【香港】香港の商標登録について | 日本企業の海外進出支援サイト ヤッパン号


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【香港】香港の商標登録について

海外においては、商標権の侵害から訴訟になるケースがよくあります。例え海外で広く知れ渡っているブランドや製品名でなくとも、海外進出する前には進出先の国に事前の商標登録をしておくことが重要です。もし商標を他の人が先に使っている場合は、訴えられる可能性もありますし、トラブルを避けるためにその商標を買い取るか、自社の商標を変えることになります。近年特に中国本土では商標の意識が高く、何か事業を始める前には必ず関連する商品やサービスの商標登録を行います。香港は中国本土とは別に独自の商標登録制度が存在していますので、今回は香港における商標登録について書こうと思います。

商標の国際登録には「マドリッド協定議定書」(マドリッド・プロコトル)による国際登録出願(通称:マドプロ出願)があります。現在、日本・アメリカ・中国・韓国・EUなど多くの国が加盟しています。この制度を利用すれば、日本で特許庁に願書を提出するだけでこの議定書の加盟国の中で指定した国の審査を経て、一度に国際登録が可能となります。それぞれの国において手続きする必要がなく、管理もしやすく、費用も抑えられるので非常にメリットがあります。中国は加盟国なので個別に出願するよりもマドプロ出願がお勧めです。ただ現在の香港はマドプロ未加盟のため、マドプロ出願が適用されていません。香港も海外からの商標登録件数が年々多くなり、マドプロ出願は長らく検討段階にありました。2020年にようやく商標改正条例が成立し、香港でも2022年~2023年ごろからマドプロ出願が可能となる予定です。しかしながら現在の香港にはまだ適用されていませんので、従来通り個別に香港で商標登録をする必要があります。また、香港進出をお考えの方は同時に台湾、マカオにおける商標登録も視野に入るかと思います。台湾もマカオもマドプロ未加盟のため、香港と同様に個別に出願する必要があります。

それでは香港の商標登録の特徴を紹介しましょう。

「連続商標制度」(シリーズ商標制度)

通常は商標ごとに出願する「一商標一出願制度」が基本となっていますが、「連続商標制度」を利用すれば複数の商標を一つの出願でまとめることが可能です。これは英国の影響を受けた制度で、シンガポールやインドでも同様の制度があります。本質的な部分が類似しており、商標の同一性に実質的な影響を与えない、識別性のない部分のみが相違している複数(2~4つ)の商標が対象です。たとえば、簡体字と繁体字の二つの商標や、色違いの商標は連続登録とすることができます。

「色彩クレーム制度」

商標中のある色彩がその商標を特徴づけているような場合、ある特定の色彩での保護を求めるよう願書に記載します。記載しない場合、審査において色彩は考慮されません。

続いて具体的な出願方法を見てみましょう。

<出願方法>

商標登録の出願は、一般的に香港の弁護士などの代理人を通じて香港知識産権署(https://www.ipd.gov.hk/)に出願します。費用は区分によって異なります。出願に必要な情報は以下の通りです。

・出願人の住所・氏名 (英語又は中国語)
・商標 (文字、図形、文字と図形、また音声、香りなども)
・指定商品・役務 (区分は国際的な取り決めに基づく)

<審査の流れ>

主に下記のような流れとなっています。

・出願
・実態審査
(約2ヶ月、識別力があるか、先行商標と抵触しないか、人を欺くようなものでないか)
・出願公告
・異議申立期間(公告から3ヶ月)
・登録(商標権は出願日から起算して10年)
・登録公告

登録後の公告だけでなく、最初の出願後にも公告されます。
上記の順で手続きが進み、スムーズにいけば最短約6か月で登録されます。

<拒絶理由通知>

拒絶理由通知が届いたら6か月以内に補正書・意見書を提出することが可能です。拒絶理由が解消されない場合はさらに拒絶理由通知が送られます。意見書の提出の他に、香港にはヒアリング面接制度があり、出願人は3ヶ月以内に審査官に面談を申し込むことができます。

<商標権の更新>

登録されると、商標権は出願日(登録日ではないことに注意)を起算日とし10年間有効です。それ以降は更新手数料を納付することで更新でき、権利の存続が可能です。更新手続きは期間満了の3か月前から可能です。

<登録商標の取消し>

誰でも香港商標局や裁判所に、以下の理由により取消し申請ができます。

・連続して3年以上、登録商標が使用されていない場合
・登録商標が一般名称化した場合
・公衆に誤解、誤認を引き起こす場合

トラブルや訴訟にならないために気をつけたいポイントとして、海外進出を考え始めたら、出来るだけ早く商標登録の出願に取り掛かることをお勧めします。大手ブランドであっても、先に商標を登録した人に商標を使用する権利があります。この点は日本と同じで、商標登録は先願主義となっています。

同一の商標が既に登録されていないかどうかは香港知識産権署のサイトで検索が可能ですのでご参照ください。http://ipsearch.ipd.gov.hk/index.html

香港の産業からも読み取れるように、香港は地の利に恵まれており、風水でも香港はヒト・カネ・モノが流れる理想的な形をしていると言われています。

※本記事はH.S. Planningホームページ「香港の商標登録についての投稿をもとに作成しています。

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