こんにちは、東京コンサルティングファーム、中国・上海の萩生田弘毅です。
2021年8月15日をもって、上海市における外国人への社会保険加入が免除されると 認識される要因となった「上海市人力资源和社会保障局关于在沪工作的外籍人员、获得境外 永久[长期]居留权人员和台湾香港澳门居民参加城镇职工社会保险若干问题的通知」(「38 号通知」)の有効期限が終了となりました。
以上より、今回より8回に分けて「上海市における社会保険制度」について記載していきま す。
【労災保険】
中華人民共和国社会保険法において加入義務が定められております。
内容は日本の労災保険制度(以下、労災)と似ていますが、中国の方が事業主の災害補償責 任の範囲が広くなっています。日本では労災により休職をしている従業員の賃金は保険給 付として支給されますが、中国では事業者が労災を負担する必要があります。企業を運営す る上で従業員の安全管理に注意を払う必要があります。
給付は日本と同じように業務上の事由による傷病に対して行われます。
給付内容には治療 に関するものと補償金があり、補償金は労災を受けた労働者の従前の賃金や障害の重さな どによって異なります。重度の障害に対しては、事業主が補償をしなくてはならないケース もございます。
労災保険における納付比率は地域によって差があり、従業員継続雇用の場合、本人前年度月平均給与に基づき、従業員新規採用の場合、入社後最初の月の給与全額に基づいて計算されます。
上海市の場合、企業負担額は従業員の賃金総額の 0.16~1.52%、従業員個人負担額は賃金総 額の 0%、すなわち従業員の保険料負担はありません。
企業負担額は、業種の労災リスクに応じて 0.16~1.52%の間で 8 種類に分類されており、そ の内容は以下になります。
一類: ソフトウェア及びデータ技術サービス業、貨幣金融サービス業、メディア業
二類: 卸売業、小売業、倉庫管理業、郵政業、宿泊業、飲食業
三類: 食品製造業、パソコン及び通信とその他電子設備製 造業、機械器具製造業 四類: 農業、牧畜業、ゴム及びプラスチック製品業、金属製 品業、自動車製造業、電気機 械及び機材製造業など
五類: 林業、家具製造業、製紙及び紙製品業、道路運輸 業、積卸運搬業及び運搬代理業など
六類: 漁業、化学原料及び化学製品製造業、不動産建築 業、土木工程建築業など 七類: 石油及び天然ガス採掘業など
八類: 石炭採掘業など
※一般的な販売業やサービス業に適用されるのは「二類:0.32%」に当たります。
また、保険料を算定する際に基となる賃金には上限及び下限が設定されており、下限は前年度地域平均給与の 60%、上限は前年度地域平均給与の 300%と定められており ます。
上海市の場合、「2021 年 7 月 1 日~2022 年 6 月 30 日時点」では
下限:5,975 元/月、上限:31,014 元/月と定められております。
従業員の賃金が前年度地域平均賃金の 300%を超える場合、超過分については社会保険料算出時の対象から除外し、当該従業員の賃金は前年度の平均賃金の 300%として保険料を算出します。
今週は以上となります。
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