前回に引き続き、ベトナムに進出した日系企業様からのお悩みにお答えすべく、「人事制度をローカライズする」というテーマでお送りします。今回はベトナムにおける、制度導入後の制度見直しの観点をまとめてまいります。
前回でも述べた通り、人事制度の設計内容面でのローカライズ、ベトナム人幹部社員をプロジェクトのメンバーとするチーム編成に加えて、導入後の制度見直しを年間計画に組み込むことも重要です。ベトナム進出後にどのような運営が必要になるのか、早めに確認しておきましょう。
ベトナムと日本、労働市場環境の違い
「人事制度は頻繁に変えてはいけない」
「人事制度の見直しは3~5年おき程度に」
といった言説は、日本で良く語られることですが、このようなスタンスをベトナムで貫くと、市場環境に置いて行かれてしまう可能性が高いです。なぜなら、ベトナムは日本よりも労働市場環境がChanging(=変化に富む、変わりゆく)だからです。
ベトナムが日本よりも動的な市場とされる理由
【昇給率】
過去8年間の昇給率は、日本が四捨五入すると常に2%で一定だったのに対し、ベトナムは18%から8%へと実に10%も下がっています。
【離職率】
離職率は日本が7%前後であるのに対し、ベトナムは13~14%程度と、労働者の流動性が2倍ほど高くなっています。
【GDP】
GDP総額は日本がUSD4.9tril(10億ドル)弱に対し、ベトナムはUSD0.22trilと、日本の22分の1の市場規模となっています。大型の外国直接投資などがあれば、労働市場環境が即座に反応しやすいと言えます。
ベトナムに進出予定の企業様もご存知のとおりですが、このようにベトナムは、日本よりもよほど動的な市場環境であると言えます。
ベトナムではポイントを押さえて制度の見直しを
ベトナム国内で環境変化が繰り返される中、自社が5年前に作った制度をそのまま5年間運営し、ベトナム進出以降全く見直しをかけずにいたらどうなるか、想像に難くないはずです。
何も骨子部分から毎年見直しをかける必要はありませんが、変化しやすい報酬周りは、毎年レートやテーブルの見直しをすることで、ベトナムでのマーケットポジションを維持し続けることができます。
ベトナムの変化に適応することが成功のカギ
それ以外にも、制度の違和感は時と共に立ち現れたりするものですが、調整や見直しをデフォルトでしている会社は、ベトナム人社員も環境変化を日常的に受け入れている事になります。一方で、ベトナム進出から5年間全く変えずにいたものを、「今年変えます」と言うと、変化にあらがう社員が団結して拒むこともあります。
ベトナムはChangingな世の中です。Changingな世の中で静的な制度運営をすることこそが、ローカライズを阻む要因となります。「制度は毎年見直し続けるもの」というマインドセットで人事管理にあたることが、持続的なローカライズへの肝となります。
なお、弊社ではベトナムの人事制度構築に関するサービスを提供しています。ベトナム進出後、現地に導入する人事制度に関してアドバイス等をお求めの場合は、ご相談ください。
※本記事はiconicJobの投稿をもとに作成しています。
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