海外進出の最初の壁が外資規制
東南アジア諸国へ進出する際の最初の課題は、会社設立時の外資規制である。
外資規制がほぼない国は、シンガポールとカンボジア等がありますが、
タイ、ベトナム、インドネシア、フィリピンなど、最近、注目されている国は、多くの外資規制がある。
外資規制は、様々な種類があるが、ここでは良く日系企業の阻害要因となるものを挙げ、
その解決方法を模索してみたいと思う。
1/製造業やBPO等、特定の業種以外は、外国資本49%までしか株式を保有出来ない。
これは、国や業種によって、保有可能な比率は変わりますが、
多くの場合は外資は過半数以上を持てないという規制。
ITはBPO等の生産活動は外資規制には該当しないことが多く、
ITサービス、情報通信業、広告代理業等は外資規制の対象になる国が多い。
背景には、製造業やBPOは、その国で製造して国外へ販売するため、
現地通貨安を食い止める働きがあり、
多くの通貨安×インフレのダブルパンチで喘ぐ新興国にとって推奨される業種となる。
また、製造業は工場地域において多くの雇用を生み出すことから、
100%外資での設立が可能である。
・この資本規制を解決するには、ローカルの事業会社や投資家からの出資を受けて設立をする。
・ノミニーと言われている名義貸しの現地人を使う。(相手にバックファイナンスをする)
・稀に資本金を1億円や2億円以上も積めば100%で外資が設立出来るパターンもある。
・自社の業種と異なる業種を定款に盛り込んで、外資規制がない業種で設立する。(グレー領域)
2/最低資本金制度があり、一定額を資本金として積まないと会社設立が出来ない。
国や業種で異なりますが、
インドネシアだと約2,500万円の資本金が必要になる。
以前は、製造業だけであったが、
サービス業まで対象になり、ベンチャー企業には少し負担が大きい。
2,500万円程度は、大抵の事業の立ち上げでは必要になる資金ではあるが、
これまでは資本金は数百万円程度で、残りはいつでも回収できるように融資にしておく、という方法があった。
しかし、この最低資本金制度により、
一定額を資本金として入れることとなり、
回収方法は営業CFの何らかのフィー(ロイヤリティやマネジメントフィー等)にするか、
利益が出れば配当という方法に限定される。
3/外資が絶対に参入できない業種がある。
例えば、エネルギー系やメディア、
都市インフラ(水道、電気、ガス、交通、ガソリンスタンドなど)は外資規制が厳しく、
外資が参入出来ません。
4/複数店舗の出店に関する規制。
飲食や小売業の場合は、
パパママショップを迫害する恐れがあるため、
資本比率の規制がかけられている国が多い。
更にベトナムなどは、複数店舗を展開しにくい規制があり、
厳密に言えば複数店舗の展開は法律上は出来るが、
ある審査をパスするのに半年以上かかったりするので、事実上、不可能に近い。
ベトナムに複数店舗あるロッテリアなどは噂では製造業のの許認可を受けていたらしい。
あくまでも外資規制がここまで厳しくない時代の話であるが。
ファミリーマートは1店舗のみ直営で、その他はFCで展開している。
あのマクドナルドでさえ、まだベトナムには進出していない。
5/一定以上の現地雇用をしなければならない規制。
タイが有名であるが、
資本金の額は、外国人の雇用数などに応じて、
現地人を一定数以上、雇用しないといけないルール。
これも必要以上の人員計画を余儀なくされることが多いため、外資にとっては厄介な規制である。
外資規制の対応策と現地パートナー
他にも様々な外資規制があるが、ポイントだけまとめると、
パパママショップなどの現地に存在する零細業者を潰す恐れのある業態には規制がかかりやすい。
外資規制がある場合、資本金を積めば解決出来るものかそうかを把握し、
それが不可能な場合は、ローカルの投資家や事業会社とパートナーシップを結ぶ。
そのような適切なパートナーがいない場合は、
バックファイナンスと手数料がかかるが、名義貸し(ノミニー)のサービスを受ける。
というのが外資規制と対応策の王道であるが、
個人的には外資規制の云々に関わらず、
日本人が海外で事業を開始するには不慣れなことも多いため、
現地のパートナーと組む方法が最終的にリスクが少なくなると感じている。