前回に引き続き、「大湾区情報」では、日系企業の皆様に有用と考えられる最新情報をいくつかピックアップしお届けします。
八達通卡有限公司(Octopus Cards Limited)は、香港政府の今年の景気回復対策の一つである電子消費バウチャー配布を支援する以外にも、来年には香港外で中国本土の「一卡通」と連携し、中国本土の都市でオクトパスカード(八達通)を地下鉄や公共交通機関で利用し、香港ドルで決済できるようにすることを計画しています。
また、オクトパスのビジネスは 2 年以内にアジアの 4 つの国・地域、地域に拡大され、消費者はオクトパス・アプリの QR コードを使って買い物をすることができるようになります。 また、オクトパス・ホールディングス・リミテッド(Octopus Holdings Limited )のリー・チュンミン(李俊明)最高経営責任者は、「一卡通との連携は、香港とは別の中国本土用のチップ追加により対応するため、オクトパスカード中の情報を中国本土と共有することはない。」と説明しました。
大湾区へのスマートトラベル
リー氏は、中華人民共和国交通運輸部が 2016 年から全都市の交通機関の電子決済基準を統一し、中国全土の乗客が 1 枚のカードで各都市の公共交通機関を利用できる「一卡通」システムを開始したことを紹介しました。
また、オクトパス香港は一卡通と合意し、来年初め、もしくは早ければ今年末から一卡通にオクトパスカードを追加し、来年から試験的に運用を開始する予定となっています。内部に 2 つのチップを搭載した新しいオクトパスカードを購入、もしくは古いカードを新しいカードに交換したりすることで、中国本土 270 都市の地下鉄やバスでオクトパスカードを利用することができ、すべての取引を香港ドルで決済することが可能となります。
また、香港市民が大湾区へ旅行する際の様々な交通手段の利用、小売店での少額決済に至るまで、大湾区の関連機関とスマートトラベルサービスを模索しています。
無記名カードでも使用可 次のステップは「一卡通」の香港への拡大
オクトパスカードのデータが中国本土に転送されるのではないか、という点について、リー氏は、中国本土両用のオクトパスカードは、実際には 2 つの独立した読み取りチップを持つカード、つまり中国本土と香港のチップは別々であると説明しました。
また、 消費者は、無記名式のオクトパスカードを引き続き中国本土で使用することができます。 中国本土の消費者が香港で中国本土のカードを使えるかどうかについて、李氏は、第一段階として、香港の人々が中国本土に行くときにカードを使えるようにすることを掲げていて、来年に試行予定であると述べました。
中国本土の人たちの香港での使用は次のステップで、今のところ具体的なタイムテーブルは発表されていません。
これらは 交通機関や小売店のカードリーダーの更新を伴うため、交換時の費用対効果も関わってくるものとなります。
さらに次の段階では、物理的なカードに加えて、モバイルオクトパスの一卡通システムへの対応も検討されます。
アジア 4 地域での QR コードショッピングを 2 年以内に開始
オクトパス社は、中国本土以外にも、シンガポール、韓国、タイ、マカオといったアジアの 4 つの国・地域と電子マネーの共同利用について協議しています。
これは、消費者がオクトパス・アプリの QR コードを使って、海外の参加小売店で主に少額決済の買い物や、交通機関で利用することができるというものです。
リー氏によると、このパートナーシップは 2 年以上前から検討されてきていたが、新型コロナ肺炎流行のために中断しており、来年には実証テストが行われ、2 年以内の実行を目指しているとのことです。また、オクトパス社は、店舗をサポートするオンラインプラットフォームを構築し、店舗が直接消費者に割引などのプロモーションを提供できるようにすることも計画しています。
「これまでは、店舗が割引やプロモーションを提供するときに、オクトパス社と交渉し、システムの調整を行っていましたが、オープンプラットフォームの下では、店舗が独自に行うことができるようになります」とリー氏は述べました。
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