「中国のシリコンバレー」と呼ばれる深セン市が最近特に注目されています。香港にも近く、人材が豊富で、短期間で電子製品を設計・製造できる場所です。
深センは、昔はいわゆる「パクリ」製品が多いというイメージも強かったのですが、今はHUAWEI、テンセント、ドローン大手のDJIなど世界的に有名な企業を次々と輩出しています。
また、スタートアップが多く、若者にとって起業の天国ともなっていることも特徴です。
このコラムでは、そんな注目都市の深センについてお伝えいたします。
どうして発展したの?深センの歴史と現在
深センは、わずか30年で、人口30万人から1400万人に成長しています。平均年齢は32歳、65歳以上の人口はわずか2%と、街全体がとても若いことも特徴です。
深センはもともとはただの漁村でしたが、1980年代の鄧小平による「改革開放」の時代から、香港や台湾の下請けをするための組み立て工場が集まり始めました。
当初のメーカーは完全な下請けとして労働力を提供するOEMでした。
しかし、また経済特区に指定され政府から様々に後押しを受けたことで、徐々に深セン自体に優秀な人、知識、技術が集まるようになり、設計から製造、組み立て、検品、出荷までを高速でできるものづくり都市となっていました。
また同じく、国の政策的後押しもあり、スタートアップが多く集まりイノベーション都市ともなっています。
サプライチェーンの川上から川下までの企業が密集しているため、とても速いスピードで製品ができてしまうことも特徴のひとつ。「深圳の1週間はシリコンバレーの1カ月」などとも言われています。
また、(深センに限った話ではありませんが)現金をほぼ使うことのないキャッシュレス社会、顔認証決済、そこかしこにあるシェアサイクル、最先端のOMOスーパーマーケットなど、デジタルが浸透し最先端のユーザ体験が作られている様子も見ることができます。
あの企業も深セン?深セン発の有名企業のご紹介
以下に、深セン発の有名企業を紹介します。
【テンセント】
アジアで最も早く時価総額5,000億ドルを突破したIT企業。
スマホゲームの「王者栄耀」や、コミュニケーションアプリ「WeChat」 などがよく知られている。時価総額は世界9位。5万人の社員を有する。
【DJI】
世界的ドローンメーカー。ドローンの世界シェア70パーセントを占める。
営業拠点は北アメリカ、ヨーロッパ、アジアまで及び、世界100ヵ国のユーザーが、DJIの商品を使っていると言われている。
【HUAWEI】
スマホ出荷台数の世界第2位のシェアを誇る深セン発の企業。
通信設備においては世界最大手で、世界140ヵ国以上で事業を展開。
【平安保険】
中国で最も革新的な金融グループであり、世界最大の保険会社の1つ
「デジタルを使い、顧客の生活に入り込む」戦略で成功している。
【Royole】
薄型ディスプレイ技術に強みを持つ企業。
2018年に世界初の折りたたみ画面スマホ「FlexPai」を発売した。
深センは中国人のみならず、多くの海外企業や海外の起業家が注目をしている都市でもあり、google研究開発拠点、appleの開発拠点も擁しています。
またスタートアップが多いことも深センの特徴のひとつです。起業家向けのシェアオフィスが市内に250箇所以上存在し、起業率は15%にものぼります。
これからも伸びる?深センの今後について
中国政府は2019年2月に「大湾区構想」を発表しました。
これは大陸南部の都市や香港、それにマカオを巻き込んだ巨大な経済圏構想のことで、深セン市も含まれています。
2035年を一つの区切りとし「経済力やテクノロジーを大幅に増強し、国際競争力をつけ、イノベーションで発展を遂げる地域にする」ことを目指すもので、強みを持つ該当地域を橋などで物理的にも繋げることなどが予定されています。
この計画の趣旨に照らし合わせれば、深センはこれまでと同様に、もしくはそれ以上に重点として様々な政府の支援を受けると考えられます。
今後も深センの進化・発展からは目が離せません。
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