前回に引き続き、「大湾区情報」では、日系企業の皆様に有用と考えられる最新情報をいくつかピックアップしお届けします。
深圳市の 2 大交通・生活プロジェクト、沙河西路改修プロジェクトと南平高速道路第二期が 7 月 9 日に開通しました。前者は南山地区の南北にわたる交通を「高速化」し、後者は前海地区と外部とを繋ぐ交通ルートであり、深圳とベイエリアを接続し、様々な開発を加速させる大きな原動力となっています。
「第 14 次 5 ヵ年計画」の初年度という重要な時期において、深圳市は、数多くの重要プロジェクトを推し進めており、大湾区の建設と深圳先行モデルの建設を本格的に推進するためのカギとなる取り組みとなっています。 2021 年には、交通、エネルギー、産業、教育、医療、都市再生、文化施設、本部機能などを網羅した 536 の大型プロジェクトが予定されており、総投資額は 2 兆 8264 億 9000万元に達しています。 今年 1 月から 5 月までに、深圳にて 371 の主要建設プロジェクトが完了し、達成率は年間投資計画の 44.9%となっています。
40 年以上に及ぶ改革開放の歴史の中で、「深圳のスピード」と称され、1 フロアを 3 日で施工したこと知られる地王ビル(地王大廈)、「イノベーションエネルギー」と称された光明科学城の建設、そして「深圳 クオリティ」として知られる 3 年間で 100 メートル級の 24 棟の集合住宅を建設した長圳の公営住宅プロジェクトなど、一つ一つの各主要プロジェクトは、深圳の飛躍的な発展を物語っています。 「第 14 次 5 ヵ年計画」のスタートに伴い、深圳は世界的なベンチマーク都市となるべく、発展を続けています。
"科学技術ツール "が大湾区のイノベーション・エコロジーを最適化
深圳光明科学城は、99 平方キロメートルのエリアにタワーやクレーンが立ち並び、合成生物学の研究、脳分析や脳シミュレーション、マテリアルゲノムなどに関する研究施設の建設が進んでおり、国家スーパーコンピューティング深圳センター第二期が年内に着工予定、クラウドコンピューターシステム「鵬城雲脳」Ⅲがまもなく完成予定と、主要な科学技術イノベーションの担い手が集まっています。
今年 1 月、光明区の合成生物学研究主要科学技術インフラプロジェクトのメインビルが完成しました。現在、合成生物学研究および関連分野の専門家が 800 人以上集まり、10 の研究センターを立ち上げ、学際性を重視した世界最大の最先端イノベーションチームを構築しています。
深圳のイノベーションマップでは、大型プロジェクトがマーケットのプレイヤー自体の躍進のきっかけにもなっています。 深圳の西麗地区では、DJI(大疆科技)新本社ビル「天空之城」が上棟しました。米国のアップル本社に次ぐ、英国の建築事務所Foster + Partners による、テクノロジー企業のために設計された本社ビルの傑作となっています。
企業の本社ビルは、大湾区のイノベーションのランドマークとして、その産業のイノベーションの実力を示しています。 今年の深圳の主要プロジェクトの中でも、DJI 天空之城以外に、招商銀行グローバル本社ビル、ZTE(中興通訊)本社基地、Vanke(万科)本社ビル、シャオミ(小米)インターナショナル総本部、Vivo(維沃)ビル、OFILM(欧菲光)本部 R&D センター、光峰科技(Appotronics) 本部ビル、バイトダンス後海センターなど、多くの企業の本社/本部建設プロジェクトが非常に注目すべきものとなっています。
上質なプロジェクトが街の幸せを彩る
深圳市光明区の長圳公営住宅の敷地には、3 年足らずで 100 メートル級のビルが 24 棟建設されました。 これは中国最大の組立式公営住宅プロジェクトで、8名の学者の科学研究成果により、「積み木」のように 1 万セット近くの住宅を「組み立てる」ことで、大湾区にある人々が安心して暮らせる夢を実現させました。多くの人が「保障住宅(保障房)*=低質住宅」というイメージを持っていますが、長圳公営住宅プロジェクトはそのイメージを覆しました。イノベーション技術を十分に駆使して、プレハブ式建築の傑作を作り上げました。
大型プロジェクトの建設は、深圳市民の生活上のマイナス面を補い、幸福度を高めるための大きな牽引力となっています。深圳職業技術学院深汕キャンパス、深圳音楽学院、香港中文大学(深圳)第二期建設プロジェクトを代表とする教育プロジェクト、深圳第三小児病院、中山大学附属第七病院(深圳)第二期建設プロジェクトを代表とする医療プロジェクト、安居鳴鹿苑を代表とする人材居住プロジェクトなどが今年度の計画に含まれています。
*保障房(保障性住房):政府補助がある低中所得者用住宅
スーパープロジェクト 「聯海興湾」の今後
高層ビルが立ち並ぶグローバルな都市センターである深圳前海は、ニューヨークやマンハッタンのようなワールドクラスな「べイエリアリビングルーム」となるべく建設が進められています。
沿江高速道路の前海区間と南坪高速接続により前海湾を通過する2つの海底トンネル建設プロジェクト「聯海興湾」により、中国初の海底インターチェンジが建設されることになりました。その工法の難易度は、香港・珠海・マカオ大橋や深中通道**を上回るものになります。
**深圳と中山市を結ぶ現在建設中の海底トンネル。2024 年完成予定
深圳市前海では、海底への交通拡大をいち早く模索しており、「地下 5 層+水中 3 層」のスーパー交通システムを計画・構築し、大湾区の「ベイエリアリビングルーム」を通過する「海底スーパーインターチェンジ」を目指しています。また、福田区では、皇崗路にて初の「道路の下の道路」となる地下高速道路の建設が始まっており(2025 年完成予定)、地上道路での車両の徐行は、その沿線の都市における都市エコロジーと都市空間の相乗効果をもたらし、イノベーションにも良い影響をもたらすことになるでしょう。
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