ベトナム現地法人に適した人事制度を構築する。ベトナム進出後にそうした目的を掲げられる企業様は、いずれも最終的に同じゴールを目指していると日々感じています。今回はそのゴールが一体何なのかを、「人事制度は何のためにつくるのか」というテーマを通じてまとめたいと思います。
ベトナムでの人事制度構築の目的
人事制度を構築する目的は主に2つあります。
1つ目は、会社の方針に沿った人材でベトナム法人の組織を構成するためです。人材のリテンションや適度な新陳代謝を通じて実践します。これを実現するためには、会社からベトナム人社員への期待値の明確化が必要です。年度の人事考課の視点と、会社はどんな人材を評価したいのかという基準を明確にする「短期の視点」、ベトナム法人で描くことのできるキャリアパスと、キャリアアップの要件を明確にする「中長期の視点」が重要となります。
2つ目は、適正な人件費の予算内でベトナム法人を運営するためです。年々のベトナム労働市場の動向に照らして適正な昇給予算をとり、その予算内で昇給運営をする「短期の視点」、将来的に描く賃金カーブからの逆算で、等級毎の給与水準の上下限管理をする「中長期の視点」を持つことがポイントです。
いずれもベトナム進出の目的や経営方針にリンクする部分があると思いますので、事前に各視点を持って、人事制度構築のヒント得ておくと良いでしょう。
ベトナム人社員に「納得感」をもってもらう
以上の目的を実現するためには、ベトナム人社員に「納得感」をもって新制度を受け入れてもらう必要があります。そのために外せないポイントは下記の通りです。
【公平性の担保】
・昨年対比の公平性:日本法人の都合等で必要以上に変更せず、毎年一貫したルール
やロジックのもとにベトナムの人事制度を運営する。
・競合対比の公平性:社内のバランスだけでなく社外環境にも目を向け、ベトナムの
労働市場動向から自社だけが乖離しすぎないよう調整する。
・同僚対比の公平性:ベトナム人社員間で、査定の甘辛や処遇反映の不公平が出ない
ようにルールを整備する。
【システムの連動】
・等級制度と評価制度の連動:ベトナム人社員の各等級への期待事項と評価項目を統
一する。
・評価制度と報酬/等級制度上での処遇反映(昇給・賞与・昇格・育成)の連動:得
られた評価結果に基づいて、処遇反映を決める(評価は評価、処遇は処遇と切り分
けない)。
【信頼関係のある上司からの新制度解説】
ひとまず人事制度があるだけ、制度不要なくらい社内の人間関係が良いだけ…どちらか一方をとっても、スムーズな運用に乗らないのが人事制度の難しいところです。 「日本人とベトナム人社員の関係は良好だから、今さら人事制度なんていらない」では、そのうち綻びが出ますし、「現地向けの人事制度を作ったが、ベトナム人社員に受け入れてもらえる関係値にない」では運用に耐えません。
人事制度を作った後に、その背景にある想いや方針まで含め、日頃から信頼関係のできている上司が新制度を自分事として熱く語ることで、ベトナム人社員の「納得感」は各段にあがるものです。
まずは中間管理職層の方々に、部下に語れるくらい新制度を理解してもらうことが大切です。
なお、弊社ではベトナムの人事制度設計に関するサービスを提供しています。基幹の⼈事制度である等級制度、評価制度、報酬制度の設計についてアドバイス等をお求めの方は、一度ご相談ください。
※本記事はiconicJobの投稿をもとに作成しています。
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