香港とドラえもん | 日本企業の海外進出支援サイト ヤッパン号


香港に関するコラム

香港とドラえもん

H.S. Planning (HK) Limitedでは、香港でのビジネスや生活に役立つ情報を毎月コラムとして提供しています。なお、当社は香港に拠点を置き、香港・中国・アジア進出を目指す日系企業様に対して、現地法人設立、会計・税務、監査取次、人事労務アドバイス、駐在者の生活相談までワンストップで支援をさせて頂いております。何かお困りごとがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。

香港では7月13日(土)から8月11日(日)まで、尖沙咀のアベニュー・オブ・スターズ周辺で藤子・F・不二雄の生誕90周年を記念した大型イベント「100% DORAEMON & FRIENDS展」が開催されます。世界最大級の12mものドラえもんバルーンや、等身大のドラえもんと仲間たちのフィギュア、複製原画の展示などが予定されています。イベントのチケットが5月25日(土)から発売されることにちなんで、朝には西營盤の孫文記念公園内に、世界一となる高さ12メートルのドラえもんが登場し、60体の等身大フィギュアが並びました。そして夜にはビクトリアハーバーで、ドラえもんをテーマにしたドローンショーが開催され、ドラえもんのキャラクターたちが香港の夜景と一体になって夜空を彩りました。5月27日(月)にはドラえもんのラッピング車両(3編成)の運行も開始されます。軽鐡、東鐡線、エアポート・エクスプレスの3路線で運行される予定です。 外装と内装にはドラえもん、そして扉の部分はどこでもドアのデザインになっており、軽鐡「兆康駅」のプラットホームにはドラえもんをテーマにしたデコレーションも見られます。他の駅にも引き続きドラえもんを登場させる予定だということです。

ドラえもんをテーマにしたイベントは香港でもこれまで行われており、今回のイベントを運営する香港企業AllRightsReserved(ARR)は、2012年にもドラえもん生誕100年を祝うイベントを開催しました。今回行われるイベントは、入場無料のエリアとチケットが必要な有料エリアに分かれており、有料エリアは2会場あります。無料エリアは屋外で、高さ12メートルのドラえもん、等身大のフィギュアが展示され、アベニュー・オブ・スターズ沿いにドラえもんと仲間たちが正装して登場するということです。有料エリアの「ドラえもん彫刻パーク(100% Doraemon Sculpture Park)」では、映画で登場した13体のドラえもんなど、特別に作った変身ドラえもん23体を含む36体のフィギュアが展示されます。もう一つの有料エリア「ドラえもんまんがアート展示館(100% Doraemon Manga Art Exhibition Hall)」は、K11 MUSEAの6階の展示エリアが「ドラえもんの世界」になります。ここでは複製原画や立体造形も展示され、初公開の新作アニメ「ジャイアンリサイタル・ワールドツアー」も上映されます。

日本で国民的人気者の「ドラえもん」は、日本のみならず世界中でも子供から大人まで愛されているキャラクターです。特に香港における人気は高く、日本とほぼ変わらない知名度と人気を誇っています。日本でドラえもんが雑誌に掲載されたのは1973年ですが、香港では3年後の1976年に香港の幼児向け雑誌で連載が始まっています。1980年代にはテレビアニメの放映が始まり、現在の日本の40代~50代が幼少期にドラえもんを見て育ったのと同様、香港で同じ世代の大人たちもドラえもん世代なのです。アニメの広東語吹き替え版のドラえもん役を長年担当した声優の林保全さんが亡くなられた時は、香港でも大きなニュースとなり各界の著名人からも悲しみの声が寄せられました。それほど、香港の大人たちにとってドラえもんの存在は幼少期の思い出そのものだと言えるでしょう。

当初ドラえもんの名称は「叮噹(ディンドン)」と呼ばれ親しまれていました。これはドラえもんの首につけている鈴から由来しています。ドラえもんの中国語訳については変遷があり、中華圏の中でも出版社によって表記が異なりました。中国大陸だけでも「哆啦A夢」「機器貓」「小叮噹」の3つがあり、台湾では「機器貓小叮噹」「超能貓小叮噹」「神奇小叮噹」などがありました。96年に原作者の藤子・F・不二雄が死去し、権利元のプロダクションからの海外へ向けた要請により、97年以降はすべて日本語の発音に近い「多啦A夢(ドラエモン) 」に統一されました。香港で世代が上の人は今でもドラえもんのことを「ディンドン」と呼ぶことがあります。

ドラえもんに続いて海外でも人気のポケットモンスターも、同様に表記にまつわる変遷があります。中国大陸では「口袋妖怪」(ポケット・モンスターの直訳)、台湾では「神奇宝貝」(不思議なベイビー)、香港では「寵物小精霊」(ペットのミニお化け)のように意訳されていました。そして後に任天堂が「精霊宝可夢」(精霊ポケモン)を正式な登録名称として公表しました。「宝可夢」は、北京語での発音が日本語の「ポケモン」に近い音訳です。さらに、ポケットモンスターに登場するキャラクターそれぞれにも正式な名称が発表されました。しかし北京語を元に考えられた音訳のため、広東語で発音すると日本語の発音から遠ざかってしまうことになりました。特にメインキャラクターの「ピカチュウ」は、香港では「比卡超」(ペイカーチュウ)と呼ばれていましたが、正式名称として発表された「皮卡丘」は北京語であれば「ピカチュウ」と読めますが、広東語では「ペイカーヤウ」となってしまいます。これには抗議デモまで起きるほどの大騒動になり、当時予定されていたイベントの「ポケモンワールドチャンピオンシップス」が開催中止となりました。その後、テレビアニメは英語のPikachu が使用されるようになり事態は収束しました。

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