総合物流の近鉄エクスプレス(KWE)は8日、タイで今後需要が拡大すると見られるクロスボーダー(国境間)輸送や輸出入サービスに対応するため、東部プラチンブリー県のロジャナ工業団地内にタイ国内で9拠点目となる新倉庫「プラチンブチ・ロジスティクス・センター」を開設したと発表した。約6万5000㎡の土地に、第1期として9934㎡の空調完備の倉庫を稼働。年内にも第2期工事に着手する計画で、倉庫面積も来年中には現在の2倍強の約2万㎡に達する見通しだ。
新倉庫はバンコクから東北に約140キロ。タイ最大の貿易港レムチャバン港やスワンナプーム空港からも110〜130キロと近く、東部国境まで120キロと交通が至便。ミャンマー東南部ダウェーからバンコクを経て、カンボジア、ベトナム・ホーチミンを結ぶ「南部経済回廊」に位置することもあって、地理的条件に恵まれている。
想定されるビジネスモデルは3つ。「クロスボーダートラックサービス」は、タイ国内で集荷した工業品や日配品などのトラック混載便をカンボジアに向け陸送。国境通過後は、首都プノンペンやさらに先のホーチミンまで個別配送を行うというサービスだ。製造業を中心に「タイ・プラスワン」の動きが加速する中で今後、着実に需要が増えていくものと同社では見ている。
二つ目は「輸入型VMI倉庫サービス」。海外のサプライヤーから輸入した部品等をいったんKWEの新倉庫で保管。ジャストインタイムで顧客企業の元に届けるというサービスで、顧客のコスト削減にも期待が持たれている。最後の「輸出型集約転送サービス」は、近郊の企業などから海外向け出荷物を受託。空港や港まで配送し、輸出業務を代行するというサービスだ。同社では新倉庫を新たな戦略的物流拠点と位置付け、さらなるニーズの確保に注力していく方針だ。