【香港】香港の産業について | 日本企業の海外進出支援サイト ヤッパン号


香港に関するコラム

【香港】香港の産業について

香港は世界的に見ても人口密度の高い場所で、人との距離が非常に近いにもかかわらず現状では新型コロナウイルスの封じ込めが概ね出来ています。新規の感染者も海外からの輸入例が多く一日に一桁の増加に留まっています。抜本的な各種対策と厳重な水際対策が功を奏していると言えるでしょう。ワクチン接種に至っては、16歳以上の全ての人が無料で接種を受けられる状況にあるものの、安全性への心配から躊躇する人も多いのが現状のようです。

香港はこうしたコロナ禍においても富裕層が増加傾向にあり、最新の調査では1,000万香港ドルを持っている資産家は過去最高の51万人を超えると見られています。国際観光都市として発展してきた香港ですが、海外からの観光客を物理的に呼び込めない今、香港内の消費需要に注目が集まっています。

5月7日、神戸物産が運営する「業務スーパー」の香港1号店が大埔にオープンしました。日本でも人気の業務スーパーはこれまで日本を訪れたことがある香港人にも知名度が高く、香港進出には期待が高まっています。「ドンドンドンキ」が香港内のあちこちに店舗を広げたように、業務スーパーも多店舗での経営を目指すということです。コロナ禍以前には多くの香港人が日本へ旅行していたこともあり、日本の商品を取り扱う店が増えることで日本を身近に感じてもらえるでしょう。

さて、今回は香港の産業についてです。

香港は水道水ですら中国から購入しているほど、香港内での生産、製造しているものはほとんどありません。生活必需品のほぼ全てを海外からの輸入に頼って成り立っています。そんな香港の主な産業は金融業、不動産業、観光業、そして貿易業です。

<金融業>

香港は国際金融センターです。少し前に日本では香港から金融人材を誘致しようという話もありましたが、それほど香港では金融関係の仕事に就いている人は多く、世界中の銀行・証券会社・保険会社など金融関係の会社が集まっており、プロの投資家が大勢います。
香港の金融都市としての魅力は低税率、規制緩和によるもので、世界の様々な国からの人を受け入れる環境があり、アジアの拠点として発展してきました。世界の大企業から個人投資家まで、香港に集まり自由な環境の下で金融競争が繰り広げられるため、香港は金融関係の法整備が進んでおり自由かつ安心して金融商品を取引することができます。

<不動産業>

香港の地価は世界一高いことで有名ですが、香港では金融に次いで不動産が主要産業です。世界中の企業・投資家が集まる場所だけに、当然ながらその不動産市場も賑わいます。香港の住宅事情から容易に想像がつくように、狭い土地に人口が密集して居住地を求めるため不動産価格が上昇します。また、近年では中国が目覚ましい経済発展を遂げたことで中国の富裕層が香港へ移住或いは投資目的で香港の不動産を買い漁ったことにより香港の不動産がさらに高騰することになりました。コロナ禍で香港の繁華街の不動産価格がいくら下落したという報道を目にするようになりましたが、それでも世界的には高止まりの水準です。

<観光業>

もう何十年も前から香港は観光業に力を入れており、香港政府観光局を中心に海外からの観光客を誘致して旅行業界を盛り上げてきました。香港には100万ドルの夜景を代表に、街のあちこちに躍動的なネオンサインが見られ、季節を彩るイルミネーションが飾られています。また郊外には多くの自然が残りハイキングコースも整備されています。ホテル、レストラン、ショップもローカルなものから高級なものまでバリエーション豊かで、旅行者はそれぞれの旅のスタイルで香港を楽しむことができます。治安の良さも旅行者にとって旅先を選ぶ大切な要素です。近年は香港内におけるデモからコロナ禍へと続き、香港の観光業は難しい局面を迎えていますが、海外向けのプロモーションに力を入れ、香港人向けの香港内のお得なキャンペーンを組むなど新たなチャレンジが見られます。

<貿易業>

ところで日本人が満7年以上香港に居住し、滞りなく納税しているなど条件を満たせば香港の永住権(パーマネントビザ)を申請することができます。永住権を持たない日本人の夫婦が香港で子どもを出産した場合、その子は日本国籍となりますが、もし両親の両方やどちらかが永住権を持っている、または片方の親が香港人の場合、生まれた子も永住権を得ることができます。しばらく日本国籍と香港国籍を有することになり、22歳になった時に、どちらかの国籍を選びます。もし日本国籍を選んでも、香港の永住権は持ち続けることができるので、香港人と同様の権利をもつ日本人となります。

香港は港というだけあって昔はただの漁港でした。香港周辺は波が穏やかな良港で、中国やアジア諸国とも地理的に有利な場所に位置することから、アヘン戦争を経てイギリスの植民地となり割譲されました。その後、香港は「中継貿易」で発展していきました。中継貿易なので、貨物は香港を経由して第三国へ輸出されるだけでしたが、戦後は香港内でも繊維産業やプラスティックの加工など軽工業が発展し、「加工貿易」が盛んになりました。
現在の香港では、A国で生産された物品を香港で在庫し、B国の需要により在庫から必要なだけ輸出する方法が主流です。輸入されたもののほぼ98.8%が再輸出されています。また、諸外国から中国へ貨物を輸出する場合でも香港を経由した方がメリットもあります。香港から中国大陸へ輸入する貨物に対しては関税がかからない、税関手続きが簡素化されるなど、香港を経由した方がスムーズになる特徴があります。

香港の産業からも読み取れるように、香港は地の利に恵まれており、風水でも香港はヒト・カネ・モノが流れる理想的な形をしていると言われています。

※本記事はH.S. Planningホームページ「香港の産業についての投稿をもとに作成しています。

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