まず、ご存知かもしれませんが、アメリカ(米国)においては実際に事業を営む州と法人を設立する州が同一である必要はありません。デラウェア州に会社を設立し、カリフォルニア州でqualification to do businessを取得することも可能です。
その上で、法人設立場所としてカリフォルニア州かデラウェア州かを判断する場合、至極単純明快な判断軸が良いとされています。
・近い将来に上場を目指している場合 → デラウェア州
・近い将来に上場を目指していない場合 → カリフォルニア州
なぜこのような形になるかという点について良く言われる理由が以下:
・デラウェア州に設立した場合、税制面で優遇される
・会社法専門の衝平法裁判制度が全米で一番優れている
・デラウェア州の会社法は上場企業にとって有利
もう少し噛み砕いてご説明させて頂きます。
【税制面】
日本で良く聞く進出先としてはやはりデラウェア州が良く聞かれますが、その理由として耳のするのが「法人設立手続の簡易性」と「デラウェア州外で行なう事業に対しては州法人税課税がなく、売上税も発生しない」という2点です。
ただし、実際問題としては、カリフォルニア州とデラウェア州の比較をすると法人設立の簡易性についてはほぼ一緒になり、税制面での課税・非課税においての単純比較であればデラウェア州に軍配があがる形でしょうか。
【法律面】
以前は、デラウェア州に多くの法人が設立されその結果として、裁判などの判例も増え続けて行く状況になったため、会社法の争いとなった際の判決の判断基準が明確であったと言われています。2014年2月現時点においては、カリフォルニア州にも非常に多くの判例があるため、この点においての比較はどちらにあまり変わらない、という結論になるでしょう。
他方、デラウェア州の会社法は幾つかの点においてカリフォルニア州の会社よりも経営者に有利と言われておりますので、その点について下記にまとめてみます。
・少数株主にとって有利な取締役選任時の累積投票制度
└デラウェア州:基本定款に規制されている場合のみ認められる
└カリフォルニア州:株主権利として認められ、廃止のためには一定条件が必要
・大株主に有利となる株式償還、および自己株式取得
└デラウェア州:比較的容易に行なうことが出来る
└カリフォルニア州:一定条件を満たす必要がある
・配当要件
└デラウェア州:緩い
└カリフォルニア州:厳しい
・敵対的買収に対する防止策
└デラウェア州:容易
└カリフォルニア州:一般的
以上の点をふまえ、どのような形で事業を展開していくのが望ましいのか、専門家のアドバイスをもらいながらじっくりと検討する必要があるでしょう。
アメリカの会社設立に関して、具体的なご質問などございましたら、下記より専門家へのお問合せが可能です。
→アメリカで会社設立 (法人設立) する手順まとめ