Q.法定重要書類の保管義務について教えてください。
A: ドイツで事業を行うすべての事業者は会社に関する書類(重要書類)を保管する義務があります。その義務はドイツ商法第257条及び税法第147条に基づいています。ドイツで圧倒的に利用されている会社の法的形態は有限会社であり、有限会社の保管義務の具体的な責任者は取締役(ドイツ語:Geschäftsführer)です。
そのGeschäftsführerは上記法律に従って6年又は10年間会社の書類を保管しなければなりません。
Q: 保管期間6年と10年の違いはどんな点でしょうか?
A:前述の法律は具体的にどのような書類が何年間となるのかを定めませんが、基準としては会計記録に関する書類は10年、その他は6年となります。例えば、請求書は10年ですが、請求書の基になる見積書は6年です。
しかし、場合によってこの分け方(6年か10年の判断)が難しく、その際は基本的に10年の保管を選んでおくのが安全です。
Q: 保管方法、保管場所の規定はあるのでしょうか?
A:保管方法については、書類の種類や発行者によります。通常すべての重要書類は原本のまま保管されます。公印等が押印された書類は高い確率で原本が必要となります。税法第147条2項によって年度決算書及び開始貸借対照表も原本で保管する必要があります。それ以外は基本的に原本でなくてもデジタルの保管も可能です。
保管する場所については、通常全ての書類が会社のオフィスで保管されますが、法的な決まりは特にありません。但し、ドイツ国内で保管されており、監査等の際にすぐに提出できる必要があります。
尚、すぐに提出できない場合、又は何らかの事情によって保管ミスがあった場合、税務局から罰則金を課せられる可能性があります。場合によって脱税等の犯罪とみなされる可能性もありますので書類の保管には注意が必要です。
Q: 一般的によく使われている会社書類の保管期間を教えてください。
A:以下一般的によく使われている会社書類の保管期間をご参照下さい。
このリストにない書類の保管期間について遠慮なくお問い合わせ下さい。
保管する書類の列挙(ドイツアルファベット順) :
Abrechnungsunterlagen | 証憑 | 10年 |
Abtretungserklärung | 譲渡の同意書 | 6年 |
Akkreditive | 信用状 | 10年 |
Aktenvermerke | 議事録 | 6年 |
Angebot mit Auftragsfolge | 見積書並びに発注書 | 6年 |
Angestelltenversicherung | 職域保険 | 10年 |
Anhang zum Jahresabschluss | 注記 | 10年 |
Anlagensvermögensbücher | 固定資産台帳 | 10年 |
Ausgangsrechnung | 顧客向け請求書 | 10年 |
Außendienstabrechnung | 出張旅費精算書 | 10年 |
Bankbelege | 銀行明細 | 10年 |
Bankbürgschaften | 銀行保証 | 6年 |
Betriebskostenabrechnungen | 光熱費に関する証憑 | 6年 |
Bewirtungsbelege | 接待費領収書 | 10年 |
Buchungsunterlagen | 記帳に関する証憑 | 10年 |
Einfuhrunterlagen | 輸入に関する証憑 | 6年 |
Fahrtenbuch | 運転日誌 | 10年 |
Finanzberichte | 財務諸表 | 6年 |
Geschäftsbriefe | 商用文書 | 6年 |
Gewinn- und Verlustrechnung | 損益計算書 | 10年 |
Kontoauszüge | 口座残高明細書 | 10年 |
Lohnlisten | 賃金台帳 | 10年 |
Magnetbandspeicher | 磁気テープ記憶装置 | 10年 |
Quittungen | 領収書 | 10年 |
Rechnungen | 請求書 | 10年 |
Steuererklärungen | 納税申告書 | 10年 |
Verträge | 契約書 | 6年 |
Zahlungsanweisung | 支払指示書 | 10年 |
Zwischenbilanz | 月次決算書 | 10年 |