新型コロナウィルスによるビジネスの景況とレジリエンスのあり方-4
今回のCOVID-19の感染拡大を受け、将来におけるビジネスの不確実性と企業として求められる回復力(レジリエンス)のあり方について英国の調査会社YouGovと共に、APACの12の主要産業における上場企業、中小企業、多国籍企業、新興企業など様々な企業形態の1,050社の経営幹部に対して調査を行いました。
このコラムではその調査結果を6回に分けてお伝えいたします。
皆さまのCOVID-19対策をはじめ、今後の企業活動におけるガバナンス、リスク管理、コンプライアンスの構築・運用にご参考いただけると幸いでございます。
考察その1:不確実な経済的影響
OVID-19の拡大に伴い新たな感染が日々報告されていることを受けて、中国本土、香港、APACおよび世界の経済に与える影響度合いについて、現段階で判断するのは時期尚早です。
たとえば、エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU*)では最近、COVID-19の拡大以来、最初の予測として、中国の減速が第1四半期に集中したことを発表しました。
2020年の経済の拡大は2019 年通年に比べ6.1%から4.1%にまで低下する可能性があり、その影響は第2四半期にも及ぶでしょう。
ただ、過去の傾向から見ても中国がGDPの大部分を生み出していることから、下半期には、経済成長が緩やかに回復する可能性があります。
COVID-19の拡大が報道される前、EIUは香港の経済が2020年に回復すると予測していましたが、今回のCOVID-19拡大の影響を受け、この時の予測内容が覆る可能性があると述べています。
経済活動については、2021年に通常のレベルに戻ることが予想されますが、香港のアジアの主要な金融ハブとしての地位が揺らぐのではないか、との見解が出ています。
考察その2:新型コロナウィルスに耐性のある産業はない
COVID-19感染拡大を受け、世界最大市場のひとつである中国が2020年1月末にすべての工場のドアを閉ざしたとき、最初に混乱をきたしたのは、サプライチェーンや調達プロセスです。
私たちの調査では、COVID 19の懸念と感情面も含めた影響が大きい産業分野はIT、旅行・ホスピタリティ、プロフェッショナル・サービス、消費財、製造など、企業規模では中規模の組織が最も深刻であるという結果を得ました。
工場閉鎖は中国全土で広まっていることから、中国を生産・調達拠点とするほとんどの企業は、業界に関係なくCOVID-19の感染拡大の影響を受けています。
たとえば、米国に本拠を置くスポーツウェアのUnder Armourは、調達先の工場の再稼働日が見込めないため、2020年は困難に直面すると発表しました。
また、Appleの主要サプライヤーであるFoxconnは、中国最大の工場をまだ再開できておらず、結果として中国以外での工場の拡張を計画していると、2/26時点で発表しています。
ディズニーは上海と香港の両方でテーマパークを閉鎖、H&M、ユニクロ、ラルフ・ローレンなど世界的な小売ブランドの店舗も多くの店舗を閉鎖しています。
グローバルブランドのホテルも、中国本土の影響を受ける地域において営業を停止しています。
事実、旅行と観光は最も大きな影響を受けた分野の1つであり、多くの国際航空会社が中国本土と香港を往復する便を減らしています。
中国の大部分の工場や企業が閉鎖されている、または部分的に閉鎖されていることから、長期的な視点でCOVID 19感染拡大が経済成長にどの程度影響するかを予測するのは時期尚早です。
状況が収束し、企業が完全に事業を再開できるようになると、自国、APAC、およびグローバル経済への影響は少なくなります。
逆にこれ以上の感染拡大が進行すると、中国本土のビジネス環境はさらに深刻化する可能性があります。
その場合、たとえば調達ニーズを満たすことを目的として、より多くの企業が自社の生産性を維持するために代替可能な製造地域を探す必要が出てくるでしょう。
*英国の国際経済誌「The Economist」の企業間事業部門で、世界約200カ国の政治・経済に関する詳細な分析、予測やデータを提供する調査・コンサルタント会社
レポートダウンロードのご案内(無料)
トライコー・グループでは、APACのビジネスが新型コロナウィルス(以下COVID-19)によってアジア太平洋地域のグローバル企業1,050社を対象にに対して、緊急アンケートを行いました。
当レポートではアンケート結果をもとに、今、受け止めるべき「ビジネスの不確実性」と「企業として求められる回復力(レジリエンス)」のあり方について述べています。
以下URLより無料にてダウンロード可能です。
https://tricor.group/
皆さまのCOVID-19対策をはじめ、今後の企業活動におけるガバナンス、リスク管理、コンプライアンスの構築・運用にご参考いただけると幸いです。
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