パブリック・カンパニーのカンパニーセクレタリーに就任できる者はシンガポール公認会計士協会に所属しているなど資格要件があります。プライベート・カンパニーの場合は誰でもカンパニーセクレタリーに就任できますが、専門性の高い手続であるため会計事務所などに外注するケースがほとんどです。
【解説】
カンパニーセクレタリーは、株主総会、取締役会の議事録の作成と保管、原本証明のための署名、企業会計規制庁(ACRA)への登記手続などを行い、全ての会社は最低1名のカンパニーセクレタリーを置く必要があります。
カンパニーセクレタリーの資格要件は就任する会社の形態により異なります。有限責任の会社形態には、株式の譲渡制限が付され株主を50名までとするプライベート・カンパニーと、プライベート・カンパニー以外の株式等の公募が可能なパブリック・カンパニーの2種類があります。
パブリック・カンパニーの場合、カンパニーセクレタリーに任命できる者は、以下の要件を満たしている必要があります。
プライベート・カンパニーの場合には、上記のような資格要件はありませんのでシンガポール居住者であれば誰でもカンパニーセクレタリーに就任できます。但し、シンガポール法人の取締役が1名の場合、当該取締役はカンパニーセクレタリーを兼務することはできません。
各年度の年次報告書(AR)の作成、株主総会(AGM)の開催、およびACRAへのARの提出、本店所在地、取締役などの登記事項の変更届出は、一定の期限内に行う必要があります。期限を遅延した場合には、登記遅延料金(ARの作成、AGMの開催、ARの提出に係る遅延は300ドル、それ以外の項目は遅延日数に応じて50~350ドル)が発生し、またAGMの開催等の遅延はCompliance Rateの箇所に(×)の記載が付されてしまいます。
カンパニーセクレタリーの業務は、登記に必要な書類の整備など専門性が高く、かつタイムリーに対応が必要であるため、実務上は信頼のおける会計事務所等に外注しているケースが多く見受けられます。