※本コラムは、マレーシアの生活関連サービス紹介の「M-navi」から転載しています。 → 転載元の記事 |
マレーシアの人材マーケットについて
日系企業が海外での会社を経営する上で、必ずと言っていいほど何かしら人材面の課題に直面します。各国によって直面する課題は様々ですが、人材の課題解決なくして企業の発展はないと言っても過言ではないと私は思います。会社を経営する上では、その国、地域の人材マーケットの特性を把握しつつ、①適切な採用 ②公平、明確な人事制度設計(評価、キャリアプラン等) ③魅力的な社員教育 が必要です。今回は、特に課題となっている「採用」にフォーカスをあて、全6回にわたり現在マレーシアの人材マーケットについて様々な角度からご説明いたします。
マレーシアでは賃金の上昇が課題
マレーシア日本人商工会議所(JACTIM)/JETROが共同で行っている在マレーシア日系企業を対象に行ったアンケート(2017年)において「労働政策・雇用環境に関する課題」の質問では約70%の企業が「賃金の上昇が課題」と回答しました。過去2014年まで遡っても、過去4年連続で最も重大な課題となっています。マレーシアはここ数年5~6%前後の昇給率で推移しており、更に2018年の昇給率予想についても、JACTIMの調査では4.8%、またマレーシア経営者連盟では管理職が5.53%、非管理職が5.42%と、引き続き5%前後の昇給率が見込まれます。
近隣諸国では昇給率が10%以上の国も
日本人からすると毎年毎年5%以上昇給するなんて、、、と羨ましく思いますが、周辺のASEAN諸国を見るとどうでしょうか。今急成長中のベトナムでは、2016年度は9.6%、2017年度は8.4%、更にインドネシアでは2016年度は10.1%、2017年度は8.2%と、信じられないような高い水準で推移しています。このように発展途上国の昇給率上昇は、どの国でも直面している問題であり、経済発展と共に上がり続ける数値として認識をしなければなりません。
どれだけ昇給すればいいのか?
しかし、ここに大きな落とし穴があります。「総合的な賃金上昇」の問題は、今まで述べた数値だけで見ることが出来ません。統計上の昇給率は、あくまでも昇給率のベースを表した数値です。もしある企業がこの数値にならい、毎年真面目に全社員の昇給を行ったとしても5年後に周りを見渡すと半分以上の人材が入れ替わっていることでしょう。組織を強化し、更に事業を拡大していくための「戦略的な昇給」も考えなければなりません。「戦略的な昇給」は、ある一定の予算の中で、どの人材に、どのような評価基準で、どれだけの昇給をするのか?をより明確にし、結果社員のモチベーションを上げ、優秀な人材を繋ぎとめる大きなポイントになります。