国内の通販市場の競争環境が激化する中、ここ数年、企業の成長を支えてきたのが海外需要の取り込みだ。競争が激化する中にあってもインバウンドや越境EC、海外販路の開拓が各社の事業を潤してきた。
だが、2020年、新型コロナウイルスの感染拡大が、国内消費マインドの冷え込み、インバウンド需要の激減など事業環境に大きな変化をもたらしている。影響長期化から収束の見通しが不透明な中、コロナ時代の越境ECについて、これをサポートする専門事業者の視点から考察していく。
第3回目は、コンパスポイントの岡田氏、国際物流を行う4PX EXPRESS JAPAN(以下4PX)代表取締役の謝郁安(Ian Hsieh、以下イアン)氏、Payoneer Japan(ペイオニア・ジャパン)の岡本氏にコロナ以後の海外展開の変化について語ってもらった。
(ネット販売VOL.22 No.4より転載)
国際物流、決済をサポート
――提供されているサービスについて教えてください。
ペイオニア・ジャパン岡本:越境ECや海外のプラットフォームでサービスを提供した場合、支払いは当然、外貨になります。ただ、所在地が日本にある企業の場合、海外に銀行口座を開きにくい。これを代行するのがペイオニアの海外口座になります。オンライン上で当社のアカウントを開設することで、米ドルやポンド、ユーロなど10通貨を一元管理でき、日本国内のどの銀行でも最短1営業日で出金できます。手数料は一部を除き、通常2%で提供しています。
――利用することで得られるメリットには、どのようなものがありますか。
岡本:取引先が当社アカウントを持っている場合、世界中どこでも手数料無料で送金できます。アカウントを持たない場合も銀行口座への送金が可能です。
また、コンサルティングや物流会社、代理店、税理士などパートナー企業の紹介、毎月開催するウェビナーや年1回のフォーラムへの無料招待など越境ECの展開を全面的にサポートします。
――強みは。
岡本:法人だけでなく、海外向けにサービスを提供するフリーランサー、ライブストリーマー、旅行業界で言えば民泊オーナーなど個人事業主の方まで幅広く利用されている守備範囲の広さは特徴の一つです。また、米国、南米、欧州のプラットフォームなど、扱われている数が世界で最も多いと言われています。
――4PXが提供されているサービスはどのようなものでしょうか。
4PXイアン:中国・深圳(シンセン)に本社を置く越境EC専門の物流会社になります。世界26カ国で国際物流、倉庫作業、返品サービスなど50種類以上の物流関連のサービスを提供しています。
取引企業は3万社以上。約4000人の従業員を抱え、毎日600万件(人)への配送を行っています。
――強みは何ですか。
イアン:当社は、中国から直接、各国の消費者に製品を直送しています。企業は在庫を各国に振り分ける必要がなく、一拠点に集約して全世界に届けることができます。
貨物はすべてPostalCode(郵便番号)別に仕分けされ、現地の配送会社にお渡しすることでリードタイムの短縮が図れます。配送先現地で仕分け作業を行う必要もなく、コスト低減も図れます。自前のマテハン、独自開発のWMSも持っており、システム利用料など余計な追加費用もかかりません。
こうしたサービスレベルは、コスト競争が厳しく、難易度の高い中国EC市場における事業展開の中で身に着けてきたものです。多言語にも対応できるスタッフを揃え、国によって異なる法律や関税のルールも熟知しており、ECに特化した物流の知識と実績を背景にソリューションを提案できることが強みです。