海外法人独自のビジョン・ミッションを構築し、顧客のアンメットニーズを解決する組織に - 1/2 | シンガポール進出企業インタビューならヤッパン号


【海外の人材マネジメント特集】
海外法人独自のビジョン・ミッションを構築し、顧客のアンメットニーズを解決する組織に - 1/2

NTT DOCOMO ASIA Pte. Ltd. President & CEO 村山 啓二郎

【海外の人材マネジメント特集】
海外法人独自のビジョン・ミッションを構築し、顧客のアンメットニーズを解決する組織に - 1/2

アメリカ・インド・シンガポールと海外3か国での就業経験を持つ村山氏。シンガポール法人の代表として、顧客の真のニーズを発見・解決するための事業運営や組織・文化づくりについてお話しを聞いた。

▼海外における御社の事業内容や従業員数などについてお聞かせください。

我々は、日本ではご存知の通り携帯電話サービスを提供しております。2020年6月時点での携帯シェアが37.1%を占め、国内No.1です。(自社調べ)

一方、海外では通信インフラを持っておりませんので、特に日系企業のお客様中心に、ICT分野を中心としたソリューションの提供を行っています。

最近のトレンドですと、IoTなどのデバイスや、スマホのアプリを活用した、携帯や無線にまつわるソリューションを提供する事業を行っています。

展開エリアとしては、シンガポールがメインなのでしょうか。

シンガポールに限らず、東南アジアとオセアニア、インドですね。
シンガポール現地では15名弱の社員がおりまして、ローカルスタッフはシンガポール人、中華系、日本人のPR(永住権保持者)が在籍しています。

アジアでの現地法人はシンガポール以外に中国に2拠点、研究所が1つあります。また、本体が出資している会社に出向をしているケースもあります。タイの車両運行を管理する企業や、フィリピンの通信会社に数名等現在は合計でアジア7ヵ国に展開しています。

シンガポールへはいつ頃進出されたのでしょうか。

設立が2012年12月で、現地法人化が2013年です。現地法人になる前にも、2004年から駐在事務所という形で情報収集を行っていましたし、2011年には事務所を支店にしております。

アジアではまだ母数が少ないですが、90%が日系企業のお客様です。


コロナウイルスの影響はいかがでしょうか?

新型コロナウイルスでは、これまで導入をさせていただいた、シンガポールの幼稚園バス位置情報を一斉連絡するシステム(http://www.docomo-asia.com/case2-jp.html)が休園の影響で中断するなど、やはりビジネスへの影響が出ました。

NTT DOCOMO ASIA ホームページより引用

Circuit Breaker(部分的ロックダウン)が終了し今は状況は好転していますが、やはり東南アジア各国へ出張し、お客様とお話をしてビジネスを作り上げていくことが全くできない点は非常に痛いです。

IoTも製造業の皆様をターゲットにしていたので、工場の稼働が止まるなどの影響があり、計画を思い描いたとおりにできない状況が長く続きました。

▼逆に、新型コロナウイルスによって追い風になったことはありますか。

日本対海外という軸で考えると、日本の専門家や知識人の皆様が出張で海外に来られないため、遠隔で指示・指導していく為のソリューションの需要が高まっています。

例えば我々の提案しているスマートグラス(http://www.docomo-asia.com/addional-pages/realwear/Japanese/realwear-jp.html)では、これまで分厚いマニュアルを見ながら海外現地で作業を行っていたのが、日本とオンラインでつなぎ、メガネについているカメラで視覚を共有し、日本にいる人が指示を出しながら作業を進めることができます。

NTT DOCOMO ASIA ホームページより引用

こういった形で、お客様の課題を抽出し解決するサポートを行っています。

また、ヤンマー様と行っている機械の遠隔管理システム(http://www.docomo-asia.com/case1-jp.html)の件については、稼働状況の見える化と、迅速な保守・サポート、データの蓄積というのをネットワーク回線やIOTの技術を活用する形で行っております。

NTT DOCOMO ASIA ホームページより引用

日本のヤンマー様本社にもドコモの本社営業部がついており、そこで「海外事業をこうしたい」というご相談をいただきながら、実際のビジネス展開をこちらの責任でも担うパターンです。

通信インフラも整っていないので、基本的にすべて新規で、お客様と一緒にビジネスを作り上げていく形です。

こうしたお客様の現地側と本社様側、我々の現地側と本社側で、うまくコミュニケーションをしていくケースがさらに増えてくるかなと思います。

  

ゼロからのソリューション提供となると、お客様側も何をどう解決すべきか分からない課題を解決していく必要があり、大変そうですね。

大変です。だからこそ、“お客様から課題をどう引き出していくか”です。いろいろお話しを聞かせいただきながら、我々から「こういうことですか?」という仮説を出してみる。

その際、「違うんですよ、こういうことなんです」とヒントをいただくことができます。この繰り返しで仮説に磨きをかけています

我々もお客様と長いリレーションを持ち、新しいものを一緒に生み出したい。そのためにお客様に深く入るコミュニケーションをすごく大切にしています。

▼コンサルタントに近いイメージでしょうか。

コンサルタントだと言いっぱなしで終わってしまうケースもあると思います。我々は導入まで見届けて、お客様に喜んでもらえるよう、机上の空論で終わらないことを心がけています。

▼ローカルスタッフ向けの研修などは行われていますでしょうか。

体系的なものはなく、現状の課題だと感じています。海外で日系企業に入ってくる方は、元々日本に興味があったり、日本語が得意だったりします。

自信の日本語力をブラッシュアップしたり、日本の文化を学んだりしたいと考えている方がやはり多くおります。

その中で弊社では、OJTに近い形で、日本人のお客様のところに行って話したり、社内でも日本語と英語を混ぜて話したりという育成方法が中心です。

他には情報管理やコンプライアンス等の研修は定期的に行っています。日本で作成した研修資料を、英語に翻訳して展開しています。

人材採用はどのように行っていますか。

日本同様、求人を出し募集しています。ただ、ほとんどが中途採用です。

テレコミュニケーション系、ICT系で日本語ができる方はとても珍しいため、日本語ができて、ITにアレルギーがないという人材が軸になってきますね。配属は営業がメインです。エンジニアも数名おります。

アジアでは人材が定着しないという課題を抱える日系企業は多いと思います。御社はその辺りをどのようにコントロールされていますか。

やはり難しさはあります。ジョブホッピングの文化があるのは弊社も同じで、1年で辞めていくこともありますし、4~5年在籍すれば結構長いという感覚です。

そこで定着率を上げていくための工夫として、コロナ禍ということもあり、週に1~2回ビデオコールで全員を繋げ、コロナ関連のトピックの情報共有や、ティーブレイクのような雑談をしています

そうすることでお互いが元気かどうかわかりますし、聞くだけではなく話してもらうことを努めて行っています。

今後、定期的にやったり、一対一で話しをしたりしたいとも思いますが、まだまだそのあたりは不足している感覚です。やはりOne to Oneで話をして、「ちゃんと見ているよ」というメッセージを与え続けていきたいです。

今はシンガポール政府の指示・方針に基づきオフィスに従業員の50%のまでなら出社しても良いというルールにしていますので、チーム分けをして出社しています。私も単身赴任でシンガポールに来ていますので、家に一人で居ると寂しいですし、集中が続かない時もあります。やはり、会社に来たほうが仕事は捗りますね。

いろんな誘惑が家にありますもんね。そうするとスタッフが集中して働いているか疑心暗鬼になりませんか。リモートでも信頼関係を構築する工夫などがあればお聞きしたいです。

難しいところですね。オフラインと同じように管理しようとしてもおそらく無理なのではないかと思っています。

事前にすり合わせた成果を出してもらえば午後に少しのんびりしていても良いですし、期待以上の成果が出ればしっかり評価に反映するという割り切りを持っています。

もちろん各人の目標設定はしていますが、個人で毎日管理することは難しいので、進捗共有を定期的に行うことで意識付けやモチベーションアップを今まで以上にしていかなければと思っています。

▼評価制度については、シンガポール法人で独自に作られたものですか。

いま丁度、現地社員用の人事制度を構築すべく議論をしています。

これまでは日本のコピペ版みたいなもので運用していましたが、評価制度のみで給料のアップやボーナス額が決まっており、若干の課題があったんです。

昇格や新たなチャレンジなど、キャリアパスにも反映できる人事評価制度を構築できればと考えています。

  

アジアならではのローカライズすべき点というものはあるのでしょうか。

アジアだからというより、組織が大きくなるにつれて役職や等級などがすごく複雑になるため、名称なども含めて現地の人にわかりやすい、シンプルなものにしていくことが重要だと考えています。

そしてそれぞれの役割における期待される成果や、それぞれの役職に支払うべき給与もまとめてようとしています。

キャリアステップが不透明というのが辞めていってしまう原因の一つだと思います。目標設定、評価、昇給・昇格、と自身のキャリアアップに向けてイメージできるように、我々は透明性をもって社員に示していければと考えています。

さらに研修に関しては、我々ができる研修と、外部の方の力をお借りして行うトレーニングの両面が必要と思っています。トレーニングは日本の英語版というより、現地で探す形をとっています。マネジメント研修やマーケティングの研修などのプログラムを用意していきたいです。

2~3年で次のステップを目指し他社に移るというアジア特有の市場は否定しませんが、その中でも我々の仕事が好きになってもらい、頑張って成果をあげて成長していくための道筋は作ってあげたいですね。

  

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日本でクラウド勤怠管理システム「キングオブタイム」を開発し、国内シェア トップクラスを獲得したメンバーが、その海外展開として東南アジアへ進出。徐々に人事管理が浸透してきている東南アジアでも勤怠管理システムや人事管理システムを提供し、ローカル企業のクライアントも多数。 

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