はありますが、ビジネスにおいては保守的でその分野の専門家を印象付けるような服装が望ましいといえます。男性はスーツ(季節によってはネクタイ着用)、女性はワンピースまたはブラウスにスーツを着用します。