激震! 大物警察高官ら逮捕
汚職の伏魔殿“警察組織”に捜査のメス。総額20億バーツの財産没収
11月25日、ソムヨット国家警察長官は「前中央捜査局長(CIB)のポンパット中将(58)と同副局長だったコーウィット少将らを含む警察官7人と民間人5人を収賄や不敬罪で逮捕した」と発表。異例の警察高官の逮捕劇に、タイ国内は騒然とした。それもそのはず、ポンパット容疑者は、「完璧な警察官」と言われるほど、誰もが知る敏腕警察官で、過去には、偽ドル札グループの摘発や世界的麻薬組織の逮捕などで名を馳せた。皮肉にも汚職警察官をも逮捕してきた輝かしい過去を持つ、そんな同氏の容疑がまさかの“汚職”だった。
発表によると、同容疑者が保有する11戸の自宅からは、現金、高級自動車、地下金庫に眠る宝飾品、仏像・象牙など、すべての財産を押収。コーウィット容疑者や、その他の逮捕者らを合わせると、総額20億バーツ(約70億円)相当の資産が没収された。ソムヨット長官は「地下金庫に埋められていた金品は、重機を使わなければ押収できないほどだった」と揶揄する。
タイ警察によれば、ポンパット容疑者は、CIB局長だった2010年10月1日〜14年11月11日の間に、昇進や異動を希望する警察官から賄賂を受け取り、見返りに新たなポストを与えていた。その額は、1ヵ月に5000万バーツに及ぶこともあったという。また、同容疑者とコーウィット容疑者の2人は、南部での石油密輸に関与し、11年〜14年までに計1億1800万バーツを不正に調達。その資金を南部テロ組織に流していた疑いも持たれている。さらに、2人は10年頃から裏カジノ運営を黙認する見返りに、多額の賄賂を得ていた。なにより、こうした賄賂を要求する際、常に王室関係者の名前を利用していたことから不敬罪が適用された。
ソムヨット長官は、「一連の汚職事件には、他にも関与者はいる。関係する50人の警察官名簿を持っている」と今後も逮捕者が増えると示唆する。半ば“公然の秘密”や“伏魔殿”と言われてきたタイ警察の汚職体質。今回、大ナタが振るわれたわけだが、その裏には「派閥粛清や権力闘争が潜んでいる」との噂も行き交う。真実は神のみぞ知る。
(12月1日=週刊WISE)
【タイ】激震! 大物警察高官ら逮捕
2014年12月01日