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【ドイツの会計事務所・法律事務所が贈る お役立ちコラム】
~No Deal Brexit – 合意なきEU離脱 日系企業への影響~

No Deal Brexit - 合意なきEU離脱 日系企業への影響

2019年3月29日に向けて英国が正式にEUから離脱するまでのカウントダウンが進む中、合意なき離脱の可能性が浮上してきて英国では既に医薬品などの買溜めが始まっています。この不安定な状況を踏まえて大陸ヨーロッパへ英国から拠点を移管している日系企業は増えて来ています。

特にEUの許認可を必要とする製薬会社などは英国法人の取得している許認可が無効になるため二年前からドイツなどに法人を設立し、当局許認可を取得しています。

英国との貿易関係がある企業にとっては英国がEUから離脱する事で基本的に通関手続きが必要になる事はご承知かと思います。合意なき離脱の場合は世界貿易機関WTOの関税が適用となります。何にしても通関手続に時間とコンプライアンスコストが発生しますので納期と価格への影響を考慮しなければなりません。

英国からドイツへ輸入すると今まではVATは発生していませんが今後は19%の輸入VATを払わなければなりません。キャッシュフローへと資金繰りへの影響があります。特に気をつけなければなりませんのは英国がEUのVAT制度から離脱する事でいわゆる三ヶ国取引(Triangulation)で3社の取引でVAT無しの扱いが適用できなくなり、VATが発生するリスクがあります。ドロップシップメントなどの商流がある会社はこのチェーン取引のVAT処理を見直さなければなりません。

既にドイツに拠点をお持ちの会社は英国をEUではない第三国として扱えば良いのです。英国経由で欧州全域と貿易していた会社は関税や通関の時間のロスを考慮して商流の変更も検討しています。特に合意なきEU離脱のために日本と英国の通商協定と日EU経済連携協定(EPA)の比較の上、EUへの商流を考慮しなければなりません。日本と英国の通商協定は交渉が難航していてBrexit後はWTOの関税が適用になる可能性があります。又、英国にとっては少なくてもEPAよりも不利な条件が適用になれば英国の拠点を通してEUに販売するよりも直接EUへ輸出する方が有利との結果になる可能性が高いと思います。

EU域内に拠点が無い場合は英国法人の支店又はドイツ子会社設立で対応が可能です。支店開設や現地法人設立は1ヶ月以内に可能です。但し、現地法人に関しては通常の設立ではなくて弊社が予め設立したペーパーカンパニーを買うパターンでなければもっと時間がかかります。支店開設又は現地法人設立後に税務登録を行い、通関に必要なVATIDやEORIの登録を行います。昨今、税務署の対応が遅く、VATID取得に2、3ヶ月も時間がかかり輸入ができなくて困惑しているケースもあります。

EU域内の貿易のためにドイツに拠点をご検討の場合はお早めにご相談下さい。

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