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お問合せありがとうございます。第1回目では、「シンガポール法人設立前に準備しておくこと」の概要をお伝えし、第2回目では見積りを依頼する際のドラフトを大公開しております。第3回目は、「シンガポール法人設立前に準備しておくこと」6項目の裏にある本音の解説を行いました。第4回目は「日系会計事務所の特徴を確認することの重要性」について回答いたします。
【②日系会計事務所の特徴を確認することの重要性】
さて、特徴を把握する前に、シンガポールの労働市場を若干勉強しておき、前提条件を頭にインプットしておきましょう。コロナ前2018年度のシンガポールでは、スタッフの転職率(Turnover Rate)がアジア&パシフィックNo.1の46%(12ヵ月前に在籍していたスタッフが他社へ転職する割合)を見込むというニュースがでており、市場や国民性の本質的な部分はコロナ後もかわらないと考えます。ちなみに日本は安定的に10%レベルとのことです。前回の「①会計事務所に見積りを依頼する前に整理」をした上で取得した見積りを比較していきましょう。シンガポール法人設立+運営のサービスと特徴として大きく3つのステージにわけることができます。
①設立費用(銀行口座開設まで)
②会計初期費用
③年間維持費用
これらに分類した上で、コスト比較するとよいです。補足解説しますと、
①設立費用(銀行口座開設まで):これは法人登記費用、法人登記住所費用、各種サービス(ノミニー役員費用など)のデポジットが入ってきます。
②会計初期費用:会計ソフトの導入費用、資本設計などの相談料等が入ります。
③年間維持費用:試算表というアウトプットを出すために必要なサービス料、年に1回の決算や税務申告費用、決算書の政府登記代行費用などが含まれます。ポイントは2年目も必ずかかってくる費用として維持費用全体を把握、整理しておくことです。
【西田本音解説】
私もシンガポールで会計事務所の経営をしており、横の繋がりも一部ありますが、自社のスタッフや他社の担当などをみていても、それぞれ体制面に特徴があると感じています。また、現在ベトナムで新設法人を作ったばかりなので、このプロセス(どうやって会計事務所を選ぼうかな)の迷い処がとても分かります。もちろん、最終的にはバジェットと担当などと打ち合わせをして印象で決めるという形になると思いますが、ミーティング中に確認しておきたいポイントは①複雑な税務に対応できる会計事務所か?②日本語対応をしている担当の英語レベル(または中国語レベル)③見積りの中で今のクライアントが利用している最も多いサービスは何か?(いわば、その会計事務所の得意分野ですね)の3点です。
会計事務所との初回ミーティングは重要です。まぁある意味面接ですね。会計事務所とは長いお付き会いになるため、相性も重要です。当然、途中で切り替えや会計事務所から契約解除などもあるため一概に長期とは言えませんが。(実はうちも2年前に株主日本人、役員アメリカ人弁護士の企業と契約解除しました。。笑)前述の3つの確認項目はある意味、逆にとらえることもでき、①自社事業は税務にそんな複雑な事業ではない、②自社に英語対応できるスタッフがいるという体制をお持ちであれば、日系会計事務所ではなくローカル系のオンライン会計事務所などを検討されると、コスパ面ではよいと思います。
さて、そうでない場合は、①複雑な税務に対応できる会計事務所か?この質問への会計事務所の対応を確認するには、最近あった日本側での国際税務調査の事例をあげてもらうとよいです。どこまで深く税務調査に携わっているかがKEYです。税務対応はそこが全てといっても過言ではないため、現場の経験が全てです。また、複雑な税務スキームは設計後に確認を行い、会計士または税理士から意見書を出すという流れが多いため、これが出せるかどうかが重要です。(口でどれだけアドバイスをしても意見書という責任がとれないのであれば無価値です。)そのため、税務面で複雑な事業を予定されている方はここが確認ポイントです。
②日本語対応をしている担当の英語レベル(または中国語レベル)。この質問についてですが、日系会計事務所といっても全スタッフ日本人で固めるのはかなり異例で、ほとんどの事務所が業務自体はローカルスタッフやマレー系、フィリピン系、ミャンマー系のスタッフが担当しています。そのため、日本人が窓口になっているからといって、その人間が社内にスムーズにコミュニケーションできない場合は伝言ゲームが社内で発生します。私も他社の引継ぎ案件で別の会計事務所に訪問したところ、先方の日本人会計士とシンガポール人会計士が同席しており、その二人の通訳をしてしまったという情けない光景に出くわしており、正直これでは問題あるなとも思いましたので、ここも確認ポイントとしました。
③最も利用の多いサービスとして、私がよく聞くのが「年次会計」(年に1回決算を締める) vs 「月次会計」(毎月試算表を締める)の割合です。一概には言えませんが、ラフな判断基準としては「月次会計」を多く行っている事務所は「事業内容をよく知っている事務所」として現場の体制(請求書、支払い、対銀行、またはライセンスマターに詳しい)が整っていると言えます。「年次会計」が中心であっても業務的な接点は年1回や四半期に1回ですが、事業スキーム構築や税務対応に強い事務所であれば①の項目も十分に満たしていけるでしょう。
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