日系企業はベトナム進出に際して、ベトナム人社員の生活配慮やスキル・意欲の向上、実費見合いなどに対する「手当制度」を整備することになります。但し、日本法人の感覚で設計するのではなく、ベトナム人社員からも納得感を得られるよう、現地事情を加味した設計が必要となります。
そこで今回は、ベトナムに適した手当制度を整備する上で注意したい「ポイント3か条」をお届けします。
生活配慮の手当は一律支給とし、ベトナム進出後も見直しを
一口に手当といっても、その支給背景は様々です。昼食手当や通勤手当、住宅手当など、ベトナム人社員の生活配慮を目的とした手当であれば、社員の職位・職能によってコストが変わるものではありません。これらの手当はベトナムの生活物価状況から判断し、月額固定で全社員に同額を一律支給するという運用であれば、社員にとっても納得感があります。
通勤手当に関しては、郊外にあるオフィス・工場の場合、通勤距離に応じて支給額を変動させる仕組みもありますが、市内立地のオフィスならば固定額の一律支給が一般的です。
こうした生活配慮目的の手当は、その支給背景からしても、生活物価の変動に応じて見直しをかける必要があります。ベトナム進出前の企業は、現地の最新情報を参考に支給額を判断しつつ、ベトナム進出後も適正価格になっているかどうか、毎年確認すべきでしょう。
ベトナムでは職位・職能手当の設計及びロジックを明確に
一方で、役職手当や言語能力手当、資格・技能手当などは、支給額に変化をつけるのが一般的です。例えば、役職手当ならばリーダーとスーパーバイザーに対する支給額は異なりますし、日本語能力N3とN2レベルの社員においても同様です。ベトナム人社員の職位や職能レベル、難易度に応じて設計し、向上意欲を後押ししましょう。
ただし、差額のロジックが明確に示せないと、ベトナム人社員から不信感を買うことになりかねます。どのレベルに対していくら支払うのか、事前に基準を明示することが大前提です。ベトナム進出に際しては、このような手当と支給額の相場を理解しておくとスムーズです。
実費見合い分の一律支給も、ベトナムでは注意が必要
ベトナムでは、業務上発生する通信費やバイクのガソリン代などを、実費補完として支給するのが一般的です。しかし、これらの費用が発生しない社員にも、一律支給しているケースが稀にあります。
この場合、実費分のマイナスがない社員は「お小遣い」的な収入を得ていることになり、一部の社員は「実費見合いしか貰えていない」という、本来の意図を曲解した感情を持つ恐れがあります。
従って、実費見合いの手当は、持ち出しコストが発生する部門への支給に留めるなど、支給意図と支給額の整合性をとった方法にすることが重要です。
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※本記事はiconicJobの投稿をもとに作成しています。
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