せっかく支給した手当も、会社のみぞ知る?
賃金テーブルで対象となっているのは原則として基本給になりますが、毎月の社員の報酬を構成するのは、基本給に加えて各種手当やインセンティブ給といった、その他の報酬が追加的になされるケースも多くあります。日系企業のベトナム法人では、例えば一時帰国のための往復航空券代、ベトナム滞在中の家賃手当、タクシーやバイク移動用の交通費、通信代、食事代の支給などがあります。
手当制度は広く一般的に導入されていますが、中にはこうした手当の総額をひとくくりにして「調整手当」とし、その内訳や意味づけを説明せずに提示しているケースが見られます。また、そもそも手当を支給せずに給与全額100%を基本給として支給しているケース、つまり通勤手当や通信手当、駐輪代等、全て込み込みで基本給として提示していることもあります。
手当が支給されてない!?単なる誤解が余計な工数を生み…
このように報酬の内訳を示さないでいると、そのうち「同じベトナムの日系企業なのに、なぜ自社では○○手当を支給しないのだろう?他社では普通に支給しているのに…」といった気持ちになる社員が増えていきます。そうした社員から疑問(時に不満)の声があがると、報酬周りのデリケートな話となるため、秘匿性を確保する上でも、1対1でのコミュニケーションを余儀なくされます。
そして一人ずつ「ベトナムでよくある○○手当相当額は、基本給(または調整手当)に全て含まれているんですよ」といった説明をすることになり、ベトナム法人の社員規模が拡大するにつれて、こうした対応工数が一層重くのしかかってくることになります。
事前の制度設計で、報酬周りの疑問を取り除く
このように、報酬周りで発生する社員の疑問・不満を回避する意味でも、お金にあえて「色をつけて」支給するようにしましょう。報酬の内訳が給与明細に反映されれば、何の目的でいくらの支給を受けているのかひと目で分かります。ベトナムに赴任する社員はただでさえ様々な諸費用がかかり、報酬に対して神経質になっています。給与明細票を見れば、会社の意図が自然と伝わるように報酬を構成すべきです。
どんな種類の手当を、どういう目的で、いくら、誰に支給するのか…という制度設計の工数はかかるものの、報酬に対する疑問・不満への対応工数は大幅に削減されます。会社も社員も報酬の意味に対する不要な誤解が解消され、コミュニケーションがより円滑に進むでしょう。
評価の公平性を担保する上でも、定性項目に対しては、「Excellent-Good-Average-Poor-Very Poor」といったような抽象的な表現に留めるのではなく、より具体的な指標を伴う評価基準書を整備しておくことが重要になります。
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※本記事はiconicJobの投稿をもとに作成しています。
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