【香港】パスポートについて | 日本企業の海外進出支援サイト ヤッパン号


香港に関するコラム

【香港】パスポートについて

昨今の社会情勢から、香港人のBNOパスポートについて論議されることが多くなりました。3月26日には、香港政府がBNOパスポートによるワーキングホリデーの申請を認めないよう日本など14か国へ要請したというニュースが報道されました。今年1月にも、イギリス政府がBNOパスポート保持者のその家族に特別ビザの申請を開始するとした一方、香港政府は各国の領事館にBNOを有効なパスポートとして認めないという方針を伝え、香港のパスポートでの入国を認めるよう求めました。各国の反応は「どのパスポートをもって入国を許可するかは香港政府の干渉するところではない」とするなど、BNOパスポートの扱いについては多様な見方があり今も議論の焦点となっています。

さて、このBNOとはどういうものでしょうか。

現在、香港人が持つパスポートには2種類あります。

・青:香港特別行政区(Hong Kong Special Administrative Region/
略称HKSAR)
・赤:英国海外市民(British National Overseas/略称BNO)

BNOパスポートとは、英国海外市民のパスポートを指しています。香港が中国に返還される以前の1997年6月30日まで、イギリス政府は希望者に対しBNOパスポートを発行していました。このBNOパスポートは、イギリス本土の市民権は得られず就労制限があるものの、イギリスでの滞在は最大6か月有効で、ビザ無しで渡航できる国も中国本土のパスポートよりも多く有利な点が多いため、返還以前に多くの人が申請しました。返還前は香港市民であれば誰でも申請でき、取得すれば返還後もこのパスポートを維持することができるので、97年以前に生まれた多くの香港人が保有しています。生涯更新することもできるので、期限が切れたBNOパスポートであっても更新して維持し続けることができます。ここ数年、多くのBNOパスポート保持者が更新のために列を成したのも記憶に新しいところです。ただしBNOという身分はその子どもには適用されないため、たとえBNOパスポートを持っている両親から生まれた子どもであっても、1997年6月30日以降に生まれた香港人は取得することができません。

そしてHKSARパスポートは、1997年7月から発行された香港特別行政区のパスポートです。こちらは中国本土のパスポートと違い、ヨーロッパや日本などへのビザが免除となっています。もし海外でトラブルにあった場合は、中国国籍のため中国大使館の救助要請が出来ます。香港の国籍法では二重国籍は認められていませんが、97年以前に生まれた多くの香港人はBNOパスポートとHKSARパスポートの両方を保有しています。

このBNOパスポートですが、中国政府は認めていません。香港人が中国へ入境する際は「回郷証」という通行証が必要となります。回郷証は中国国籍を持つ香港、マカオ永久居民が中国本土との間を往来する際に使用します。香港人が中国本土へ入境する際には国内の移動ということでパスポートではなく、この通行証のみが必要となります。また、台湾に対してもパスポートでなはなく「台湾居民来往大陸通行証」を求めています。

一方、1999年にポルトガル領から中国へ返還されたマカオはどうでしょうか。マカオの場合、返還以前からマカオで生まれた者に対してポルトガル国籍を与える措置がありました。BNOの場合、イギリス人と同等の市民権がありませんが、マカオ在住のポルトガル国籍を持つ人たちは、ポルトガル本土のポルトガル人と同様にポルトガル(永住)市民権、欧州連合(EU)市民権が保障されています。これによりEU加盟国内の居住、就労などの自由、ポルトガル大統領選挙、国会議員選挙、欧州議会議員選挙への投票権もあります。また1981年より両親或いはどちらかがポルトガル籍であればその子どももポルトガル籍となることができ、返還後も継承されています。例えば一度もポルトガルに行ったことのないマカオ生まれのマカオ市民であっても、ポルトガルのパスポートで日本に入国すればポルトガル人とみなされます。もちろんマカオにも香港同様、マカオ特別行政区のパスポートがあります。

ところで日本人が満7年以上香港に居住し、滞りなく納税しているなど条件を満たせば香港の永住権(パーマネントビザ)を申請することができます。永住権を持たない日本人の夫婦が香港で子どもを出産した場合、その子は日本国籍となりますが、もし両親の両方やどちらかが永住権を持っている、または片方の親が香港人の場合、生まれた子も永住権を得ることができます。しばらく日本国籍と香港国籍を有することになり、22歳になった時に、どちらかの国籍を選びます。もし日本国籍を選んでも、香港の永住権は持ち続けることができるので、香港人と同様の権利をもつ日本人となります。

2021年1月時点の世界パスポートランキングによればビザ無しで渡航が可能な国(地域)の順位は以下です。

1位日本(191か国)
6位ポルトガル(186か国)
7位イギリス(185か国)
19位香港・HKSAR(170か国)
32位台湾(145か国)
33位マカオ(144か国)
70位中国(75か国)

一概に比較することはできませんが、日本のパスポートが有利なことは一目瞭然ですね。現在の日本人のパスポート保有率は4人に1人なので、もっと多くの日本人が海外へ足を踏み入れて欲しいと思います。

※本記事はH.S. Planningホームページ「パスポートについての投稿をもとに作成しています。

上記コラムを寄稿した専門家に直接相談
 香港進出支援のプロフェッショナル
H.S. Planning (HK) Limited

ご質問やご相談にプロフェッショナルがお答えします。

海外進出に関する総合的な問い合わせ窓口
海外進出コンシェルジュ無料相談はこちら

ご相談の流れについて

掲載情報については取材先の企業から提供されているコンテンツを忠実に掲載しております。
ユーザーは提供情報の真実性、合法性、安全性、適切性、有用性について弊社(イシン株式会社)は
何ら保証しないことをご了承ください。自己の責任において就職、転職、投資、業務提携、受発注などを行ってください。
くれぐれも慎重にご判断ください。

一覧に戻る
海外で会社(法人)を設立する方法
海外進出支援コンシェルジュ
海外進出支援コンシェルジュ
H.S. Planning (HK) Limited
  • 海外進出支援 専門家

海外視察ツアー
海外ビジネスセミナー
海外進出支援の専門家
海外進出Q&A
ページ上部へ
海外視察ツアー
海外ビジネスセミナー
海外進出支援の専門家
海外進出Q&A
海外ビジネスニュース
海外進出企業インタビュー
運営会社
運営方針
利用規約
プライバシーポリシー
商標について
特定商取引法に基づく記載
外部送信ポリシー
ご解約はこちら
イシングループの
メディアリンク