【不動産プロフェッショナルがおくるコラム】シンガポールの不動産・オフィス市場
シンガポールのオフィス市場は昨年後半から上昇基調であり、今後の供給面積がこれまでの半分以下という状況を見越したオーナーが強気な姿勢を崩さず、公表指数は強含みにて推移している。
S-REIT、Capitaland Commercial TrustのAnnualReport2017によると、シンガポールCBDにおけるオフィスビルのキャップレートは3.6%~4.1%となっており、東京都心区の3%前半と比べても大差がないため、今後の価格上昇が期待できる当地でのオフィス投資は良いタイミングと言える。
オフィスでも100㎡以下の区画(ユニット)の取引が多く、成熟した中古市場により、比較的少額から安定した投資も可能なことや、株式譲渡のスキーム浸透により流動性が高いことなどが当地の魅力といえる。
<シンガポールのCo-Working Space>
世界中で同様の傾向が見られるように、最近のシンガポールの大型テナントは、Co-working Styleを提供するサービスオフィスのプロバイダー達である。優秀な人材確保のため企業に求められる職場の快適度は日々そのウェイトを増し、企業は、このハードルを越えるためこの新しい形態のオフィスを利用する。ガラス張りで明るい室内、最先端のミーティングルーム、ホテルロビーのようなラウンジやヨーロッパ風カフェ、卓球台やゲームコーナーなど、各社プロバイダー側は競って共用スペースやITネットワークを充実させる。その一方、どの拠点にも同じオリジナル家具を置き、大量発注によるコストの圧縮も実現している。
グローバルで活躍するビジネスマンにとって、海外出張先でネットやコピー機、打合せラウンジが自由に、しかも、普段と同様のクオリティで使用できることは非常にありがたい。いまやサービスオフィスは、会社を立ち上げたばかりの人達だけのものでなく、柔軟性や拡張性を求めるGoogle, Microsoftなどの多国籍大型企業が大規模面積を占めている。
かくいう私も4月にCo-workingスペースに拠点を移したが、当初ゆったり使えていた共用スペースもあっという間に混雑するようになり、近々拡張するのでは?とその動向を楽しみに見守っているところである。本当にシンガポールのスピードは速い。
成長性が高いながらも移転リスクが低いサービスオフィスが入居するオフィスビルは、少々投資利回りが低くても中長期的に良い買い物になるものと考える。