ドイツでは、継続して平均11名以上の従業員を雇用している会社では解雇保護法が適用となり、簡単に従業員を解雇できません。
正当な解雇理由は、1)人的な理由、2)従業員の行為が原因となる理由、3)事業所側の理由に大別できます。具体的には1)病気・アルコール問題、不十分な知的レベル、労働許可がおりない、2)無断欠勤、不正行為、契約・就業規則違反などがみられ、雇用主による警告にもかかわらず改善がみられず、将来も繰り返す可能性が高い場合、3)事業所業務上の理由から特定の職場が閉されることが例として挙げられます。
事業所業務上の理由で解雇となる場合は、解雇対象となる従業員のなかで社会的選択を行い、勤続年数や年齢、扶養義務、身体障害などを考慮し、社会的にみて保護を一番必要としない従業員を解雇することになります。仮に解雇となった場合には、訴訟問題となるケースが多いのが特徴です。
ただし、従業員10名以下の企業の場合には、この法が適用となりません。 その場合には、雇用契約書で定めた雇用契約解約告知期間、あるいは民法で定められた解約告知期間を遵守し、書面で解雇通知を行うことで解雇が可能です。
この場合にも退職金や示談金を求めるために弁護士を通じて訴訟を起こす従業員も多いですが、解雇保護法が適用とならないため、雇用関係の解約に関し従業員が勝訴する可能性はゼロです。
多くの場合は、裁判官が両者に対して和解するように求め、示談金で終了となります。示談金は、概ね勤続年数×半月から1ヶ月分の給与程度となります。 そのため、リスクと考えられる大きな費用は、弁護士費用となるでしょう。