▼海外における御社の事業内容や従業員数などにつき、お聞かせください。
シンガポールでは、生命保険事業・損害保険事業・金融事業の3つの部門を運営しています。生保はリテール(個人)向け、損害保険は法人向けというすみ分けです。
損保に関しては、シンガポールにおいても日本企業様とのお取引がある程度の割合を占めていますが、生保に関してはほとんどローカルの方々がお客様です。
シンガポールでは、生保・損保併せて250-300名ほどの従業員がいます。
日本人駐在員は5名ほどしかおらず、ほとんどがシンガポール人の社員です。組織のトップも日本人ではないため、かなり現地化が進んでいます。
▼シンガポールにおいて、日本と異なる特徴などございますか?
生命保険に関してですが、「お客様の万が一の時に寄り添える企業である」という目的は日本と変わりませんが、求められる商品体系は日本とは異なります。
シンガポールの方々はその他アジア地域に比べてとても貯蓄志向が強く、保険を活用した貯蓄を好まれます。極力、細く長く、元本保証の商品を選択される方が多いです。
先進国と言ってもいいシンガポールにおいて、これほど長期の貯蓄型の保険ニーズがある点は驚かされました。
また、シンガポールの保険業界はIT化も進んでいます。
非対面で保険契約ができたり、契約内容の変更もウェブサイト上で行えます。日本も近年だいぶ進化してきてはいますが、まだまだシンガポールのレベルには達していない印象です。
▼シンガポールにおける顧客構成はいかがでしょうか?
私の担当する生命保険は「個人保険」と「団体保険」の2種類があります。
個人保険に関しては9‐9.5割がローカルの方のご契約です。
団体保険に関しても約9割がローカル企業、残り10%ほどが日本企業様となっています。
▼コロナウイルスの影響はいかがでしょうか?
やはり、4-6月あたりは業界全体として売上が相当落ち込みました。
予想できない突然の出来事でしたし、お客様ともお会いできない中でしたのでやむを得ない状態だったと思います。
その中でもMAS(シンガポール金融庁)のサポートを受けながら、非対面セールスツールの開発や、すべての商品がオンライン上で完結するための仕組みづくり、そしてSafe Distanceを保つためのオフィス改装などに取り組みました。
シンガポールでは現状だいぶコロナウイルスの流行も落ち着てきておりますので、業界全体で売り上げも復調しています。
▼御社では、スタッフの人材育成・トレーニングなど、どのようなことを行っておりますか?
シンガポール法人においては、特にジュニア層に対して自己啓発の習慣をつけて欲しいと考え、昨年よりKPIに「自己啓発」という項目を設けました。
業務内容と関係のないものでも良いのですが、自ら学び、何かを身につけるという習慣がビジネスマンにとっては非常に大切だと考えているからです。
またこのようなご時世ですので、コンプライアンス研修にも力を入れています。
こちらは、シンガポールだけでなく、日本を含むアジア全体で行っています。
1科目1時間、半年間で合計24科目の研修となっています。
文化・慣習も日本とは異なるため、
「あなたにとってのリスクとは何ですか?」
「あなたが30分遅刻した時に会社はどんなリスクを被りますか?」
など、基本的な部分から研修を始めています。
弊社はシンガポールにおいては圧倒的なネームバリューがあるわけではありません。
求職者に向けても教育制度・トレーニングというものが魅力的に見えるよう、コミットしています。
⇒次ページ「ジョブディスクリプションを明確に」「社内でのキャリアプランを伝えることの重要性」
日本でクラウド勤怠管理システム「キングオブタイム」を開発し、国内シェア トップクラスを獲得したメンバーが、その海外展開として東南アジアへ進出。徐々に人事管理が浸透してきている東南アジアでも勤怠管理システムや人事管理システムを提供し、ローカル企業のクライアントも多数。 |