カンボジアにおける日本語人材の給与は歪な需給バランスを主な背景として高止まり傾向にあります。給与は労働市場の需要と供給のバランス(相場)、スキル・能力、会社へバリューなどによって決定されるわけですが、弊社の調べでは、同程度の日本語能力を持つ人材の給与を近隣諸国と比較すると、その国の物価水準から勘案してカンボジアが一番高いことがわかっております。 弊社の求職者の登録情報(2014年1月~9月末)を調べたところ、日本語人材の平均の最終月給は、日常会話で339.0ドル、ビジネス会話で555.9ドルでした。一方、希望月給は341.1ドル、568.2ドルでした。
~日本語人材の平均給与(2014年1月~9月末)※単位:USD,%~
会話レベル | 希望月給(前年比) | 最終月給(前年比) |
ビジネス会話 | 568.2 (17.2) | 555.9 (29.9) |
日常会話 | 341.1 ( 9.5) | 339.0 (26.0) |
電話取次ぎ | 306.0 (11.8) | 230.0 ( 4.3) |
※CDLに求職登録をしたカンボジア人(プノンペン在住、30歳以下)を対象(英語・日本語以外の外国語が話せる者を除外)
※ネット賃金、諸手当込(インターンシップ、ボランティア、外国での就業による賃金は除外)
このことは、雑誌「カンボジア・ビジネス・パートナーズ」で私が語った、「彼らは希望給与額を現職給与額より下に設定することはない。」を裏付ける結果となりました。また、この調査で、最終月給額が対前年比で約30%増加していることがわかり、異常ともいえる状況です。
経営側にとって、仮に給与カルテルを講じたとしても、こうしたトレンドに対して容易に抗えるものではありませんが(訴訟リスクがあるので、そもそもやりませんが)、対応の第一歩として、少なくとも必要なことは、労働市場の需要と供給のバランス(相場)を具体的な金額で認識することが大事だと思っています。 むろん、私たちのような豊富な求職者の詳細データを所有し分析できる人材紹介会社でなければ、正確な相場を掴むことは容易ではありませんので、今後は、定期的に給与実態調査の結果をリリースしていきたいと思っております。
なお、上記の日常会話やビジネス会話というレベル設定は、相対的評価による弊社独自の基準であり、日本語能力検定の基準(N3は日常会話、N2はビジネス会話というような、ざっくりした評価方法)でないのは、日本語能力検定は筆記試験のため会話能力の測定には困難なためです。その点をご留意いただき、採用業務のご参考として頂けましたら幸いです。
カンボジアへの進出にご興味ある方は、下記をご参照いただければ幸いです。
→カンボジアで会社設立 (法人設立) する手順まとめ