伝統と現代アートが交差する香港の中秋節 | 日本企業の海外進出支援サイト ヤッパン号


香港に関するコラム

伝統と現代アートが交差する香港の中秋節

H.S. Planning (HK) Limitedでは、香港でのビジネスや生活に役立つ情報を毎月コラムとして提供しています。なお、当社は香港に拠点を置き、香港・中国・アジア進出を目指す日系企業様に対して、現地法人設立、会計・税務、監査取次、人事労務アドバイス、駐在者の生活相談までワンストップで支援をさせて頂いております。何かお困りごとがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。

今年の中秋節は9月17日(火)です。香港では多くの企業で早めに仕事が終わり、自宅やレストランなどで家族や親戚が集まって食卓を囲みながら団欒のひと時を過ごします。中秋節といえば色とりどりの灯籠(ランタン)を見て楽しむ風習があり、ビクトリアパークでは9月12日~18日の期間、様々なランタンが展示されています。その他、各地でも中秋節のイベントが開催され、特に大坑の「舞火龍(ファイヤードラゴンダンス)」は無形文化遺産だけあって圧巻です。9月16日~18日の3日間は毎晩、巨大な火龍のパレードが開催されます。さらに利東街ではLEDの火龍が見られムードを盛り上げます。今年は度々開催されているドローンショーですが、中秋節にも9月17日の20時から10分間、ビクトリアハーバーにて開催されます。今回は中秋節にちなんでランタン、ウサギなどが夜空に浮かびあがります。

この時期が近づくと人々の間で贈り合う月餅、日本でいうならお中元のような季節の挨拶に近い習わしです。月餅は香港のお月見には欠かせない食べ物です。香港の代表的な月餅にはいくつか種類があります。

「伝統月餅」と呼ばれる月餅は、ハスの実の餡を包んだもので、中には塩漬けしたアヒルの卵黄が入っています。日本の中華街や中国大陸などでも見られる最もスタンダードなもので、月餅といえばこの伝統月餅です。通常は一人で一個ずつ食べるのではなく、ケーキの様に小さく切り分けて皆で一口ずつ食べます。中の卵黄は月を表しており、月餅を切り分けて食べる際にも卵黄の入っている部分が人気です。

「冰皮月餅」は、求肥のようなもっちりした皮で緑豆の餡やフルーツの餡を包んだ、冷たい月餅です。まだまだ暑い9月にぴったりで、伝統的な月餅が高カロリーでお腹にずっしりくるのに対し、冰皮月餅はヘルシーなので、デザート感覚で食べられます。

「奶黃月餅」は、飲茶メニューの定番「奶黃包(カスタードまん)」から着想した月餅です。カスタード餡に、塩漬けしたアヒルの卵黄を刻んで混ぜてあります。中のカスタードが柔らかく半生の食感で、見た目も小ぶりなのが特徴です。

さて、香港ではアートな「マンホールの蓋」が新たに200個設置され、ご当地マンホールがインスタ映えすると話題になっています。現在、市内の中環の他、郊外は大澳、鯉魚門、茶果嶺、昂坪、土瓜湾、荃湾など様々な場所に設置されています。マンホールのデザインはその地域の特徴を表しており、名産や観光スポットなどが描かれています。近年、アートに力を入れている香港ですが、このプロジェクトも香港政府渠務署の設立35周年を記念し、香港の景観の美化向上と観光要素を目標に行われています。マンホールの蓋なのでデザイン性だけでなく機能性も兼ね備えている必要があり、香港居住者を対象としたデザインコンテストで入賞すると実際にマンホールの蓋として設置されます。香港のマンホールですが、日本では丸いものが主流なのに対し、香港では四角いものをよく見かけます。探せばイギリス植民地時代に製造されたものもあり、今となってはとても貴重なものです。香港の高層ビルや高層マンションに囲まれ足早に行き交う人々の中にいると、あまり足元に気を止めることはないでしょうが、たまには立ち止まってユニークなマンホールの蓋を眺めてみると新たな発見があるかもしれませんね。

マンホールの中を流れる香港の水についても触れてみましょう。WHOの基準では香港の水道水は「飲める」とされています。しかし実際に香港ではマンションやビルなど古い物件が多く、水道管も古くなっているのが現状で、水道水をそのまま飲むことはあまりお薦めできません。飲用水を得るには次の方法があります。

水道水を煮沸させる、つまり湯冷ましを作ります。香港の多くの一般家庭はこの方法です。やかんや電気ケトルなどで水道水をいったん沸騰させ、それを冷ましたものが家庭に常備されています。冷蔵庫に入れず常温で置いておくというのが香港人らしく、中医の発想から冷たい水は身体を冷やしてしまうため常温が好まれます。

家庭でウォーターサーバーを契約するのも一つの方法です。多くの企業ではオフィスにウォーターサーバーを取り入れています。宅配で新しい水を届けてもらえるので、いちいちお店に買いに行って重たい水を持ち帰る手間が省けます。

もし一人暮らしで自炊をしないのであれば、スーパーやコンビニで飲み水を購入すれば十分かもしれません。そして通常、ウォーターサーバーやスーパーで購入できる水のほとんどはミネラルウォーターではなく蒸留水です。ミネラルウォーターより蒸留水は格安です。

香港の水道水は飲用にお勧めできないとはいえ、水質的に飲めないわけではありませんので、多少お腹に入っても気にするほどではないようです。香港の水道水にはフッ素が含まれているので、歯磨きの際はむしろ水道水を使う方が虫歯予防になります。

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