シンガポールで会社設立 (法人設立) する手順まとめ | 日本企業の海外進出支援サイト ヤッパン号

シンガポール×会社設立特 集


シンガポールで会社設立をお考えの方へ

シンガポールは、他の東南アジア諸国に比べても会社設立が容易で、日本人・日本企業でも100%独資で簡単に設立できます。更に、政治やビジネスインフラも安定し、ビジネス用語も英語を用いていることから、世界銀行が発表したビジネス環境ランキングでは2位にランクインしています(※2019年)。地理的にも東南アジアやオセアニア地域へのアクセスがしやすく、7,000社の多国籍企業がシンガポールに法人を構えるほどです。

しかし、コロナの影響もあり、実際にいまシンガポールへ進出するにあたり、「どのような形態で会社設立(法人設立)できるのか」「どれくらいの期間で設立できるのか?」などと疑問に思っていらっしゃる方は多いのではないでしょうか。そこで、今回、ヤッパン号では専門家の協力を得て、シンガポールの会社設立(法人設立)特集ページを2021年11月に刷新しました!是非、ご活用ください。また、ヤッパン号オススメの専門家も紹介可能ですので、シンガポールで会社設立をご検討中の方は、ぜひお気軽にお問い合わせフォームよりご連絡ください。

それでは、1つ1つみていきましょう!

掲載情報については2021年7月5日時点における情報に基づいて、ヤッパン号編集部で作成したものです。ただし、その掲載情報の真実性、合法性、安全性、適切性、有用性について弊社(イシン株式会社)は何ら保証しないことをご了承ください。直接、専門家の方々にお尋ねすることをお勧めいたします。くれぐれも慎重にご判断ください。

1シンガポールで会社設立するために知っておきたい3つのポイント

シンガポールに会社設立する際の進出形態とそれぞれのメリット・デメリット

シンガポールに会社設立する際の進出形態とそれぞれのメリット・デメリット

シンガポールに進出する際に選択する進出形態(会社設立の形態)は、主に「現地法人」「支店」「駐在員事務所」の3つです。

法人形態を選ぶ際に最初に考えるべきポイントは、シンガポールで「営業行為」を行う予定があるかどうかです。

現地法人・支店の場合は営業行為が可能ですが、駐在員事務所の場合、一切の営業行為が許されていません。そのため、駐在員事務所は市場調査の目的で進出する際に活用され、多くのケースは日本企業がシンガポールに会社設立(法人設立)する際は、「現地法人」を選ばれています。一方、現地単体で赤字が続くことが予想される場合や、金融・建設・商社などの特殊な業種では「支店」を選択する場合も見られます。

シンガポールに会社設立(法人設立)する際の進出形態の主な違いは次の表のとおりです。

シンガポール進出形態 4パターンの比較表

現地法人 支 店 駐在員事務所
営業行為の可否 ×
日本本社の法的責任 なし あり あり
法人の決算・税務申告 あり あり なし
ライセンス取得難易度 〇(取得しやすい) △(一部不可) ✕(取得が難しい)
取締役の条件 現地居住者が最低1名 本社の取締役と同一人物 なし
SG居住者の必要性 居住取締役1名 ローカルエージェント1名 必要なし
登録料(登記代) S$300/年 S$300/年 S$200/年
法人税 17% 17%(日本でも課税)
本社への損益算入 不可
会社名(商号の選択) 自由に選択可 日本本社と同名 日本本社と同名
会計監査人の選択 必要(条件次第で免除あり) 必要 必要なし
就労ビザの発行

【現地法人】

シンガポール法人(Company Limited by shares)として会社設立(法人設立)した場合、シンガポールでは法人税 (17%) が適応されます。日本の法人税よりも税率が低いため、日本のタックス・ヘイブン対策税制の経済活動基準を満たせば税制面でのメリットを享受できます。

また、シンガポール法人が債務不履行に陥った際、支店の場合は日本本社に支払い義務や法的責任が生じてしまいますが、現地法人であれば日本本社の責任が追求されることはありません。このような債務リスク・法的リスクが日本本社に直接及ばないよう、現地法人で会社設立(法人設立)するケースが圧倒的に多いです。

【支店】

事業として現地で活動可能な内容は現地法人とほとんど変わらず、営業行為や入札も可能です。ただし、支店はあくまで日本本社の一部であるため、シンガポール現地の税制・法律に加えて日本の税制・法律も適応されます。

支店のメリットとして考えられるのは、現地支店が赤字の場合に、支店での損失を本社の損益に合算できることです。支店の赤字が本社の利益から引かれるため、日本本社の租税負担が軽減されます。そのため、移行の事務コストは掛かりますが、進出初期で黒字化が見込めない期間は支店で活動し、黒字化するタイミングから現地法人で事業を行う企業も散見されます。

現地法人と比べてデメリットとなるのは、債務リスク・法的リスクが日本本社に及ぶこと、ライセンス取得の難易度が高いこと、の2つです。特にライセンス取得に関しては、「飲食」「美容」「人材紹介」など営業ライセンスが必要な業種があり、その多くは事業主体がシンガポール現地法人であることが要件となっております。また、ライセンス取得のため取締役自身がシンガポール居住者であり、かつ、資格を取得することが求められることが多いため、支店で事業活動が可能か事前に確認が必要となります。

【駐在員事務所】

駐在員事務所は、現地法人や支店よりも会社設立・維持コストが抑えられます。ただ、現地で可能な業務範囲が大きく制限され、営業行為は一切禁止されています。具体的には、契約交渉・受注・請求・支払金の徴収・アフターサービスが出来ません。そのため、現地での市場調査のために利用することが大半です。

駐在員事務所の場合は設立条件が、現地法人や支店と比べて厳しく、日本本社の売上が25万米ドル以上、かつ日本本社が会社設立から3年以上経過していなければならず、駐在員事務所のスタッフの人数も5名未満と定められています。また、駐在員事務所は1年ごとに更新申請が必要ですが、その活動期間は最長で3年間と定められており、その後は現地法人か支店へ変更する必要があります。

シンガポールで会社設立するための
10ステップ

シンガポールで会社設立するための
10ステップ

ここでは、最も一般的な進出形態である現地法人としての会社設立(法人設立)について、流れを記載します。

下記が各ステップの詳細になります。

STEP1
シンガポール法人の会社名(商号)の予約

会社設立(法人設立)の手続き前に、使用したい会社名(商号)について、シンガポールの会計企業規制庁(ACRA)が運営するBizfile+からオンラインで承認を受ける必要があります。

なお、シンガポール法人として会社設立(法人設立)する場合は、自由に会社名を選択できますが、支店登録の場合は日本本社と同じ会社名の利用が必須になります(Singapore Branch等を末尾につけていることが多い)。

日本本社の名前や商標を利用する場合は、内部的に、本社や商標権者の同意書が必要になります。ただ、希望の商号が利用できない場合も少なくありません。

既に同名の会社がシンガポールに存在する場合、酷似する会社名がある場合、ACRAが適切ではないと判断した文言を含む場合、財務大臣から指定されている禁止文言を含む場合の社名は許可されません。

スムーズに会社設立(法人設立)を進めるためにも、会社名の候補は最初から複数用意しておくことをオススメします。また、営業ライセンスが必要となる業種で「Law」「Finance」「Travel」などを含む名称の場合、関係省庁の確認を得る必要があるため、承認まで2-3週間程度かかります。

STEP2
居住取締役の選任

シンガポールで会社設立(法人設立)するためにはシンガポールに居住する取締役が必要になります。

非居住者でも取締役に就任することはできますが、最低1名はシンガポールに居住する取締役が必要です。

日本から現地へ取締役を派遣する予定でも、会社設立が完了するまでは就労ビザの申請ができないため、居住者として取締役に就任することはできません。

そのため、新規にシンガポールへ進出する企業の場合、会計事務所・法律事務所などの専門家に会社設立の代理人も兼ねて居住取締役に就任してもらうことが一般的です。

STEP3
会社設立(法人設立)のための定款作成

シンガポール法人の定款を作成します。会計企業規制庁(ACRA)が標準定款を公開しており、これを利用することができます。標準定款と異なる条件を設定したい場合には、会計事務所・法律事務所などに要件にあった定款の作成を依頼します。

法人設立には会社名、本店所在地、事業目的、資本金額、発行済株式の総数、株主及び取締役の氏名・住所・ID番号(パスポート番号)及び、これらを証明する資料(原本証明済みのパスポートコピー等)などが必要になります。

なお、シンガポールでは資本金がS1$から会社設立可能ですが、就労ビザ申請等のために十分な資本金が必要とされる場合がありますので、現地専門家に相談することを推奨します。

STEP4
Bizfile⁺(オンライン登録)を利用して会社登録申請・承認

Bizfile⁺という会計企業規制庁(ACRA)のオンライン登録で会社設立(法人設立)申請を行います。無事に認可が出れば、ACRAに対する手数料としてS$300が必要になります。

基本的には、会社設立のための上記手数料を納付して約15分で手続きは終わりますが、「金融」「教育」「医療」など、その他の省庁に確認する必要がある業種の場合、14日~2ヶ月ほど、掛かります。

会社が設立されると、会計企業規制庁(ACRA)から会社のBusiness Profile(日本における登記簿謄本に該当)が発行されます。また、別途設立確認証明書の発行が必要な場合は、追加S$50の手数料で取得可能です。

STEP5
就労ビザ(就業許可証)の申請

会社が設立された後、現地に赴任する取締役などの就労ビザ申請が可能になります。就労ビザを取得後は居住取締役として取り扱われるため、STEP2で代理人として居住取締役に就任した会計事務所・法律事務所の取締役は退任してもらうことが可能です。

就労ビザの取得に関しては会社設立をサポートした業者や会計事務所・法律事務所が対応していることが一般的です。

STEP6
第一回取締役会開催と議事録の作成 (書面でも可能)

会社設立(法人設立)の後、第一回取締役会を開催し、議事録を作成します。この取締役会で決算日の決定や取締役の選任を行います。この取締役会はシンガポール現地で行う必要はなく書面で済ませることも可能です。

STEP7
銀行口座の開設と資本金の送金

設立した会社名で法人口座を開設します。マネーロンダリングや脱税目的での口座開設を防ぐため、原則として口座開設の際は署名者がシンガポールにいる必要がありますが、コロナ禍での対応として一部の銀行では全てオンラインで手続きが可能です。

銀行によって開設のための手続きや期間が異なるため、最新の情報は会計事務所や銀行口座開設をサポートしている専門家に確認することがお勧めです。銀行口座が開設できたら資本金を速やかに送金します。

STEP8
コントローラー(RORC)の登録

会社設立後、30日以内にBizfile⁺を通じてコントローラー(RORC)の登録を行う必要があります。

コントローラー(RORC)とは、会社に対して「重要な利害」または「重要な支配権」を有する個人または法人を指します。グループ企業を介し、間接的に重要な利害(もしくは重要な支配権)を有する個人(または法人)がいる場合、新設した法人と直接的な出資関係はなくとも、その個人(または法人)がコントローラーとして取り扱われます(例:シンガポール法人の法人株主の株式を25%以上保有する個人など)。

なお、コントローラー(RORC)はBizfile上は開示されません。

STEP9
会社監査人の選任

会社設立(法人設立)後、3ヶ月以内に選任する必要があります。

会社監査人にはシンガポールの公認会計士の資格が必要です。

STEP10
カンパニーセクレタリー(会社秘書役)の選任

会社設立(法人設立)後、6ヶ月以内に選任する必要があります。カンパニーセクレタリーの就任には一定の資格要件があります。

カンパニーセクレタリーは、株主、取締役、会社秘書役、監査人などの名簿、社債および担保の登録簿、会社定款、株主総会の議事録、ACRAへの法定申告書類などを維持することが義務付けられます。

実務上は、居住取締役として会社設立を行った会計事務所・法律事務所が会社設立時点で就任することが実務的です。

シンガポールで会社設立するために必要な書類・準備

シンガポールで会社設立するために必要な書類・準備

会社設立(法人設立)時に必要な書類・準備

・定款

・社名確保費用S$15

・資本金(最低資本金S$1)

・登録手数料S$300

・本店所在地

・現地居住取締役(宣誓書)

・取締役の身分証明書、住所証明書

・株主の身分証明書、住所証明書(個人株主の場合)

・株主の登記簿謄本(法人株主の場合)

・コントローラー(RORC)の身分証明書、住所証明書

法人名義の銀行口座開設に必要な書類

・シンガポール法人の定款の写し

・Business Profileの写し

・取締役の遵法宣誓書の写し

・法人口座開設に関する取締役会議事録の抄本

・取締役会議事録の抄本に署名した取締役・会社秘書役の身分証明書(パスポートなど)

・署名者の身分証明書(パスポートなど)

※銀行により、上記以外にも必要書類が要求されることがあります。

記事監修:青山綜合会計事務所シンガポール

記事監修:青山綜合会計事務所シンガポール

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