一番人気は経済成長甚だしいベトナム
海外進出先の検討先として、一番人気が高かったのは、ベトナムだ。ベトナムは、2016年国内の小学校で、日本語を第一外国語として教育されることが発表されたり、優秀なエンジニアが多いことから、人材の宝庫として人気が高い。オフショア開発の拠点などとしても人気があったが、最近では日本国内の人材不足に対する外国人労働力としても注目が集まっている。
一方で、賃金はここ数年間、毎年平均10%以上上昇しており、一般消費者の消費能力も高まっていることから、日本食を始めとするサービス業のベトナム進出も徐々に増えているようだ。
日本の景気が良いからこそ、アメリカへの進出を検討する人も少なくない
ヤッパン号ユーザーから次に進出検討先として人気があったのは、アメリカだ。昨今、東南アジアへの進出が主流といった風潮もあるが、やはり市場規模を考えるとアメリカの存在は大きい。自社ブランドを持つメーカーが進出を検討し、展示会などに参加することも多い。また、ebay等を利用したアメリカ市場向けのEC事業が拡大してきたことにより、アメリカ市場の獲得に本腰を入れるために現地拠点を設立する企業も増えている。
ただし、アメリカへ進出する場合、維持コストや人件費は、東南アジアと比べるとどうしても高くなってしまう。最初から黒字化が見えているのであれば良いが、そうでない場合はコスト面で事業リスクが高い国でもある。だからこそ、日本でのビジネスが上手く回っていて投資する余力があるうちにアメリカへ挑戦しようとする企業も少なくない。
フィリピンはアジアの病人からアジアの優等生へ
1950年代は「アジアの優等生」と呼ばれていたが、汚職などの政治腐敗が横行したために「アジアの病人」と呼ばれるようになってしまったフィリピン。そのフィリピンが、進出検討先として3位に上昇してきており、「アジアの優等生」に戻りつつある。
2010年以降、アキノ前大統領が政治腐敗の改善に努めてきたが、特に現大統領であるドゥテルテ大統領が汚職政治や治安の改善を大きく進めてきた。日本でもニュースをよく騒がせており、あまりよくない印象を持つ日本人も少なくないが、実はフィリピン国内では支持率70%以上と、圧倒的な指示を誇っている。
もともと、アジアの中では珍しい英語圏であるため、 コールセンターなどのBPOや、オフショア開発の拠点としては注目されており、東南アジアの次のマーケットとして、アメリカやインド、欧州を視野に入れる企業にとっては人気が出やすい。現政権が、汚職だけでなく、麻薬やマフィアなどの撲滅を徹底的に進めているため、国外の企業が投資しやすい環境になりつつある。
また、ベトナム同様、日本国内の人材不足解消のための供給先としても注目が集まっており、日本で外国人人材を斡旋する事業者も、フィリピンに拠点を構えることが増えている。
シンガポールやインドネシアの人気は落ち着いてきた
一方で、2014年くらいまでは人気が強かったシンガポールやインドネシアは、進出先として少し候補に上がることが減ってきているようだ。
シンガポールで言えば、以前からコスト高であることや、市場規模が小さいことから、市場獲得を狙った進出には向かず、主にASEAN各地の統括拠点を置く地域として活用されてきた。ただ、タイでも統括拠点に対する税制優遇制度が確立されてきたことで、統括拠点をシンガポールからタイへ移管する日系の製造業も増えている。
インドネシアは、人口ピラミッドの形がよく、今後の市場規模拡大も期待できるため進出先として人気の国であるが、外資規制により多額の資本金が必要になることから、進出検討後に諦める中小企業も少なくなかった。また、島国のため陸路でつながっていないエリアが多く、国全体としての市場規模が大きくても、獲得が狙える市場が結局ジャカルタ周辺になってしまいやすいことも認識が広まりつつあり、少し人気は下がっているようだ。
本記事は、2017年のヤッパン号ウェブサイトへのアクセスデータを元に集計しております。